始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

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第4章 ルモォンの村

※ロナジェス視点 ③

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季節の変わり目のせいか、元々体の弱いうちのインコさんが体調を崩しました( ´△`)
皆さんも気をつけてくださいね(>_<)

────────────────



リアの弟ライツェフ(名前を聞き出した)から胸飾りを誰からもらったのか教えてもらったわ。

なんでも一番上の兄がお守りにとくれたらしいの。

その兄はラフェクという名前とのこと。

今は身体強化をしてラフェクさんに会いに行く途中ですのよ…うふ。

ライツェフは嫌だと言いましたがリアに会えるかも…的なことをほのめかしまして釣りました。

リア様様ですわね!


「ねえ、ライツェフはなんでリアにそんなに懐いてるの?

だってリアと直接接していた時あなたは1歳だったのでしょう?

ほとんど記憶にないはずなのに、そこまで懐くのが不思議でならないのよねー」


「僕、記憶があるから1歳の時のことももちろん

…とは言っても生まれた時は声の記憶だけど。

その生まれて初めての声は僕にとっては親に当たる奴らだった。

意味はわからずとも言葉を覚えていたから、後々あいつらが言っていた初めての言葉の意味を知ったよ。

あいつらこう言ったんだ《お、なかなか綺麗な顔だぞ。こいつ》《まあ、本当ね。これなら高く値がつくわね!》…最低なクズ人間たちだよな」


「そうね…でももう関わり合うことは絶対にないから忘れる…ことは無理だろうから、幸せなことをたくさん心に蓄えて嫌な記憶は隅っこに追いやってしまいなさい。

そうしたらもしかしたら記憶力が良いあなたでも思い出すことがなくなるかもしれないわよ?

まあ、嫌な話はここで終わりにしてリアに懐いてるのがなぜなのかの話の続きをしましょう?」


「なんで、か。

んー…あの家でラフィリア姉さんが一番愛情を持って僕の世話をしてくれていたから、かな」


「リアが一番?

他の兄姉もあなたのお世話をしてくれていたのよね?

それなのになんでそう思ったのかしら?」


「他の兄姉も僕の面倒は見てくれてたよ。

でもラフィリア姉さんが一番だったと思う。

んーと、ラフィリア姉さんの始まりもやっぱり声の記憶からなんだけど…

《はじめまして~わたしはあなたのあねのラフィリアよ~ここはいいかんきょうとはいえないけど、わたしのおとうとにうまれてきてくれてありがとう~。

えーっと、あのおやはどうせきめないだろうからわたしがかんがえたんだけどきにいってくれるかなぁ?

あなたのおなまえはね ライツェフ というのよ。

げんきいっぱいにそだってね!》

《んん~?

おなかがちょっとゆるめかな?

ここすこしさむいからきょうはわたしのふくとかもなんまいかかけてだっこすればすこしはあたたかくなるかなぁ?》

《きょうはねぇねとおそとにおさんぽにいこうか?》

とか常にそばに居てくれた。

目がちゃんと見えるようになってからは、ラフィリア姉さんは僕に柔らかな温かい笑顔を向けていたこともわかった。

あんな家の状態だったのに、僕たちに全然悲しい顔を見せなかったっていうのも理由の1つになってるかもしれない。

あ…でも、少しだけラフィリア姉さんがいなくなる数日前からたまに僕たちを見て悲しげな表情をしていたっけ」


「そうなの…リアは小さな頃から優しい子だったのねー…。

ねえ?リアが家出してあなた達は置いていかれた訳だけどその辺はどう思っているの?」


彼は歩みを止めずにほんの少し空を見上げ遠くを、過去を見つめるようにして口に出した。


「ラフィリア姉さんがいなくなったのを知ったあの日はいないことが理解できずにいた。

でも、時間が経つにつれぽっかり空いた空間にじわじわと心に冷たいものが広がるみたいになってずっと泣いてた。

始めは 〝悲しい〟〝寂しい〟でもだんだんそれだけじゃなくてあの家から逃げてくれて〝良かった〟って思いも成長するに従って生まれたよ。

だって、あのままいたらラフィリア姉さんが奴隷商に売られていたからね。

だから、皆ラフィリア姉さんが逃げたことに対して恨んだりといった感情はないよ」


「うん、そうよね。

そんな感情があったら懐いてないわよね。

それじゃあ、あと一つだけ質問!



もし、リアに恋人や伴侶ができたらあなたその人を認められる?」




さあ、ライツェフあなたはこの質問にどう答えるかしら?






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