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第3章 北の都市スウェトルノーツ
11.偽物?
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─────────────────
あの二人の結果が気になり、翌朝ロナも一緒に宿へ向かった。
そしたらいつもの顔触れに、1人知らないおじさんがセリちゃんを膝抱っこして頬擦りしていた………変態さんですか?
いや、危ない人だったらヴェンさん達が救出してるはず。
…ん?
よくよく見ればー…セリちゃんと同じマゼンタ色の瞳だし、なんとなく顔のパーツも似ている部分があるような?
宿の入り口で、セリちゃんと変態(?)さんを観察してたらセリちゃんと目があった。
セリちゃんは悟っているかのような表情をしていたが、キラキラと輝いてるような表情に変化した。
「リア!
それに…御使い様も!
ちょうど良い時に来てくれました!!」
ちょうど良い、ですか?
なにが??
頭と表情に疑問符を浮かべながら、セリちゃん達に近付いて行った。
「セリちゃん、何がちょうど良いなの?」
「あのね!
この私を膝抱っこしてる一見変態さんね、私の父であの条件を出した人なの。
それで、また父が────」
「君達か?
私の可愛い可愛い娘に龍人族だと嘘を言ってるのは」
セリちゃんの父だと言う人が、なにやらいちゃもんをつけてきた……セリちゃんを膝抱っこ止めずに。
さすがセリちゃんの父だけあって美形なちょいしぶダンディ、だけどとても残念なお人なんだね……セリちゃん大変だ。
私がセリちゃんに同情の目を向けていると、ロナがセリ父に言葉を返していた。
「私が龍人族のロナジェスです。
……私が種族を偽っているというのですか?
ならば、本物だという証明を致しましょう」
あれ?
ロナ……怒ってる?
あ?!
こんな所で龍体になろうとしてないか?!
異次元鞄から、以前おふざけで作ったものを取り出しそれでロナの頭を叩いた。
スパーンッ
ふ……良い音がなりました。
音だけでわかります?
えへへー、よく漫画でツッコミシーンで描かれていたハリセンで叩きました。
「「リア・ラフィリア?!
御使い様大丈夫ですかー?!」」
セリちゃんとジャックの大きな声があがったが、気にせずロナの龍体になろうとしていたのが止まったのを確認し、安堵の息を吐いた。
「あら、私ったら怒りでここがどこだか忘れて龍になろうとしちゃったわ。
リア、止めてくれてありがとう」
「いえいえ、どういたしまして~」
ハリセンで叩いた側と叩かれた側が和やかに話してることに、戸惑う二人が声をかけてきた。
「御使い様、叩かれた頭は平気なのですか?」
「リア!
いきなり人を叩くなんてダメじゃない!」
ジャックはロナに、セリちゃんは私に言っているのでそれぞれで答えましょう。
「ええ、平気よ。
音と衝撃はすごかったけど、痛みは全然ないから」
「たしかにいきなり訳もなく叩いちゃいけないと私も思うよ。
だけど、あのままだとこの宿や周囲何軒かロナの龍体化で無くなる所だったから、私はロナを叩いて止めたの。
この〝ハリセン〟なら、衝撃と音がすごいだけで痛みは全くない仕様だから、これがあって良かったよ。
もしこれがなかったら……ロナを瀕死状態になる術しか対抗手段なかったもの……」
私の言葉に周囲が静かになった。
ゴンッ
鈍い音がしたので見てみると、ヴェンさんがセリ父の頭に一発お見舞いした模様。
さすがに痛くて、セリちゃん膝抱っこを止めて頭を抱えて涙目になっていた。
セリちゃんは解放されジャックに抱きついていた。
うんうん、ラブラブだね!
「お前のせいで龍人族の嬢ちゃんが怒っちまったじゃねぇか!
…ていうか、わかってて偽物呼ばわりしただろ、お前。
娘を嫁にやりたくないからって、それは駄目だろう。
龍人族の嬢ちゃんに非を詫びろ」
頭をさすりまだ少し涙目のセリ父は、ロナの前に立……いや、片膝をついて許しを請うていた。
「美しいお嬢さん申し訳ない。
私が、娘を嫁に出したくないばかりに龍人族の貴方を偽物だと、口にしてしまった。
どうかこんな愚かな私を許して貰えないだろうか?」
「……許しましょう。
ただし、条件をつけます。
〝娘さんをお嫁に出す〟
それが私の条件ですわ。
もし、この条件をのめないというのなら……あなたの大切なモノを奪うことにしましょう」
あ、セリ父が紳士な笑顔のまま固まった。
ロナってば、どちらにしてもセリ父からセリちゃんいなくなる選択じゃないか?
さーて、セリ父はどう答えを出す?
「……………っわかりました。
む、娘を嫁に出します。
なので、どうかお許しを………」
おおー……結婚の許可出したね。
二人も許可を得て喜んでる!
「そうですか………では、貴方を許しましょう」
* * *
「「「ほっ」」」
精霊たちがリア達の様子を緊張しながら見守っていたが、結果を見届け安堵の息を吐いた。
「リア、知らないのかな?」
「知ら、ないん、じゃ、ない?
それか、忘、れて、る?」
「龍人…族…怒らせ…ると…街…とか…消す…ことも…ある…って」
「あの男、許されて良かったよね~。
じゃなきゃ、あの街無くなってたんじゃない?
リアもあの〝ハリセン〟で龍体化止めてくれて助かったよ」
「あれ、欲しい」
「欲し…い」
後で、精霊王に話したことで精霊たち用にハリセンが欲しい、と王からリアに依頼が出された。
精霊王は、それでサボる度に秘書から叩かれるとも知らずに…。
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