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第4章 ルモォンの村
1.呪いに遭遇
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今日から新章です(^.^)
───────────────
スウェトルノーツから東へ特に問題なくゆっくり穏やかに旅路を進んでいた。
「んー…ここら辺って治安が良いんだねー。
山賊と遭遇が一度もないよ」
「それはのぅ、ここの領主が山賊を見つけるとすぐ捕まえて職業訓練し、きちんと手に職がある状態にしておるからなんじゃよ。
捕まえる時も領主自ら捕まえに行っとる」
「へぇーそうなんだー。
…あの領主とは全然違うね」
うぅ…少し思い出すだけでブルッと震えが来る。
あのトラウマはずっとトラウマのまま私の中にあり続けるのかなー?
それもそれで嫌だなあ…いつかトラウマ解消したいけど上手くいくかな?
「あら、あんな所に人里があったのね」
ロナが指差す方を見ると、数軒家が建っているのが身体強化せずに肉眼でも見えた。
「本当じゃなー。
ちょっと行ってみるかのぅ」
ロド兄の言葉に、私達は人里に向かった。
* * *
おかしい…あの人里目と鼻の先程の距離しかないように見えるのに一向に着かない。
「これは…」
「ああ、これは幻術の迷わせるものじゃな。
うっかり気づかずに術にはまってさ迷ってしまったわい」
「えー…あ、本当だ。
ちょっと見ればわかるものだよ、これ。
はあ…気づかなかったなんて気を抜き過ぎてたね、私達」
「そうじゃな、じゃが気付いたなら迷うこともなくなる。
では、今度こそ行こうかのぅ」
幻術を通り抜け本物の人里へ今度こそ向かった。
近付いてみて気付いたことがある。
人が見当たらない。
なぜ?
人の気配はするのに…。
視界の隅に何か動くものを捉えた。
よーく見てみると人、だけど耳の部分が翼だ。
どうやらここは鳥族の人里のようだ。
でも、あの人体が少しふらついてる?
ドサッ
「ロド兄、人が倒れた!」
皆で倒れた人に駆け寄ると、その人の頬はこけ体も細く手足が枯れ木のようになっていた。
胸は上下しているので息はあるようだ。
「うむ……これは、衰弱化の呪いが懸かっておる。
きっとこの者以外も懸かっておるじゃろう。
根源を探さねば、根源に吸いとられ続け結果この人里から人がいなくなってしまうじゃろう」
「衰弱化の呪い…あれって大体が丸くて濃い色の魔石に術が懸けられてるよね?
この人に繋がってる術の糸の先は……あ、あのちょっと他より小さめの家だね」
根源に繋がる家へ行き扉を叩いて人が出てこないのを確認してから中へ入ろうとすると、アヴィが私を止めた。
「アヴィ?」
「俺が先に入る。
リアは俺の後」
「え…あ、うん了解です」
満足そうに頷き扉に体を向けるアヴィに私はつい口角が上がる。
心配しなくても大丈夫なのに、とも思うけど大事にされてると思うとやっぱり嬉しい。
「この二人もちょいちょい桃色の空気出すわねー。
あら…ヒナさんまたあの空気から逃げてきたのかしら?」
「ピュイー」
後ろでロナがいつの間にか移動していたヒナに小声で何か話しかけていたが、アヴィが扉を開けたので扉の方に集中した。
「…とくに何も罠は見当たらない。
入っても大丈夫のようだ」
アヴィが安全だと言ったので中へ入ると、衰弱化の呪いの根源である魔石が奥の壁際に祀られていた。
色は紫とピンクのマーブル…あまりこれは好きじゃないなぁー。
「うむ、これが呪いの根源じゃな。
アヴィルトよ、これを真っ二つに切るのだ。
それで術の効果は無くなる」
スッと私の横からアヴィが動き刀を玉の上に置き、まるで柔らかな物を切るように簡単に縦に切った。
あの刀って石も簡単に切っちゃえるんだね。
「よし、衰弱化の呪いの術が消えたようじゃから、今度はこの里の者らを回復させねばな」
「うん、美味しいご飯と回復薬だね!」
「私もご飯作り手伝うわ」
いざご飯作りをしようとしているロナを見れば、あれがないではないか。
「ねえロナ、チョーカーは?」
「あ!」
…危うく衰弱化の呪いから助かった人達を、ロナの料理で儚くさせてしまうところでした。
私よく皆にうっかりさんって言われるけど、ロナも結構うっかりさんだよね?
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スウェトルノーツから東へ特に問題なくゆっくり穏やかに旅路を進んでいた。
「んー…ここら辺って治安が良いんだねー。
山賊と遭遇が一度もないよ」
「それはのぅ、ここの領主が山賊を見つけるとすぐ捕まえて職業訓練し、きちんと手に職がある状態にしておるからなんじゃよ。
捕まえる時も領主自ら捕まえに行っとる」
「へぇーそうなんだー。
…あの領主とは全然違うね」
うぅ…少し思い出すだけでブルッと震えが来る。
あのトラウマはずっとトラウマのまま私の中にあり続けるのかなー?
それもそれで嫌だなあ…いつかトラウマ解消したいけど上手くいくかな?
「あら、あんな所に人里があったのね」
ロナが指差す方を見ると、数軒家が建っているのが身体強化せずに肉眼でも見えた。
「本当じゃなー。
ちょっと行ってみるかのぅ」
ロド兄の言葉に、私達は人里に向かった。
* * *
おかしい…あの人里目と鼻の先程の距離しかないように見えるのに一向に着かない。
「これは…」
「ああ、これは幻術の迷わせるものじゃな。
うっかり気づかずに術にはまってさ迷ってしまったわい」
「えー…あ、本当だ。
ちょっと見ればわかるものだよ、これ。
はあ…気づかなかったなんて気を抜き過ぎてたね、私達」
「そうじゃな、じゃが気付いたなら迷うこともなくなる。
では、今度こそ行こうかのぅ」
幻術を通り抜け本物の人里へ今度こそ向かった。
近付いてみて気付いたことがある。
人が見当たらない。
なぜ?
人の気配はするのに…。
視界の隅に何か動くものを捉えた。
よーく見てみると人、だけど耳の部分が翼だ。
どうやらここは鳥族の人里のようだ。
でも、あの人体が少しふらついてる?
ドサッ
「ロド兄、人が倒れた!」
皆で倒れた人に駆け寄ると、その人の頬はこけ体も細く手足が枯れ木のようになっていた。
胸は上下しているので息はあるようだ。
「うむ……これは、衰弱化の呪いが懸かっておる。
きっとこの者以外も懸かっておるじゃろう。
根源を探さねば、根源に吸いとられ続け結果この人里から人がいなくなってしまうじゃろう」
「衰弱化の呪い…あれって大体が丸くて濃い色の魔石に術が懸けられてるよね?
この人に繋がってる術の糸の先は……あ、あのちょっと他より小さめの家だね」
根源に繋がる家へ行き扉を叩いて人が出てこないのを確認してから中へ入ろうとすると、アヴィが私を止めた。
「アヴィ?」
「俺が先に入る。
リアは俺の後」
「え…あ、うん了解です」
満足そうに頷き扉に体を向けるアヴィに私はつい口角が上がる。
心配しなくても大丈夫なのに、とも思うけど大事にされてると思うとやっぱり嬉しい。
「この二人もちょいちょい桃色の空気出すわねー。
あら…ヒナさんまたあの空気から逃げてきたのかしら?」
「ピュイー」
後ろでロナがいつの間にか移動していたヒナに小声で何か話しかけていたが、アヴィが扉を開けたので扉の方に集中した。
「…とくに何も罠は見当たらない。
入っても大丈夫のようだ」
アヴィが安全だと言ったので中へ入ると、衰弱化の呪いの根源である魔石が奥の壁際に祀られていた。
色は紫とピンクのマーブル…あまりこれは好きじゃないなぁー。
「うむ、これが呪いの根源じゃな。
アヴィルトよ、これを真っ二つに切るのだ。
それで術の効果は無くなる」
スッと私の横からアヴィが動き刀を玉の上に置き、まるで柔らかな物を切るように簡単に縦に切った。
あの刀って石も簡単に切っちゃえるんだね。
「よし、衰弱化の呪いの術が消えたようじゃから、今度はこの里の者らを回復させねばな」
「うん、美味しいご飯と回復薬だね!」
「私もご飯作り手伝うわ」
いざご飯作りをしようとしているロナを見れば、あれがないではないか。
「ねえロナ、チョーカーは?」
「あ!」
…危うく衰弱化の呪いから助かった人達を、ロナの料理で儚くさせてしまうところでした。
私よく皆にうっかりさんって言われるけど、ロナも結構うっかりさんだよね?
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