35 / 53
そういうとこ
しおりを挟む
目が覚めると霜は居なくて代わりに先生がいた。
帰っちゃったのかな。
「雪さん。調子はどうですか?」
ぼーっとする。本当に疲れた。
「だるいです...後、熱いかも」
「後でまた安定剤をを打ちに来ます。その時に熱が下がらなかったら解熱剤も処方しますね」
「ありがとうございます」
「雪さん。今は体を休めることだけ考えてください。そうしたらいくらでもαを紹介します」
どういうこと?
確かに約束したけど、なんで今?
「...なんでその話?」
「疲れているでしょう。休んでください。フェロモンが落ち着いてから話します」
「はい...」
「後でまた来ます」
今日は本当によく寝れそうだ。
すごく疲れた。霜に会いたかったのになぁ。
瞼が重く、思考も止まって眠りに着いた。
「雪さん。安定剤の時間です」
「...」
無言で腕を捲り上げ差し出す。
ひんやりした綿で腕を綺麗にされる。
「じゃあ、打ちますね。少しチクっとしますよ」
寝ぼけてた頭が一気に冷め、ほんの少しの痛みに集中させられる。
「はい。打ち終わりました。熱測りましょう」
熱は微熱で解熱剤は必要ないそうだ。
「先生、いつまで入院?」
「今、ヒートを起こしたばかりなので、後3日ですね」
「そんなぁ」
「あと、霜くんが来て荷物を置いて行きましたよ。また明日来るって」
荷物がある場所を指差して先生が言う。
「来てたんだ...会いたかったな」
しょうがない。荷物の整理でもしながら、時間を潰そう。
「じゃあ、私はこれで」
「ありがとうございました」
先生が出ていった後、近くの棚の中にあるボストンバックを取り出してチャックを降ろす。
スマホが1番上に入っていたので電源を入れて、霜に連絡しようとトークアプリを開く。
『起きたよ、荷物ありがとう』
それだけ送信して、他のメッセージを見る。
三佳巳さんから一件きている。
開いてみると霜とどうなったか聞かれた。
そうだ、まだ霜に話せていない。
明日来るって言ってたし、明日話そう。
三佳巳さんにはまだ話せていないとだけ送信した。
他にも、歯ブラシやタオル、着替えが入っていた。
それともう一つ、霜のお気に入りの本が入っていた。
表紙に付箋が貼ってあって
『暇になったら読んで』
丁寧な字で書いてあった。
自分があげた本だけど未だに内容を知らない。
いい機会だし読んでみよう。
表紙を捲ると、見覚えのある栞が挟まっていた。
本をプレゼントした次の年の誕生日にプレゼントしたもので、ステンドグラスみたいな栞だ。
雪の結晶と雪の模様でピッタリだと思って選んだのだ。
栞が挟まっていたところにも付箋が付いていて
『使っていいよ』
と書いてあった。律儀だな。
少し笑いながら本のページを捲った。
帰っちゃったのかな。
「雪さん。調子はどうですか?」
ぼーっとする。本当に疲れた。
「だるいです...後、熱いかも」
「後でまた安定剤をを打ちに来ます。その時に熱が下がらなかったら解熱剤も処方しますね」
「ありがとうございます」
「雪さん。今は体を休めることだけ考えてください。そうしたらいくらでもαを紹介します」
どういうこと?
確かに約束したけど、なんで今?
「...なんでその話?」
「疲れているでしょう。休んでください。フェロモンが落ち着いてから話します」
「はい...」
「後でまた来ます」
今日は本当によく寝れそうだ。
すごく疲れた。霜に会いたかったのになぁ。
瞼が重く、思考も止まって眠りに着いた。
「雪さん。安定剤の時間です」
「...」
無言で腕を捲り上げ差し出す。
ひんやりした綿で腕を綺麗にされる。
「じゃあ、打ちますね。少しチクっとしますよ」
寝ぼけてた頭が一気に冷め、ほんの少しの痛みに集中させられる。
「はい。打ち終わりました。熱測りましょう」
熱は微熱で解熱剤は必要ないそうだ。
「先生、いつまで入院?」
「今、ヒートを起こしたばかりなので、後3日ですね」
「そんなぁ」
「あと、霜くんが来て荷物を置いて行きましたよ。また明日来るって」
荷物がある場所を指差して先生が言う。
「来てたんだ...会いたかったな」
しょうがない。荷物の整理でもしながら、時間を潰そう。
「じゃあ、私はこれで」
「ありがとうございました」
先生が出ていった後、近くの棚の中にあるボストンバックを取り出してチャックを降ろす。
スマホが1番上に入っていたので電源を入れて、霜に連絡しようとトークアプリを開く。
『起きたよ、荷物ありがとう』
それだけ送信して、他のメッセージを見る。
三佳巳さんから一件きている。
開いてみると霜とどうなったか聞かれた。
そうだ、まだ霜に話せていない。
明日来るって言ってたし、明日話そう。
三佳巳さんにはまだ話せていないとだけ送信した。
他にも、歯ブラシやタオル、着替えが入っていた。
それともう一つ、霜のお気に入りの本が入っていた。
表紙に付箋が貼ってあって
『暇になったら読んで』
丁寧な字で書いてあった。
自分があげた本だけど未だに内容を知らない。
いい機会だし読んでみよう。
表紙を捲ると、見覚えのある栞が挟まっていた。
本をプレゼントした次の年の誕生日にプレゼントしたもので、ステンドグラスみたいな栞だ。
雪の結晶と雪の模様でピッタリだと思って選んだのだ。
栞が挟まっていたところにも付箋が付いていて
『使っていいよ』
と書いてあった。律儀だな。
少し笑いながら本のページを捲った。
2
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説

僕はお別れしたつもりでした
まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!!
親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
大晦日あたりに出そうと思ったお話です。

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。

君はアルファじゃなくて《高校生、バスケ部の二人》
市川パナ
BL
高校の入学式。いつも要領のいいα性のナオキは、整った容姿の男子生徒に意識を奪われた。恐らく彼もα性なのだろう。
男子も女子も熱い眼差しを彼に注いだり、自分たちにファンクラブができたりするけれど、彼の一番になりたい。
(旧タイトル『アルファのはずの彼は、オメガみたいな匂いがする』です。)全4話です。

そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。


金の野獣と薔薇の番
むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。
彼は事故により7歳より以前の記憶がない。
高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。
オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。
ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。
彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。
その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。
来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。
皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……?
4/20 本編開始。
『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。
(『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。)
※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。
【至高のオメガとガラスの靴】
↓
【金の野獣と薔薇の番】←今ココ
↓
【魔法使いと眠れるオメガ】

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる