運命なんて知らない[完結]

なかた

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双子でもそうじゃなくても

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雪が本当に別の人と番になってしまう。
もう、俺は必要なくなる。
雪が困ったりしていても、櫻田川さんが助けるし、発情期の負担も減る。
しかも、櫻田川さんならきっと雪のことを大事にする。
雪に酷い事をすることだってきっと無いし、雪が嫌がることもしないんだろう。
雪にとっての運命の番は櫻田川さんなのかもしれない。
こんなに良い人がこのタイミングで現れるとか本当に最悪だ。
運命だったら、勝ち目なんかないし諦めがつく。
いや、つかないな。
きっと、一生、雪を好きなまま引きずり続ける。
ピンポーン___。
「...お寿司かな?」
「多分。取りに行ってくる」
「いいよ。僕が行くから」
「まだ、泣いてるのに?」
「あ、うわ。やっぱり霜が行って」
可愛いな。
自分が泣いてること忘れるとか。
そういうところも、もう見れなくなる。
お金を払ってお寿司を受け取る。
「雪、もう食べる?もう少し後にしようか?」
「...食べる」
「まだ、涙止まんない?」
「だって、だって」
なんで雪まで泣いてるのか分からない。
一緒にいれないって言ったのは雪なのに。
「泣かないでよ。俺、雪が泣いてるとどうしていいのか分からない」
「...なにもしなくていいよ」
なにもしなくていい。
させて欲しいのに。あと少しでいなくなるんだから。なんでもしてあげたい。
「仕返し」
そう言って、雪の涙を拭って、雪が俺にやったことと同じことをした。
「僕の方がお兄ちゃんなのに」
「別にお兄ちゃんでもいいでしょ」
「...双子じゃなかったらなぁ」
双子じゃなかったらなんて雪が言うセリフじゃない。なんでそんなこと言うのか分からない。
俺も何度思ったか。
双子じゃないなら、血が繋がってなければいいと何度願ったか。
「血、繋がってないから双子じゃないよ」
繋がってないけど、分かるのが遅すぎた。
双子とか兄弟って関係が長過ぎて、恋とか愛とかに変わっても、それは自分だけだからきっと一生伝えられないと思って、やっぱり伝えられそうになくて、本当にどうしようもない恋だった。
「...じゃあ、本当に双子だったら良かった」
「ふっ、どっちなの?」
本当に何言ってるんだか。
血が繋がってたら、双子だからとか兄弟だからって一緒にいれる理由になったのかな。
Ωだからどっちにしろ無理か。
血が繋がってなくても、双子で兄弟という関係は変わらないから。
「お寿司たべよっか」
「...うん」
2人だけでお寿司食べるのもこれが最後かと思ったら、箸が進まなかった。
雪を見たら、泣き腫らした顔でゆっくりお寿司を食べていた。
もう、食べる速さを合わせなくてもいいのか。
そう思ったら、また涙が出そうになった。

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