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第4章 ルモォンの村
6.少年の恋心②
しおりを挟む更新です(ΦωΦ)♪
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今日もあと少し体に不調が残っている村の人の健康チェックで巡回中…なのですが、なんだかものすごーく見られてます…あの少女ナミリィ・バーティスに。
恋や愛という感情は、時に正常な判断ができないこともあるという事を前世そして今世で身を持って知っている。
自分やヒナの身を守ることは可能ではあるが、ナミリィちゃんに攻撃をすることができるかといえば…恐らく躊躇してしまうと思う。
うん、面倒臭いことになる前に逃げ───
「あのっ………す、少しだけ私とお、お話してくれません、か?
…………シューリュの事、です」
ふ……逃げられませんでした。
* * *
人目がない場所、村から少しだけ離れた湧き水でできてる泉へとナミリィちゃんの先導でやってきました。
さて、どんな結果になるやら。
「ここなら大丈夫かな?
えと、私のわがままなのにここまでついてきてくれてありがとう。
それでね、あの……私シューリュの事が好きなの……だから」
あー…やっぱり牽制なのかな?
彼を好きにならないでーとか、私の方が先に好きになったのよーとか言われちゃう?
「だから…第一夫人はヒナちゃんでいいから私を第二夫人として認めてほしいの!」
「第二夫人?!」
「…ピュピューイ」
なんか予想外な言葉を言われたぞ?!
え?鳥族って多妻OKだったっけ??
…ロド兄の図鑑…図鑑……んーそんな記載なかったように思うんだけど。
私が忘れてるだけだろうか?
「え、無理?
ヒナちゃんやっぱり…私が第二夫人だなんて無理なのー?
でも…でもっ私シューリュが大好きだから結婚はシューリュが良いの…うぅっ…うええぇぇん」
ヒナが私の頭から降りて行き、地べたに座り込んで泣き出したナミリィの膝部分をくちばしで軽くつついていた。
ナミリィもつつかれたことで顔を覆っていた手が外され、涙でグショグショの顔が現れた。
「ピューピュピュ~イ~」
「え…?
ヒナちゃんはそもそもシューリュを好きじゃ、ないの?
そんな…私てっきり………。
ヒナちゃん、早とちりで第一夫人だの泣いたりだのしちゃってごめんなさい」
「ピュピューイ?」
おぉう…どこをどう見たらヒナがシューリュ少年を好きだと誤解が生じるんだろう?
「えと、どうして誤解したかって?
んー…ヒナちゃんとシューリュが私のパパとママと同じだったからそうだと思ったの」
「ピュイピュイ?」
「うん、うちのママね人の前でパパに好き好きーって言われてもツンツンなの。
でもね、パパと二人っきりだと甘々ーなの。
だから、ヒナちゃんもシューリュの前ではツンツンでも誰もいないところでは喜んでると思っちゃったの……誤解だったけど」
あー…なるほど。
ナミリィママは、世に言うツンデレなのね。
うーん、身近にそういう人がいたらそう思っちゃうかもしれないなー。
「ピュッピュピューイ」
「うん!
私、第二夫人じゃなくて第一夫人になれるように頑張る!」
よしよし、ライバルイベント(?)は解決したね。
はあ…恋する女子にありがちな怖い展開にならなくて本当に良かった~。
これで明日から一つ懸念材料が減って気が楽になるね~♪
同時刻、村にいたシューリュ少年は悩んでいた。
「どうしよう…どうしたら良いの?
僕……ヒナちゃんにアプローチ中なのに……」
『ありゃりゃりゃ~…解決って思ったらまた別の問題出ちゃったや。
皆に報告~』
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