32 / 53
墓場まで持って行って
しおりを挟む
いつもの先生が戻って来て検査が始まった。フェロモンを測るための血液検査をしたら、カウンセラーと話すそうだ。
今回のヒートはストレスが原因らしい。
確かに昨日は疲れていた。
色々なことがあって頭がパンクしそうだった。
オメガのケアも病院の仕事で話を聞くのが当たり前なんだそうだ。
でも、僕の場合は他人に話す内容でもないし霜に一番に話したい。
そう思ったら検査に向かう足が重く感じた。
血液検査をさっさとしてカウンセラーとの話は適当にすませよう。
血液検査が終わり、ソファのある部屋に来た。
病院のはずなのにリビングに置いてあるような家具があって頭が混乱する。
違和感がすごすぎて気持ち悪い。
カウンセラーが来る時間より早く来てしまったようだった。
この不自然すぎる部屋に一人でいるのはやだな。
ソファに座って窓の外を見る。
外は通勤通学している人がちらほらしていた。レポート終わってないな。
早く退院したい。
「お待たせしました」
「先生って精神科なんですか」
「いえ、本当は来る予定だった先生が雪さんのフェロモンにあてられて来れなくなったんです。他の先生もキツそうなので私が来ることになりました」
「それはごめんなさい」
「謝ることではありません。どうしようも出来ないことですし、私も同じ部類ですので」
「先生は昔と違って全然匂いしませんね」
「無理矢理抑えてるんです。強い薬なので副作用も強いんですけど」
「それってΩ用のはありますか」
「あるにはあるんですが、患者には処方出来ないんです。まだ試作段階ですので。」
「...そうですか」
「私も君も早く番をつくってしまえば楽になるのに。それが出来ない」
「運命も気持ちも知らないふりすれば誰かしらは番になってくれますかね。婚活しようかなぁ」
「自分を安売りしないでください。そんな事するなら私がいくらでも紹介します」
「本当?じゃあ、退院したらお願いします」
「霜くんに怒られると思いますけど」
「いいんです。そろそろ弟離れしなきゃ」
「雪さんが離れても、霜くんは離れてくれないですよ」
「番が出来たら離れますよ。僕も霜も。それに霜にはもう、ふさわしい人がいるでしょう?」
「やめてください。そんな顔で言わないでください。それに、俺が好きなだけで霜は違います。あなたにそんなこと言われたら俺の立つ瀬がない」
「ごめんなさい。それでも僕じゃダメだから」
僕じゃダメなんだ。
「俺だってダメだ。霜の隣は......」
「先生。そのまま飲み込んで、言わないで」
「......すみません。感情的になってしまいました」
「僕がカウンセラーみたいですね」
「本当ですね。今からちゃんとやります。質問するので答えてください」
質問をいくつかされ、先生が記録をした。
案外すぐに終わった。
今回のヒートはストレスが原因らしい。
確かに昨日は疲れていた。
色々なことがあって頭がパンクしそうだった。
オメガのケアも病院の仕事で話を聞くのが当たり前なんだそうだ。
でも、僕の場合は他人に話す内容でもないし霜に一番に話したい。
そう思ったら検査に向かう足が重く感じた。
血液検査をさっさとしてカウンセラーとの話は適当にすませよう。
血液検査が終わり、ソファのある部屋に来た。
病院のはずなのにリビングに置いてあるような家具があって頭が混乱する。
違和感がすごすぎて気持ち悪い。
カウンセラーが来る時間より早く来てしまったようだった。
この不自然すぎる部屋に一人でいるのはやだな。
ソファに座って窓の外を見る。
外は通勤通学している人がちらほらしていた。レポート終わってないな。
早く退院したい。
「お待たせしました」
「先生って精神科なんですか」
「いえ、本当は来る予定だった先生が雪さんのフェロモンにあてられて来れなくなったんです。他の先生もキツそうなので私が来ることになりました」
「それはごめんなさい」
「謝ることではありません。どうしようも出来ないことですし、私も同じ部類ですので」
「先生は昔と違って全然匂いしませんね」
「無理矢理抑えてるんです。強い薬なので副作用も強いんですけど」
「それってΩ用のはありますか」
「あるにはあるんですが、患者には処方出来ないんです。まだ試作段階ですので。」
「...そうですか」
「私も君も早く番をつくってしまえば楽になるのに。それが出来ない」
「運命も気持ちも知らないふりすれば誰かしらは番になってくれますかね。婚活しようかなぁ」
「自分を安売りしないでください。そんな事するなら私がいくらでも紹介します」
「本当?じゃあ、退院したらお願いします」
「霜くんに怒られると思いますけど」
「いいんです。そろそろ弟離れしなきゃ」
「雪さんが離れても、霜くんは離れてくれないですよ」
「番が出来たら離れますよ。僕も霜も。それに霜にはもう、ふさわしい人がいるでしょう?」
「やめてください。そんな顔で言わないでください。それに、俺が好きなだけで霜は違います。あなたにそんなこと言われたら俺の立つ瀬がない」
「ごめんなさい。それでも僕じゃダメだから」
僕じゃダメなんだ。
「俺だってダメだ。霜の隣は......」
「先生。そのまま飲み込んで、言わないで」
「......すみません。感情的になってしまいました」
「僕がカウンセラーみたいですね」
「本当ですね。今からちゃんとやります。質問するので答えてください」
質問をいくつかされ、先生が記録をした。
案外すぐに終わった。
2
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
【完結】少年王が望むは…
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
シュミレ国―――北の山脈に背を守られ、南の海が恵みを運ぶ国。
15歳の少年王エリヤは即位したばかりだった。両親を暗殺された彼を支えるは、執政ウィリアム一人。他の誰も信頼しない少年王は、彼に心を寄せていく。
恋ほど薄情ではなく、愛と呼ぶには尊敬や崇拝の感情が強すぎる―――小さな我侭すら戸惑うエリヤを、ウィリアムは幸せに出来るのか?
【注意事項】BL、R15、キスシーンあり、性的描写なし
【重複投稿】エブリスタ、アルファポリス、小説家になろう、カクヨム
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
【完結】もう一度恋に落ちる運命
grotta
BL
大学生の山岸隆之介はかつて親戚のお兄さんに淡い恋心を抱いていた。その後会えなくなり、自分の中で彼のことは過去の思い出となる。
そんなある日、偶然自宅を訪れたお兄さんに再会し…?
【大学生(α)×親戚のお兄さん(Ω)】
※攻め視点で1話完結の短い話です。
※続きのリクエストを頂いたので受け視点での続編を連載開始します。出来たところから順次アップしていく予定です。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。

僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
恋した貴方はαなロミオ
須藤慎弥
BL
Ω性の凛太が恋したのは、ロミオに扮したα性の結城先輩でした。
Ω性に引け目を感じている凛太。
凛太を運命の番だと信じているα性の結城。
すれ違う二人を引き寄せたヒート。
ほんわか現代BLオメガバース♡
※二人それぞれの視点が交互に展開します
※R 18要素はほとんどありませんが、表現と受け取り方に個人差があるものと判断しレーティングマークを付けさせていただきますm(*_ _)m
※fujossy様にて行われました「コスプレ」をテーマにした短編コンテスト出品作です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる