始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

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第4章 ルモォンの村

9.少年の恋心…?⑤

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更新できた~\(^^)/
次回に採取の続きと調合のお話の予定です
(*^^*)
────────────────



やって来ました迷々の森。

今回のチューベローズの治療薬の材料は、ルモォン近辺には無いものだったのでここに来た。

来たには来たが、ここで彼に言わなくては行けないことがある。


「アヴィ、あなたはヒナと一緒に森の家で待っていて欲しいの」


「…嫌だ。

今日も一緒に行く」


あぁー眉間にシワが…やっぱりご機嫌斜めになっちゃったよ。

でも、今回はアヴィとヒナは絶対側に居ちゃいけない。


「あのね、今回必要な材料ってすべてものすっ………ごく臭いものなの。

アヴィは狼だから嗅覚が人族である私よりずーっといいじゃない?

きっと臭いに鼻がやられちゃってダウンしちゃうと思うんだー。

ヒナの場合はまだ体が幼体だから臭さに負けて天に召されちゃうかもだし。

あ、採取後はきちんと臭いがもれないようにするし、家に入る前に私自身臭いを消すから安心して?」


…ふふ、理由が理由だから行くって言えない、けどそれでも着いて行こうと言おうか、とのアヴィの心の葛藤が分かるくらい表情が出てるや。

もう一押ししましょうか。


「それにね、アヴィにお願いしたいことがあるの」


「俺にお願い?」


「うん、あのね、採取から帰ってきたらきっとニオイとの戦いで疲れてるしお腹も減ってると思うの。

だから、アヴィにお昼ご飯とお風呂の準備をお願いしたいなぁって………だめ?」


うーん、今の私は〝あざとい女〟というものに当てはまってそう。

どうしても私よりアヴィの方が背が高いから、自然と上目遣いになるんだし…しょうがないよね。


「……1ヶ月添い寝ありなら1人で行っていい」


「えっ?!

1ヶ月はちょっと多いよ!

……よし、一週間添い寝でどう?!」


「じゃ、二週間」


「い、一週か「二週間」………二週間ね、はぁ」


くっ…今日の添い寝を無くそうとしてたのに二週間に増えるとかぁ~。


「あ、今日の夜の分の添い寝を入れて二週間と1日だな」


「うぇぇえっ?!

そんなぁぁ~…」








      *  *  *








現在リアは、簡易フィルター鼻栓をして臭い森の中を歩いていた。

簡易なので多少臭うが我慢できないほどではない……アヴィはきっと私の程度でもアウトだろう。

やっぱりお留守番してもらって良かった。

…二週間+1日の添い寝という犠牲付きだけどね。


「うん、臭いけどなんか慣れてきた?

いや、鼻が馬鹿になってきたのかもしれないなー………あ、1つ目の素材ラフレシア発見~♪」


このラフレシアは、花びら・雌しべ・雄しべ・中の粘液をそれぞれ少しずつを採取して終わりだ。

採取したものを入れた容器は要密閉です。

念入りに封印の術もかけますよ~。


「よし、ラフレシアの次はここから近いドリアンかな」


立ち上がり、ここより少し明るめの木々のある場所へ向かった。








「おぉう…動物かな、落ちた実が食い散らかされてる。

ここはここでやっぱ臭いなー………また、鼻が慣れて分からなくなるんだろうけど」


食い散らかされた実を避けながら、無事な実がないか周囲を見渡した。


「あ、あれ無事かも!」


数メートル先に綺麗な棘々のある実が見え、そこへ行こうとして頭に衝撃がきた。


「いっ…………たぁぁああ!!!」


痛む頭を押さえて蹲った。

涙で歪む視界に映ったのはやっぱり棘々のドリアン。


「うぅー…痛すぎるぅー…。



あ、ヤバい頭から血が出てる!

早く治して流れた血を消さないとアヴィに添い寝日追加されちゃう!!」


鞄から薬を取り出し塗り、血は魔法で綺麗綺麗~…これで証拠隠滅っと♪

ドリアンの実を拾い密閉し、次の採取へと向かった。












『あ~あ、リアってば無駄なあがきをしてるよ』


『血、頭だけ、じゃ、なく、首の、後ろに、もある』


『頭…だけ…じゃ…なく…全身…する…べき…だった』


『添い寝日追加決定だね』


『『ね』』






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