始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

文字の大きさ
上 下
63 / 110
第3章 北の都市スウェトルノーツ

8.何があったの?

しおりを挟む

ファンタジー小説大賞で282位でした☆
嬉しいです(*´ω`*)

───────────────────



ジャックが告白した翌日、幸せセリちゃんに会いにおっさんの宿へ行きました。

ここへ行けばいるのです。

…セリちゃんの自宅ではないのに。

そして、宿に入れば幸せ笑顔が迎えてくれるとばかり思っていました。

……が!

会ったセリちゃん…と一緒にいたジャックは、どんよりとした空気を漂わせていた。

何が起きた?!

驚き固まっていれば、セリちゃんが私に気付き力ない笑顔を向けてきた。



「あ……リアちゃん、おはよー。

リアちゃんが、ジャックに魔道具を作ってくれたおかげで、ジャックと恋人になれたよ……。

ありがとう~……」



暗い笑顔でありがとうと言われてもあまり嬉しく思えないよ、セリちゃん?!



「あ……ラフィリアか。

お前のおかげで、昨日告白が成功してセレインと晴れて付き合うことができた……。

ありがとうな……」



こっちもこっちで、晴れてとか言いながら雰囲気は土砂降りの雨の中みたいじゃない!



「ど、どしたの?!

昨日恋人同士になった幸せ一杯の二人……というより葬式みたいな雰囲気になってるんだけど?!?!」



「あー……そうだよな……。

とても幸せには見えないだろうな……はは。

実際、俺達は今幸せではないからな……」



えぇー……。



「あのね、実は昨日帰ってからすぐにお互いの両親に結婚するって言ったの。

そしたら……」



「そしたら?」



「セレインの両親…父親の方が条件を出してきたんだ。

その条件が絶望的なんだ」



絶望的な条件とな?

…父親が娘可愛さに、結婚させたくなくて無理な条件を出したって感じかなー?



「それで…その条件って何なのか他の人に言っても大丈夫なら、私にも教えてほしいな?」



「あぁ……その条件とはな───



龍の鱗、もしくは牙を手に入れて持って来いって。

龍は、並み半端な攻撃ではどこにも傷をつけることができない。

だから……鱗や牙なんて無理なんだよ……」



龍の鱗か牙?

……ローゼスさんかロナから言えば貰えたりしないかな?

家に帰ってから……より伝魔鳥で聞いてみるか……。



「『伝魔鳥』

『あ、ロナお久~。

元気してる?

あのね、今私スウェトルノーツにいるんだけど、ちょっと助けたい友達がいるの。

その友達が今度結婚するんだけど、結婚するために条件が出されちゃったの。

その条件が龍の鱗か牙を手に入れること、なんだって。

ロナかローゼスさんに貰えないかなーって思って、伝魔鳥を飛ばしてみたの。

以前の滞在中に、ローゼスさんが鱗とか牙とか生え換わると、売ったり焼却したりしてるって言ってたなって。

……だめ、かな?』



『ロナジェスの元へ』」



伝魔鳥が壁を通り抜けロナの元へと向かった。



「リア……何か今龍人族の龍体の鱗や牙を貰えないか、とか聞こえたんだけど…?」



「え?

あぁ、うん。

ちょっと知り合いに、龍人族の人達がいたから貰えないか頼んでみた」



「いやいや、お前そんなちょっとそこまで買い物に、なノリで言われても!」



「いや…でも、丁度知り合いに龍人族の人達がいたし。

まぁ、まだ貰えるかわからないし連絡待ってみよう?」



「「え、えぇー……?」」



そんなに驚くことかなぁ?

んー、龍人族の人達ってあまり出没しないのかな?

それとも龍人族の人だってわからない、とか?






この後の二人は、驚きつつも少し希望が見えてきたせいか笑顔を見せるようになってきた。

うんうん、照れながらも見つめあってと実に初初しいね!

………あれ?

なんか私、おばさんっぽい発言してない?

精神年齢的には当てはまるかもだけど…。



バァン!



宿の出入口扉を、力一杯開けるおバカさんが来たようで冷ややかな目で見てみたら、私の知り合いだった………恥ずかしい!



「リア!

会いたかったから、私が直々に来たわ!」



ロナ………なんかテンション高くないですか?




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処理中です...