始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

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第3章 北の都市スウェトルノーツ

16.猫さんは…

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今日でリア視点とアヴィ視点を別々にしてたのは終了です。
でもこのお話はまだ続きます(^.^)

─────────────────



私の問いかけにあっけらかんと彼女たちは答えた。



「にゃんこちゃんをこれでもかぁってくらい可愛がるためぇ」



「るーちゃんを可愛がるためにここにいるに決まってるじゃん」



「もちろん、バラカル様を愛でるためですわ!」



「は、あー…そうですかー…。

えーと、じゃあここは少ないと言っていましたが、他にもこのような場所があるのですか?」



「そおだよぉ。

あとぉ、2軒あるよぉん。

それでぇ~貴方もここにぃ住むんでしょお?」



「…いいえ、住みませんよ?」



「にゃっ?!」



猫の驚きの鳴き声と同時に、彼女達3人の目が虚ろになった。



「なぜおらっちの魅了が効いてないんだ?!」



おやー?

猫がしゃべってますねー。

猫の獣人で獣化できる種族はあるけど…獣化すると人語は話せないんだよねー。

…と、いうことはー…この子は猫じゃない種族。

だから、私は冷静な部分があったんだねー。

それなら、私のもふもふセンサーが働かないのも頷ける訳だよ。

それに後ろの二本足でふらつきもせずしっかり立ってるしね。



「それはたぶん、君より私の魔力の方が強いからだと思うよ?





そんなことより………………君、猫じゃないでしょ?」



「な、なぜおらっちが猫じゃないって言うんだ?!

この魅惑のもふもふ曲線ボディーに可愛らしいお目々!

どう見ても猫だろう?!」



「確かにそう見えるね。

でもね、私ってふわふわ&もふもふにすー…っごく弱いの。

そんな私が君にメロメロにならないのが不思議だったんだよねー…まあ、なんでかはさっき判明したけど。

君の本来の種族まではわからないけど、君が猫じゃないのともふもふ種族じゃない!…ってことは確かだよね」



あ、足から力が抜けて座っちゃった。

…ミーアキャットみたい。



「おら…種族はトカゲなんだ。

で、おら人族の女の子が大好きでなー。

見てるだけでも良かったんだけんど…ある時女の子が可愛いって猫を撫でてるのを見て、おらぁ猫になりたくなったんだ。 

あの猫みたいに女の子に撫でてほしくてさ…。




あのなトカゲってな、女の子が寄ってこないんだよ。

だから、猫になれば女の子に触ってもらえるって思って猫になったんだ」



「ただ触って欲しいだけなら魅了や連れてくる必要はないでしょ。

誘拐は絶対駄目!」



「あう…女の子におこられてまった。

つい…つい魔が差したんだ。

申し訳ない……。

女の子達は魅了を解いておらがちゃんと自宅に送ってく」



うむ、反省していることだし…あとは女性達を無事送り届けるか見届けることにしよう。











…結果、魅了を解かれた彼女達は帰らなかった。

なぜなら、トカゲの彼も可愛かったからだ。

白くて丸いフォルムに大きなうるうる青色の瞳のトカゲ。

現在、彼は猫の時と同じく可愛がられている。



「君、猫を脱いでもちゃんとモテてるじゃないの。

あ、これを報告するのかー…ありのまま言わなきゃ駄目よね?





…うーん……私もあのツルツルボディーに触りたいなぁ」







      *  *  *







リア達の様子を見ていると、普通に話していたはずだったのに途中から3人の女性達の様子が変わり、猫とリアだけの会話になっていた。

猫が足二本で立ち上がった時は、リアが攻撃されるかと思って思わず椅子から立ち上がってしまった。

…大丈夫だったから座り直したが。

あの猫、やはり猫ではなかった。

中身がトカゲだったとはな…しかも猫になった理由がアレとか。

リアに危険がなくて良かったが……なんとも脱力してしまう結果だったな。

おまけに自前のトカゲでもモテていたというオチもついたしな。



「さて、問題も解決したし精神的に疲れて帰ってくるリアを、街の入り口まで迎えに行くか…。





…トカゲにうつつ抜かしたお仕置きをしないといけないしな」






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