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着せ替え人形②
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ネグリジェ、薄い生地で着心地もいいし、これで寝るのも悪くはない。しかし俺は寝相も悪いし、これを着て寝たら、はだけてお腹丸出しになって寒そうだ。よって、これを着ていいのは寝相のいい人限定。
もしかしたら姉がこれを持っていても着ているところを見たことのない理由はこれなのかもしれない。姉は寝相がすごく悪い。俺も寝相は悪いからそこは姉弟ということなのかもしれない。
「はああ、やっぱりいい。私溶けちゃう」
「勝手に溶けてろ」
「美少女に罵られるのってたまらないわあ~」
どういうわけか悶えている。俺は地獄を見ているのか。それとも夢でも見ているのか。誰か姉がこうなってしまっているのは夢だと言ってくれ。
「次は、次は何がいいかしら。これか、それともこれか。えーい、もう全部着せちゃう」
姉は鼻血を流しているが、止まらない。やめろ血の付いた顔で近寄ってくるんじゃない。せめて洗ってからにしてくれ。
「ちょっと、結弦、鼻血出てるじゃない。洗ってきなさい」
「これだけ、これを恵也に着せてから」
「先に洗ってきなさい!」
母の大きな声に姉はしぶしぶ顔を洗いに部屋を出た。母さんは俺によって来る。
「そのネグリジェも可愛いわねえ。母さんも恵也に着せてみたい服があるのだけど」
「やめろ、俺はもう絶対に着ないぞ」
母さんも怖い。
「何もすぐにとは言っていないでしょう。今から買い物行くの。準備して」
別にただの買い物なら俺が行く必要もないだろうに。
「恵也の下着とか服とか買いに行くの。今日はジャージと半そでで病院に行ったけど、服もそれだけというわけにもいかないから」
下着、そうだよな。さすがに女子になって男物の下着を履くわけにもいかないし、胸の下着も必要だ。この体を見る感じ随分と立派な胸のようだが、サイズはいくつなのだろうか。カップ数も少し気になる。大きいほうがいいともなんとなくではあるが感じる。
……何を考えているんだ俺は。これじゃ変態みたいじゃないか。
「恵也、今自分が女性の下着をつけることに嫌悪感を覚えたでしょう」
「っ……母さんはどうしてわかるの?」
「顔にすごく出ていたからね。でもそんな表情をする必要はないの。だってあなたは今、かわいらしい女の子なんだもの」
そう言われればそんな気がしてくる。だがそんなかわいい服を着るのは俺の精神衛生上よくない。姉の着せ替え人形になるだけでもうお腹いっぱいである。
「じゃ、準備ができたら一階に来てね。あ、お昼ご飯も食べていくからそのつもりで」
買い物に行くことに異存はないが、横にいる姉が俺の腕をつかんで離さない。移動するのに邪魔でしかない。
「邪魔だからどいてくれない」
「帰ってきたら今度は何を着てもらおうかしらね」
姉は腕を離してくれたが、帰ってもしばらくは姉の部屋には近づきたくない。ともあれ俺は自分の部屋に行くことができた。しかし用意とは言っても特にすることはない。携帯を持っていくことくらいだ。後は眼鏡にするかコンタクトにするくらい。服は現時点では考える余地もない。
「できたよ。いつでもいける」
一階に降りると母さんも準備がすでにできていた。俺が姉の着せ替え人形になっている間に準備をしていたのかもしれない。
「分かったわ。あら、結弦はいかないのかしら」
「大学の課題をするんだって。あれでも大学生なんだからよくわからないよな」
「珍しいこともあるものね」
本当にと答えた。二階を見てみても姉が降りてくる気配はない。俺と母は家を出て車に乗った。車は発進し車庫を出て道路に出た瞬間に悪寒がした。なんだこれは。
もしかしたら姉がこれを持っていても着ているところを見たことのない理由はこれなのかもしれない。姉は寝相がすごく悪い。俺も寝相は悪いからそこは姉弟ということなのかもしれない。
「はああ、やっぱりいい。私溶けちゃう」
「勝手に溶けてろ」
「美少女に罵られるのってたまらないわあ~」
どういうわけか悶えている。俺は地獄を見ているのか。それとも夢でも見ているのか。誰か姉がこうなってしまっているのは夢だと言ってくれ。
「次は、次は何がいいかしら。これか、それともこれか。えーい、もう全部着せちゃう」
姉は鼻血を流しているが、止まらない。やめろ血の付いた顔で近寄ってくるんじゃない。せめて洗ってからにしてくれ。
「ちょっと、結弦、鼻血出てるじゃない。洗ってきなさい」
「これだけ、これを恵也に着せてから」
「先に洗ってきなさい!」
母の大きな声に姉はしぶしぶ顔を洗いに部屋を出た。母さんは俺によって来る。
「そのネグリジェも可愛いわねえ。母さんも恵也に着せてみたい服があるのだけど」
「やめろ、俺はもう絶対に着ないぞ」
母さんも怖い。
「何もすぐにとは言っていないでしょう。今から買い物行くの。準備して」
別にただの買い物なら俺が行く必要もないだろうに。
「恵也の下着とか服とか買いに行くの。今日はジャージと半そでで病院に行ったけど、服もそれだけというわけにもいかないから」
下着、そうだよな。さすがに女子になって男物の下着を履くわけにもいかないし、胸の下着も必要だ。この体を見る感じ随分と立派な胸のようだが、サイズはいくつなのだろうか。カップ数も少し気になる。大きいほうがいいともなんとなくではあるが感じる。
……何を考えているんだ俺は。これじゃ変態みたいじゃないか。
「恵也、今自分が女性の下着をつけることに嫌悪感を覚えたでしょう」
「っ……母さんはどうしてわかるの?」
「顔にすごく出ていたからね。でもそんな表情をする必要はないの。だってあなたは今、かわいらしい女の子なんだもの」
そう言われればそんな気がしてくる。だがそんなかわいい服を着るのは俺の精神衛生上よくない。姉の着せ替え人形になるだけでもうお腹いっぱいである。
「じゃ、準備ができたら一階に来てね。あ、お昼ご飯も食べていくからそのつもりで」
買い物に行くことに異存はないが、横にいる姉が俺の腕をつかんで離さない。移動するのに邪魔でしかない。
「邪魔だからどいてくれない」
「帰ってきたら今度は何を着てもらおうかしらね」
姉は腕を離してくれたが、帰ってもしばらくは姉の部屋には近づきたくない。ともあれ俺は自分の部屋に行くことができた。しかし用意とは言っても特にすることはない。携帯を持っていくことくらいだ。後は眼鏡にするかコンタクトにするくらい。服は現時点では考える余地もない。
「できたよ。いつでもいける」
一階に降りると母さんも準備がすでにできていた。俺が姉の着せ替え人形になっている間に準備をしていたのかもしれない。
「分かったわ。あら、結弦はいかないのかしら」
「大学の課題をするんだって。あれでも大学生なんだからよくわからないよな」
「珍しいこともあるものね」
本当にと答えた。二階を見てみても姉が降りてくる気配はない。俺と母は家を出て車に乗った。車は発進し車庫を出て道路に出た瞬間に悪寒がした。なんだこれは。
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