運命なんて知らない[完結]

なかた

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代わりなんていないのにね

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三佳巳さんと煙草を吸ってる時間は色々なことを話した。
「そういえばずっと聞きたいことがあったんです。お見合いパーティーに行かないと資金援助を切るってのは本気だったんですか?」
「何それ?そんなこと聞いてないけど。なんでそんな事になってるの?」
三佳巳さんは知らないのか。どういうことなんだろう。
でも、三佳巳さんが言ったわけじゃないんだ。よかった。
三佳巳さんは関係ないことが分かり、孤児院でのお見合いの話をそのまま話した。
「父さんと母さんはそんな事しない。多分、叔父さんの正妻がやったんだと思う」
「叔父さんの正妻って、」
「あー、うん。まあ聞いたかもしれないんだけど雪くん達のお母さんの美月みつきさんは愛人だから、籍が入ってる方の奥さん。あんまり関わりはないんだけど」
三佳巳さんは、やっぱり僕と霜のこと双子だと思ってるんだ。
「叔父さんの子供ってことは僕たち血が繋がってるのか。じゃあ、番にはなれないね」
「僕は繋がってないですよ。三佳巳さん、もし霜が結婚した時に僕が1人になったら番にしてくれませんか?」
「霜くんは雪くんこと1人にしないと思うけど」
「分からないじゃないですか。双子でも兄弟でも歳を取ったら、いつかは別の人と一緒になって居なくなっちゃう」
「本当に鈍感だね。多分、雪くんから離れなきゃ居なくならないよ」
「霜のこと分かってるつもりだったけど本当は何も知らなくて分からない。三佳巳さんでも分かるのに僕は分からない」
「僕は霜くんの代わりじゃないって言いたいけど多分僕も雪くんを代わりしてるから同罪だな」
「あーあ、話しかけなきゃ良かった。知りたくないこと知っちゃった」
ため息を吐いて、煙草をふかす。
頭に靄がかかるような甘い匂いを堪能して頭を動かすのをやめた。
「雪くん。本当に1人になっちゃったら、
僕のところにおいで。なんでも聞くし、出来ることなら何でもしてあげる。僕は尽くすタイプらしいから」
「いいんですか。早く結婚しないといけないんじゃないの?そのためのお見合いでしょう」
「違うんだ。僕がずっと立ち止まっているせいで両親が心配して開いたパーティーなんだ。2人とも僕の恋人をよく思ってなくてね。僕はあの子だけだったけど、あの子には僕以外の人がたくさん居たから」
「大事にされてるんだから僕みたいなのと一緒にいるなんてダメだね。心配されちゃう」
「雪くんだって僕みたいなのと結婚したら、霜が心配するよ」
「お互いさまですね。まあ、冗談はこのくらいでそろそろ帰りましょう」
「冗談じゃないけど。帰ろうか」
煙草を灰皿ポケットに入れ、雪が降る中アパートまで帰った。

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