始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

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第4章 ルモォンの村

7.少年の恋心…?③

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更新なり(・∀・)

────────────────


昨日のライバルイベントで、涙は流れたが血は流れず平和的に解決したのでルンルン気分で村の外へ向かっていた。

この時、色々と緩んでいたから微妙な変化に気づけなかったのだと思う。

…気づいた所で結果は変わらなかったとは思うけど。


「これから森へお出かけですか?」


広場を通り過ぎる時にシューリュ少年から声をかけられた。


「あ、シューリュくん。

うん、これから森へ散策に行くの」


「そうなんですかー…あの、その散策に僕も一緒に行ってもいいですか?」


「うん、別にいいよ~」


「わぁい♪

一緒に散策嬉しいな~」


本当に嬉しそうにそう言って私の横にいるアヴィの横に行った。

ちらっと、なぜアヴィの横?と考えが過ったが男同士で仲良くしたいのかも、と思いそれ以上深く考えなかった。







   * * *







森に入り、散策途中で見つけた薬草や木の実などを収穫し昨日来た泉で少しおやつ休憩をすることになった。


「んー!

ここの森も迷々の森みたいに優しい雰囲気で好きだな~」


「そうなんですか?

噂では迷々の森は入った人を死ぬまで彷徨わせるという恐ろしい所だって僕は思ってたけど…違うんだー」


「え?

そんな噂があるの?

迷々の森は確かに名前の通り迷わせるけど死ぬまで、なんてことないよ?

実際は、入った所と違う場所に森から吐き出すって感じだよー」


「へぇー、吐き出すだなんてまるで森全体が一つの生き物みたいだね!

あ、このお菓子ふわふわで美味しい!」


美味しそうにお菓子を頬張るシューリュくんに可愛いなーと思って見つめていたが、ふっと思ったことがあった。

そういえば…今日はシューリュくんヒナに声かけたり貢いだりしていないな、と。

そう思いさり気なーくシューリュくんを観察した。

そして、シューリュくんがチラチラと目を向けている場所があった。


…アヴィを見てる?


あの目は…ヒナを見ている時と同じ?

いや…でも────


「おい。

お前、さっきからなんで俺をチラチラ見てくる?」


「その…瞳がすごく綺麗だなって」


アヴィ…視線がうっとおしくなったんだね。

うーん…確かにアヴィのワインレッドの瞳は綺麗ではあるけど、ちょっとシューリュくんのうっとりしてるのが引っかかる。


「…お前、今日はヒナを口説かないのか?」


「口説きますよ?

でも、僕今すごくあなたの瞳が気になって気になって…気になってしょうがないからヒナちゃんを口説く前にを手に入れちゃおうかなって思って♪



ねぇ、僕にあなたの瞳頂戴?」





無邪気に笑うシューリュくん。

しかし目は逝っちゃってる。

これは………絶対に変だ!

一体何があってこんな状態になってるの?!


「俺の目が欲しいだと?

お前、昨日から俺を見ていたな…………リア」


「えっ、な、なにアヴィ?!」


急に名前を呼ばれてちょっとびっくりしちゃった。


「落ち着け。

なぁ、こいつ呪いとか変なモノ食ったり拾ったりとかしてこんな状態になってるってことないか?」


…。


呪い?変なモノ??


「ねえシューリュくん。

今身につけてる物もしくは持ってる物で昨日か一昨日手に入れた物ってないかな?」


「手に入れた物?

…そんなことより、僕はアヴィルトさんの瞳が…あれ?

わぁー…よく見たらラフィリアさんの瞳も綺麗……その瞳も僕欲しいなー」


あれ?

私もターゲットに追加されたっぽい?

おお?

あれ、なんかヤバくない…?

あれあれ、足が動かないぞ?!

シューリュくんが私に近付いて───


ガッ


ドサッ


「リア、なんで逃げない」


眼の前まで来ていたシューリュくんをアヴィが意識を奪った。

あ、これ怒ってますね。


「いやー、まさか私も標的になると思ってなくて体が動けませんでした…」


ため息を吐いた後にっこり笑ったアヴィ…嫌な予感しかしませんよ?!


「リア、今日の夜は俺の部屋で寝るの決定な」


「は?え?なぜに?!」


「お仕置き」


そう言った後、いくら抗議してもお仕置きという言葉が覆らずアヴィはシューリュくんを肩に担ぎスタスタと村に向かった。


「まだ…まだ夜まで時間はある!

諦めるな私!

ファイトー!!」


アヴィの後をリアは希望を捨てずに追いかるのだった。


〝あー、今日の夜はロドクスの所で寝なきゃ〟(byヒナの心の声)













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