始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

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第3章 北の都市スウェトルノーツ

14.こんなところに…

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今日は短めです☆
気持ちが落ち着かず執筆が進みませんでした(T_T)

─────────────────



えー、今私は森へ来ています。

1人でここに来るまでが大変でした…。

アヴィを説得するのに半日程かかりましたよ。

私が〝アヴィは離れちゃうと私を探せないの?〟と、狼のプライドを刺激したらしぶしぶ…本当にしぶしぶ私が1人になることに頷いてくれた。

…アヴィを突き放せば話は早かったのかも知れないけど、私も私でアヴィに甘えてるからそれはできなかったんだよね。

うーん、お互いに依存しててあまり良くないとは思うけど、いつかアヴィに好きな人が出来るまでは…いいよね?



「ついでとばかりに薬草を採取してるんだけど…ここの森も結構種類が豊富。

まあ、さっきから精霊さん達がたくさん飛んでるものね」



薬草採取の手を止め、周りを見渡していると背後から音がした。



ガサッ



目的のが来たのでしょうか?

後ろを振り向けば───



「猫さん?」



「にゃあ~」



トットットッと、トラ猫は軽快に私に近付き足にスリスリし始めた。

すり寄る猫の喉へ手を伸ばし撫でてみた。

すんなり撫でさせた…ということは飼い猫?



「猫さん、こんなところで何してるのかな~?

お散歩だとしたら、ここは魔物もいるから危険だよ?」



猫を撫でながら、話しかけていたわたしですが…何かこの猫に違和感を覚えた。

いつもならもふもふに対してうっとりとなるはずなのに…ならない。

可愛いとかこのもふ心地良いとかは思ってるけど、どこか冷静な部分が自分の中にある。

なんでだ??

猫を撫でながら考えていると、猫がスッと手から離れ歩きだし少し先で止まり、こちらを振り返り一鳴きした。

まるで、こっちに来て…とでも言うように。



「私に着いてきて欲しいの?」



「にゃん」



猫を見つめ着いていくことを決めた。

着いていけば、この猫に対する違和感の正体がわかるかもしれない。

スクッと立ち上がり猫のいる方へ足を進めれば、猫は着いてくるとわかりまた歩き始めた。






      *  *  *






森の家にて待機中のアヴィルトは落ち着かなかった。

いつもアヴィルト側にいたリアは、現在囮中でここにはいない。

心配でつい家の中をウロウロしてしまう。

一段落ついたのか、研究室から出て来たロドクスと目が合った。



「なんじゃ、落ち着きがないのぅーお前さん」



「ロドクス…。

今日はリアが1人で囮をする日だ」



「おー…そう言えば今日じゃったか。

リアなら1人でも大丈夫じゃろ。



…と、お前さんに言っても心配はなくならんじゃろうなぁー。

お前さん、今リアがどうなのか見たいかの?」



今のリアが見たいかだと?

そんなの決まってる。



「見たい」



「ほっほっ、即答じゃな。

なら…ちとこっちに来い来ーい♪」



ロドクスに言われるがまま後を着いて行った。




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