始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

文字の大きさ
上 下
76 / 110
第3章 北の都市スウェトルノーツ

21.お返事は…

しおりを挟む
更新しました(^-^)ゝ゛
ペットのインコも今のところ穏やかに過ごしておりますm(_ _)m

─────────────────



ちょっとだけ自分の耳を疑ったが、ワインドさんがもう一度先程の言葉を言ってきたので、聞き間違いではなかったのがわかった。

冗談……と思いたいがワインドさんの表情を見れば本気とわかる。

…うん、本気ならば本気でお返事しないと失礼ですね。

でも、返事をする前に隣にいる彼を落ち着かせなければいけない。



「アヴィ、殺気を抑えて。

ここの従業員さん達がアヴィの殺気で青くなって気絶…………あれ?

青くはなってるけど気絶はしてないね?!

実は実力者揃い?!

えー、凄い………っとと、脱線しかけたー。




ごほん…今からワインドさんにお返事するのでその殺気を抑えて。

抑えないと………今後一切私、アヴィのご飯とデザート作らないからね?」



「?!」



アヴィが勢いよく私を見ると共に肌に針が刺さるような殺気も霧散した。

よし、ではお返事を…と体と目をワインドさんに向けた。



「アヴィがすみませんでした。

それと、先程の私への求婚のお返事なのですが…………




お断りします」



「そう……残念です。

私の求婚を断った理由を聞いても良いかな?」



私の断りの言葉を聞いても特に残念そうな素振りを見せず質問をしてきた。

ただ、ワインドさんの雰囲気は変わったようには感じた。

少し…体にヒヤッとしたものが通り抜けていくようなそんな感じ、かな?



「そ、うですね、理由は単純にワインドさんを恋愛対象の男の人としては好きではないので。

もっと言うなら、そういう対象として見られない、というのが理由です」



「理由を教えてくれてありがとう。

残念でしたが、求婚の時の参考にさせてもらいます」



次…今度好きになった人に求婚する時の参考にするの?

こんな理由でもはたして参考になるのかな?



「え、あ、はあ。

えーと、私の理由が参考になるなら良かったです?」



「ええ、ふふふ」



おおぅ…何か言葉に違和感を感じた。

…が、ワインドさんからの妖艶な笑みという圧力で違和感の正体を考えることができなくなってしまった。






      *  *  *






く、苦しい…。

アヴィ、今日は少々締め付けがキツいです。

というか、昨日に引き続き今日もとか……色々あったから一人で寝たかったのだけれどね。

思わずため息が出てしまった。



「ごめん…少しちからが入ってたな。




リアが…あいつの求婚を断って良かった…」



私を抱き締めていた腕を少し緩め、暗がりの中でお互いの視線を合わせた。



「ん、別にいいよ。



…あのね、実は求婚を断った理由ね、他にもあるの。

ワインドさん、同じなの。

私の血の繋がった父の瞳の色に…」



「リアは…もうあまり両親の事を覚えていないんだと思ってた。

でも、違ったんだな…」



私の事が心配なのか、頭をゆっくりと撫でてきた。

アヴィの優しさに心がほわんと温かくなる。



「ううん、あまり覚えてはいないの。

でもね、両親の瞳の色は忘れられないの。

私がこの世界で見た初めての色だったから…」



そう…この世界に生まれて初めて両親を…というより両親の瞳の色を見た時の衝撃からか、今でも忘れられないでいる。

顔は覚えてないのにねー……あ、クズなことは覚えてるよ?


あふっ…


う~ん…アヴィの頭なでなでで眠くなってきちゃった。



「瞳の色だけ…。

それにで初めて…か」



「うん…前の世界に…は…ない瞳の色合…いだったもの…私なんて髪も…瞳も…黒い人種……だったから……とくに………ね……………」



「っ!!!

黒っ?!

リアそれは……………………ってー、寝てるのか?」



なんかー…アヴィが言ってる…?

でも…眠くて…も…う……











「眠たくてつい言ってしまっただけかもしれないが、少しだけ俺に心を許してくれた…と思ってもいいか、リア?」







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処理中です...