始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

文字の大きさ
上 下
74 / 110
第3章 北の都市スウェトルノーツ

19.親子の再会

しおりを挟む

今日はまだ暖かい日でした。
新作を今日から始めましたので読んでみてくださいませませ(^^)/

─────────────────



あ、暑苦しい…。

私の右腕はアヴィ、左腕にはロナ…と二人にがっしりと掴まれています。

アヴィは私をロナに取られまいと掴み、ロナはー…私と闘う言質を取るまで腕を離さないと言ってあれからずっとくっついてます。

図鑑にも載ってましたが、龍人族は強い者と出会うと力比べをしたくなると………すっかり忘れていました。

ん?

白龍夫婦ですか?

えっとー…今私はトカゲくん改めましてちび白龍くんのおうちの中のソファーに座っているのね?

で、その目の前の床に直に正座スタイルでキラキラと四対の瞳を輝かせて、私をひたすら見詰めてきています。

…その視線がまたうっと─……ゲフンゲフン、暑苦しくて私の目はきっと死んでいることでしょう。

あーもう、しょうがないなー…。



「ロナ、時間ができたら闘ってあげるから腕を離して。

あと、白龍夫婦。

私従者はいらない、でもね友達ならいいよ、シュリウスさんとララナクトさん?




…というか私より優先すべき事はあるでしょう、8年ぶり…なんでしょ?

必死に探していたのに抱っこもしてあげないの?」



「リアリアリアー!

時間ができたら絶対よ?!

もし忘れたら、くすぐりの刑なんだから!」



「従者になれないのは残念だが、このシュリウスを友としてくれるなら喜んでなろうぞ!」



わたくしも従者になれないのは残念ですが、わたくしララナクトもラフィリア様と友になれるなら喜んでなりましょう」



……ふ、なんだろうー。

ロナは腕を離してくれたし、白龍夫婦の従者問題もなくなったけど…………闘うよりHPが消耗していってる気がする。

私の心の疲れを感じ取ったのかアヴィが私を膝抱っこし、頭を撫でてきた……………私もう成人なのよ?と思いつつも抵抗する気が微塵も沸き起こらない。

ああ…依存がどんどん進んでるよ。



「やっと会えたというのに放置してすまないな。

我は龍人族の次期長であるシュリウス………お前の父だ」



「シュリウスの妻ララナクトです。

ああ、やっと…やっと会えました!



私達の〝ラーナシュトス〟」



二人とも腕を広げて抱っこカモーンしてます。

ふぅ…やっと親子の再会になりました。

本当ならすぐこうじゃない?

ちび白龍くんは女の子の腕の中から床へ降り、トテトテと白龍夫婦に近づいていって夫婦二人に抱っこされた。



「おら、トカゲじゃないの?

龍人族なのか?」



「お前はトカゲなどではない」



「貴方は私達の子、龍人族よ。

なぜ、トカゲ族と思ったのかしら?」



「おら、トカゲ族に育てられたんだ。

そこでおらだけそこのトカゲ達と違って細くなかったから、太っちょトカゲって言われてた」



お?

人族に拐われたんじゃなかったの?

何がどうなってトカゲ族のところで育てられることになったんだろう??



「トカゲ族…?

どういうことだ?

人族に拐われたはず…」



「うーん…そういえば卵の中にいる時に話し声が聞こえてきたぞ?

何言ってるかわからなかったけど…。

でも、しばらくしたら揺れが激しくなって…うん、グルグルだった!

目が回りすぎてしばらく気を失ってるうちに、いつの間にか卵の中じゃなく目の前がトカゲの顔だらけの所にいたんだぞ」



えっとー、それはつまりこうか?

人族に誘拐されるも途中何かあって転がり拾ったのかトカゲ族ってこと?

そのトカゲ族も卵の状態で拾ってたんだとしたら……食料として拾った可能性も?

うん………無事で良かった。






      *  *  *






『ふぅ~、何とか無事に事がすんだねー』



『そ、だね』



『白龍…夫婦…の子…あの…まま…人族…の所…にい…たら…死ん…でた…から…ちょ…っと…だけ…手を…出し…た』



『うん、白龍夫婦の子が死ねば夫婦に子の死が伝わって狂ってしまうもんねー』



『狂い、龍、一体、だけ、でも、大変』



『二体…はちょ…っとね』



『よし!これにて白龍の子が死なないように見守る任務は終わりだね!』



この後精霊王様に報告し、任務完了となった。

本来、子供が拐われようが精霊が関わる事はないが世界への影響がありそうなことだったので指令が出された。

ラフィリアに関しても神が関わってるので、精霊の目がなくなることは生涯ないだろう……。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処理中です...