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最終章 西の都市オロモルア
7.私に期待してください
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やっとこさ更新できましたです(*^^*)
──────────
「んーあ~…、ロド兄?
全部ここで話すべき、なのかな?」
「いやー、深くではなく軽くでよいよ。
深いのは…ここでするべきではないじゃろう?
なんてったって、リアの繊細な部分じゃし」
うん、確かにそう。
初対面の人達に全部は無理だよ。
言われた方だって困っちゃうしね。
軽く、軽くね…。
「えー、私はここではない世界の記憶があります。
その世界では色んな病気があり、全てではありませんが病気に対する治療法というものがありました。
それで、神様がその記憶で西の主であるウェイルダー様のご病気を治して欲しいと私にお願いしてきました」
「…」
「…」
えー………この静寂、ど…どうしよう?
西の主様とコロルちゃんが何も言葉を発してくれないよ~。
軽く言ったつもりだったけど、これでもだめだったかなぁ?
でも、別の言い方っていってもそれはそれで思いつかないし…。
あ、そうだ!
困った時はロド兄だ…!
ロド兄の方を見れば、ニコニコしていて特に何か言ったりしそうな感じが皆無だ。
ど、ど、どうすればっ?!
「主様…治るの?」
「え…」
とてもとても小さな震えたつぶやき声だった。
「あなた作るもので、本当に主様治るの?」
本当に治るの…か。
「本当に治るものができるかどうか、は私にもわからないです。
けど…神様がお願いしてきたってことは私に作ることが可能だからなのかなって思ってます。
私の作るものってちょっと結果が読めない時がある、というか…思った以上に良く出来てたりとかあるから意外と出来ちゃうかもとか思ってたり、だからえーと…」
「お願い…私達の大切な主様助けてなの」
コロルちゃんのふわふわ毛がどんどん濡れていき、下の地面に水溜りが出来ていく。
「コロルちゃん…」
「コロル…あなた達の気持ちはとても嬉しいです。
ですが…私は、このまま治さず病気のままで良いと思っています。
神が…ラフィリアさんに私を救うよう願ったようですが、見ず知らずであった私などのためにこの世にまだない未知の物を作るなんて必要はありません。
それぞれに寿命はあるのです。
それが私は老いて去り逝くのではなく、病気により去り逝くことになるだけなのです」
「あるじしゃま~…」
ウェイルダーさんの声はとても穏やかだった。
きっと悲しみや諦めといった色々な葛藤を乗り越えて今の彼、なのだろう。
うん、ウェイルダーさんが言うこともわかるにはわかる。
でも……私はこうも思う。
「ウェイルダーさん、あなたが言うことも一理あると思います。
でも、病気が治り老いて逝けるのならそれもまたその人の寿命と言えませんか?
だって……やっぱり助かるも助からないにも運命があると思いますし。
なので!
私は魔道具を作って、ウェイルダーさんや見ず知らずの病気の人達の運命に関わることを改めて決めました。
もう少しだけ、生きるための希望を私に期待してください」
「わたし、は…………
っすまないが、失礼する………少し一人で考えさせてくれ」
「あるじしゃま…」
あー…せっかく遠くない未来に訪れる自分の死を受け入れて、その時までにできることをしようと決めて足を踏み出していた所に私が希望を持ってきたって感じかな?
それに希望を持ってきただけでまだ治るかどうかもわからないものだから…複雑、だよね。
ウェイルダーさんに申し訳ないと思いつつも、今私にできることは一つだけだ。
「じゃあ挨拶も済んだし、家に帰ってさっそく取り掛かろう!」
「え…でも、あるじしゃまは…」
「うん、考えさせてくれって言ってたね?
ウェイルダーさんには考えててもらって、私は魔道具作りを開始するよ。
だって、きっと病を治す魔道具が完成したらウェイルダーさんはコロルちゃん達の懇願には勝てずに使うことになると思うもの」
「そうじゃなー、あやつは民を大事にしておるから押され負けするのが目に浮かぶ」
「でしょー?
だからね、魔道具が完成したらコロルちゃん、お願いね?」
「…っハイなの!」
「よし!
てことだからー、アヴィ家に帰るからそろそろ下ろし「さ、このまま帰ろうな」……ハイ」
うぅ…結局ずっと抱っこー…。
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「んーあ~…、ロド兄?
全部ここで話すべき、なのかな?」
「いやー、深くではなく軽くでよいよ。
深いのは…ここでするべきではないじゃろう?
なんてったって、リアの繊細な部分じゃし」
うん、確かにそう。
初対面の人達に全部は無理だよ。
言われた方だって困っちゃうしね。
軽く、軽くね…。
「えー、私はここではない世界の記憶があります。
その世界では色んな病気があり、全てではありませんが病気に対する治療法というものがありました。
それで、神様がその記憶で西の主であるウェイルダー様のご病気を治して欲しいと私にお願いしてきました」
「…」
「…」
えー………この静寂、ど…どうしよう?
西の主様とコロルちゃんが何も言葉を発してくれないよ~。
軽く言ったつもりだったけど、これでもだめだったかなぁ?
でも、別の言い方っていってもそれはそれで思いつかないし…。
あ、そうだ!
困った時はロド兄だ…!
ロド兄の方を見れば、ニコニコしていて特に何か言ったりしそうな感じが皆無だ。
ど、ど、どうすればっ?!
「主様…治るの?」
「え…」
とてもとても小さな震えたつぶやき声だった。
「あなた作るもので、本当に主様治るの?」
本当に治るの…か。
「本当に治るものができるかどうか、は私にもわからないです。
けど…神様がお願いしてきたってことは私に作ることが可能だからなのかなって思ってます。
私の作るものってちょっと結果が読めない時がある、というか…思った以上に良く出来てたりとかあるから意外と出来ちゃうかもとか思ってたり、だからえーと…」
「お願い…私達の大切な主様助けてなの」
コロルちゃんのふわふわ毛がどんどん濡れていき、下の地面に水溜りが出来ていく。
「コロルちゃん…」
「コロル…あなた達の気持ちはとても嬉しいです。
ですが…私は、このまま治さず病気のままで良いと思っています。
神が…ラフィリアさんに私を救うよう願ったようですが、見ず知らずであった私などのためにこの世にまだない未知の物を作るなんて必要はありません。
それぞれに寿命はあるのです。
それが私は老いて去り逝くのではなく、病気により去り逝くことになるだけなのです」
「あるじしゃま~…」
ウェイルダーさんの声はとても穏やかだった。
きっと悲しみや諦めといった色々な葛藤を乗り越えて今の彼、なのだろう。
うん、ウェイルダーさんが言うこともわかるにはわかる。
でも……私はこうも思う。
「ウェイルダーさん、あなたが言うことも一理あると思います。
でも、病気が治り老いて逝けるのならそれもまたその人の寿命と言えませんか?
だって……やっぱり助かるも助からないにも運命があると思いますし。
なので!
私は魔道具を作って、ウェイルダーさんや見ず知らずの病気の人達の運命に関わることを改めて決めました。
もう少しだけ、生きるための希望を私に期待してください」
「わたし、は…………
っすまないが、失礼する………少し一人で考えさせてくれ」
「あるじしゃま…」
あー…せっかく遠くない未来に訪れる自分の死を受け入れて、その時までにできることをしようと決めて足を踏み出していた所に私が希望を持ってきたって感じかな?
それに希望を持ってきただけでまだ治るかどうかもわからないものだから…複雑、だよね。
ウェイルダーさんに申し訳ないと思いつつも、今私にできることは一つだけだ。
「じゃあ挨拶も済んだし、家に帰ってさっそく取り掛かろう!」
「え…でも、あるじしゃまは…」
「うん、考えさせてくれって言ってたね?
ウェイルダーさんには考えててもらって、私は魔道具作りを開始するよ。
だって、きっと病を治す魔道具が完成したらウェイルダーさんはコロルちゃん達の懇願には勝てずに使うことになると思うもの」
「そうじゃなー、あやつは民を大事にしておるから押され負けするのが目に浮かぶ」
「でしょー?
だからね、魔道具が完成したらコロルちゃん、お願いね?」
「…っハイなの!」
「よし!
てことだからー、アヴィ家に帰るからそろそろ下ろし「さ、このまま帰ろうな」……ハイ」
うぅ…結局ずっと抱っこー…。
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