運命なんて知らない[完結]

なかた

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お互いに

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雪からの返信は雪らしくてやっぱり好きだと思うだけだった。
3ヶ月経っても、何度も好きと送られたメッセージを見てしまう。
そろそろ内定をもらう時期だ。
雪は就職するのかな。
櫻田川さんの所はお金持ちだし、働かなくてもいいのか。
Ωだと、就活が全然上手くいかないしやっぱりαに養って貰うのが一番なのかな。
そんな相手いないけど。
雪はもう番になってるのかな。
こんなに時間が経ったのにいつも雪のことばかりで自分に呆れる。
雪は今何してるんだろう。


こないだ、霜と離れて初めての発情期ヒートがきた。
と言ってもいつもの周期より遅い発情期ヒートだったからもう半年は三佳巳さんと住んでいる。
本当だったら、三佳巳さんとその時に番予定だったんだけど生憎の出張でお義母さんが面倒を見てくれた。
良かったのか悪かったのか分からないけど不覚にも安心してしまった。
お義母さんに迷惑をかけてしまったのは申し訳無くて謝ったら怒られた。
家族なんだからと。
その言葉にやっぱり胸が痛くなる。
つくづく、自分は都合のいい人間だと思う。本当最低な人間だと。
在学中に番う予定だったけど無理そうだな。仕事はしなくていいと言われたけど、申し訳なくてΩでも出来そうな在宅ワークの会社に内定を貰っている。
他で迷惑かけてしまうからこのくらいやらないといけない。
番になるからと三佳巳さんには沢山払ってもらった。
せめて、家賃を折半しないかと提案したけど櫻田川の不動産だから問題ないと言われてしまった。
家事全般をやると言ったら、ハウスキーパーがいると言われ出来る事が本当にない。
あんまりにも、僕が困った顔をしていたからか
「じゃあ、ご飯作って」
と言ってくれた。
三佳巳さんの舌に合うものが作れるか不安だったけど、美味しいと言ってくれる。
三佳巳さんの好きなご飯を作って、休日は2人でテレビを観たり出かけたりして良い心地の良い生活に慣れてきた。たまに手を繋いだり夫婦みたいな感じにも慣れた。
ただ、寂しいだけ。
こんなこと僕が言えることじゃないけど。
大学で見かける度に一緒にいたいと思う。目が合ったら、名前を呼びそうですぐに逸らしてしまう。
大学も後、2ヶ月で卒業なのに。
卒業したら、見ることも出来なくなってしまうかもしれない。
だから、今のうちに目に焼き付けたいのに目が合っちゃうから見れない。
会いたい。
声が聞きたい。
名前を呼んで欲しい。
笑いかけて欲しい。
いつになったら僕は期待しなくなるのかな。










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