101 / 110
第5章 幻々の森
5.『ラフィリア』のため③
しおりを挟む
先週は体調不良で執筆ができず更新ができませんでしたm(_ _;)m
────────────────
「おっと、いかんいかん。
俺まで本題から逸れてしまった。
これじゃ母さんと変わらんなぁーあっはっは!」
「んもぅ、お父さんたらー」
「あはは、こんな場所でも僕達ってばいつもの流れ~」
「そうだね~、全然変わってないよーふふ」
家族が生前と何も変わらなすぎて自然と笑ってしまう。
そうだった、うん、こんなほのぼのお気楽仲良し家族だったよ。
「やっぱりうちの家族は仲良しだなぁ…」
「そうだろう、そうだろう。
うちはものすご~く仲良しだ。
だから、梨沙 大丈夫 だぞ?」
「え…?」
急にテンション高めから穏やかな声と表情で父が私に大丈夫と言ってきた。
大丈夫……って何が?
「お前が、ラフィリアの両親が子供を子と思わないクズだったから同じ血が流れてる自分も『恋』をしたら同じになるのではないか、そう思ってそういう感情から目を逸らして蓋をしていると神様から聞いた。
でもな、俺達は絶対にそうならないって断言出来る。
だって、お前はラフィリアになっても根源である魂は俺達の娘の梨沙なんだぞ?
それなら、俺達家族の愛情をいっぱい受けていて『愛』を知っているんだから絶対に大丈夫だ!」
「そうよー、それにひとつでも感情に蓋をしちゃったら絶対にどこかで歪みとなって出てきちゃうわよ?」
「そうだよ!
僕も…一時ある事を我慢してたんだけど、普段の行動がおかしくなってたみたいで周囲からすっげー心配されちゃってさー、我慢するのやめたんだ。
姉ちゃん、蓋は体にきっと良くないって!
開けちゃえ開けちゃえ!」
いや…そんな簡単に開けちゃえって言うけどさー。
『蓋』ってどう開ければいいの?
「ねえ、梨沙?
神様から聞いてるんだけど、梨沙から見てロドクスさんとアヴィルトくんってどんな人達なの?」
「ロド兄とアヴィ?」
「うん、その2人の事を教えてほしいの」
なぜにこの2人?とは思うけど、別に秘密にする理由もないし…まぁ教えましょうか。
「じゃあ、まずはロド兄から────…
…────と、こんな感じかな?」
二人について話終えるとなぜか家族みんながニヤニヤしていた。
なんでそんなニヤついてるんですか?!
「んもぅ!
梨沙ったら、相変わらずお鈍さんなのね。
比較するために2人の事を話してもらったけど、梨沙はもう『恋』をしているわ。
蓋を開けるには、たぶんあなたが気付くだけだと思うの。
そうねぇ…典型的だけど、今話してくれた2人の側にそれぞれ女性が寄り添うのを想像してみたらわかるかもしれないわよ?」
えー…想像?
想像できるかなぁ?と思っていたら、私の視線の先にロド兄と見知らぬ女性が親しげに寄り添う姿が見えた。
「え、ロド兄?
うわぁー…あんな蕩けた顔見たの初めてかも…すっごく幸せそうで私も嬉しいな」
心がポワポワ~っと温かくなったところでロド兄と女性が消えた。
そして、新たに現れたのは…アヴィと私も見たことがある女性が寄り添って立っていた。
あの女性はアヴィをいつも愛おしげに見て…───
「………」
「梨沙、あなた今泣いているって自分で気付いている?」
「え…あ、れ何で涙が?」
「何で…かは、あなたが彼と彼女を見たことで涙した。
ということは、梨沙はあの2人を見て何かを思ったはずよ。
なんて思ったの?」
アヴィと彼女を見たから涙を?
私は2人を見てなんて思った?
私は…
『どうしてあそこにいるのは私じゃないの?』
『あの女性より私の方がアヴィをずっと大好きなのに!』
そう、思ったから涙が出たんだ。
ああ…なんだなぁーんだ。
私ったら、もうずっとこの思いをここに宿してた。
気付かない振りしてたけどアヴィにしっかり『恋』してたんじゃない。
────────────────
「おっと、いかんいかん。
俺まで本題から逸れてしまった。
これじゃ母さんと変わらんなぁーあっはっは!」
「んもぅ、お父さんたらー」
「あはは、こんな場所でも僕達ってばいつもの流れ~」
「そうだね~、全然変わってないよーふふ」
家族が生前と何も変わらなすぎて自然と笑ってしまう。
そうだった、うん、こんなほのぼのお気楽仲良し家族だったよ。
「やっぱりうちの家族は仲良しだなぁ…」
「そうだろう、そうだろう。
うちはものすご~く仲良しだ。
だから、梨沙 大丈夫 だぞ?」
「え…?」
急にテンション高めから穏やかな声と表情で父が私に大丈夫と言ってきた。
大丈夫……って何が?
「お前が、ラフィリアの両親が子供を子と思わないクズだったから同じ血が流れてる自分も『恋』をしたら同じになるのではないか、そう思ってそういう感情から目を逸らして蓋をしていると神様から聞いた。
でもな、俺達は絶対にそうならないって断言出来る。
だって、お前はラフィリアになっても根源である魂は俺達の娘の梨沙なんだぞ?
それなら、俺達家族の愛情をいっぱい受けていて『愛』を知っているんだから絶対に大丈夫だ!」
「そうよー、それにひとつでも感情に蓋をしちゃったら絶対にどこかで歪みとなって出てきちゃうわよ?」
「そうだよ!
僕も…一時ある事を我慢してたんだけど、普段の行動がおかしくなってたみたいで周囲からすっげー心配されちゃってさー、我慢するのやめたんだ。
姉ちゃん、蓋は体にきっと良くないって!
開けちゃえ開けちゃえ!」
いや…そんな簡単に開けちゃえって言うけどさー。
『蓋』ってどう開ければいいの?
「ねえ、梨沙?
神様から聞いてるんだけど、梨沙から見てロドクスさんとアヴィルトくんってどんな人達なの?」
「ロド兄とアヴィ?」
「うん、その2人の事を教えてほしいの」
なぜにこの2人?とは思うけど、別に秘密にする理由もないし…まぁ教えましょうか。
「じゃあ、まずはロド兄から────…
…────と、こんな感じかな?」
二人について話終えるとなぜか家族みんながニヤニヤしていた。
なんでそんなニヤついてるんですか?!
「んもぅ!
梨沙ったら、相変わらずお鈍さんなのね。
比較するために2人の事を話してもらったけど、梨沙はもう『恋』をしているわ。
蓋を開けるには、たぶんあなたが気付くだけだと思うの。
そうねぇ…典型的だけど、今話してくれた2人の側にそれぞれ女性が寄り添うのを想像してみたらわかるかもしれないわよ?」
えー…想像?
想像できるかなぁ?と思っていたら、私の視線の先にロド兄と見知らぬ女性が親しげに寄り添う姿が見えた。
「え、ロド兄?
うわぁー…あんな蕩けた顔見たの初めてかも…すっごく幸せそうで私も嬉しいな」
心がポワポワ~っと温かくなったところでロド兄と女性が消えた。
そして、新たに現れたのは…アヴィと私も見たことがある女性が寄り添って立っていた。
あの女性はアヴィをいつも愛おしげに見て…───
「………」
「梨沙、あなた今泣いているって自分で気付いている?」
「え…あ、れ何で涙が?」
「何で…かは、あなたが彼と彼女を見たことで涙した。
ということは、梨沙はあの2人を見て何かを思ったはずよ。
なんて思ったの?」
アヴィと彼女を見たから涙を?
私は2人を見てなんて思った?
私は…
『どうしてあそこにいるのは私じゃないの?』
『あの女性より私の方がアヴィをずっと大好きなのに!』
そう、思ったから涙が出たんだ。
ああ…なんだなぁーんだ。
私ったら、もうずっとこの思いをここに宿してた。
気付かない振りしてたけどアヴィにしっかり『恋』してたんじゃない。
0
お気に入りに追加
314
あなたにおすすめの小説
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる