運命なんて知らない

なかた

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早くきて

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三佳巳さんと別れた後、アパートに着くまで何から話そうかずっと考えていたけど、纏まらないまま家に着いてしまった。
どうしようかと思って、窓を見たら電気がついて無くて霜はどこかに出掛けたようだった。
まだ考える時間がある。よかった。そう思って鍵を開けて家に入る。
霜がいないだけで不思議な感じがする。
いつもは僕より先に帰っているからかな。
手を洗って、ソファに座って話すことを整理する。
まず、僕と霜は双子じゃないこと。
そして、霜のお母さんのこと。
これは絶対に話す。
後の一つはやめておこう。きっと霜にも考えがあるのだろう。
霜が言ってくれるまで待とう。
僕は双子じゃないと分かっても霜のことが変わらず大切だ。
霜もきっとそうだと思う。
だから何も心配せずに話せる。
でも、番の話は家族でも兄弟でも友達でもどんな関係でも触れにくい。
2次性別なんて番なんて運命なんて全部なければこんなに悩まなかった。
聞きたいのに聞けない。
苦しいな。
僕にも運命が来てくれたら、何も考えずに側に行くのに。
本格的に番を探さないと霜がいなくなる前に霜が安心して番えるように。
きっと霜が番わないのは僕がいるせいだ。
僕がいつまでも心配かけているから、運命に会えない癖にフェロモンは強いし発情期も長い。薬も効きにくい。
早く番えば霜も安心するし、発情期のストレスもなくなる。いいことの方が多いのに番いたくないと思うのはなんでなんだろう。
もういっそ、聞いてしまったらいいんじゃないかとした思う。でも、その答えを知りたくない自分もいる。
どうしたらいいんだろう。
ぐるぐる考えたいたらいつのまにか寝ていたようで隣には霜が座っていた。
霜は起きたの気づいてない。
霜の肩から伝わる体温とかけてくれたブランケットのおかげで暖かいというか熱い。
熱でもあるのかな。
そう思ったら一気にだるい気がして、まぶたが落ちてきそうになった。
霜は本を読んでいるのか紙をめくる音がする。
寝てしまう前に話さないと。
「霜、話さないといけないことがあって」
「起きたんだ。それより雪、発情期きてるよ。俺でも分かるくらい」
霜がなに言ったのか分からなかったけど、何も考えられずに言おうと思っていたことを思い出しながら言う。
「あのね僕と霜、双子じゃないの。あのひとは、」
「うん。後でしっかり聞くから薬飲もう」
「いまじゃないと、霜のおかあさんは霜のこと大事にしてたよ」
「そっか。ありがとう、雪。知れて良かった。でも、そろそろ薬飲まないと」
だめだ。体に力が入らない。熱い。
苦しい。
霜が焦っている顔をを見ながら意識を手放した。

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