始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

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第3章 北の都市スウェトルノーツ

6.矯正しましょう♪

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少し遅くなりましたが更新完了☆

───────────────────



獣人の男の子とちゃんと話す為に、森の家へと強制連行しました。

連行と…言ってもどこか掴んで引っ張っているわけじゃなく、歩いて着いてきてもらった。

……多少、アヴィにびくびくと怯えてはいたがー……………強い魔力と殺気に当てられたばっかりだから、しょうがないよね。



コト……



「はい、ハーブティー………飲むと落ち着くはずよ?」



「あ、……りがとぅ」



まだ微かに手を震わせつつも、カップを持ち少し飲んだようだ。

うん、震えがなくなった。

さすが、リラックス効果抜群のハーブティーだね!



「それじゃ、落ち着いたところでさっそく本題に入ろうか。

君は…何で私をずっと見ていたの?」



持ったままのカップをじぃっと見つめていたが、話す気になったのか視線をあげ私に目を合わせてきた。

……決して私の横にいるアヴィへと視線はやらない。

まだ、怖いのかな?



「俺、ジャック・キタット。

………あんたが最近仲良くしてる、セレイン・フラウスの幼馴染だ」



あー……例の第一号くんか……。

幼馴染だったのか。

そして、天邪鬼かもしれない男の子。

どうして私を見ていたのかわかったかも。



「セリちゃんの幼馴染にして、セリちゃんを振った第一号くんね。

私を見ていたのは、セリちゃんに近づく変な女じゃないかと思って見ていた、と。






………君さ、セリちゃんの事が好きでしょ?」



私が好きでしょ発言すると、顔が真っ赤になった。

やはり図星か。



「なっ、な、にを?!

お、おおおお前には関係ないだろ!!」



「関係ない、ねぇー。

そんなこと言って良いのかな?

せっかく好きな人の前でつい逆の事を言ってしまうのを、そうならないようにする魔道具を作ってあげようかなー……とか考えていたのに。




どうする?

ジャック・キタット」






      *  *  *






さあー、天邪鬼退散魔道具作りを始めましょうか!

えー?

作るくらいだから、作って欲しいって言われたのかって?

言われた、というか土下座されて懇願されたよ……泣きながら。

それはそれは日々辛かったと。

好きな相手をつい振ってからというもの、その好きな相手は色んな男にアタックするし………振られてほっとするし、でとても心臓に悪い事が続いていたとか。

天邪鬼………色々と大変ね。

振り回されてるセリちゃんも可哀想だし。



「……とはいうものの、天邪鬼になりたくないときだけ矯正ってどうしたら良いんだろ?」



私の独り言を拾ったロド兄が助言(?)してくれた。



「リアなら思うだけで作れそうじゃと、わしは思うぞ?」



そんなチートな事を私ができるわけ………って、何気に私もチートな人間だったことを思い出した。

…近くにすごい人がいるから忘れがちですなー。



「うん、やってみる。

んー…装飾は何がいいか…。



アヴィ、彼って獣化もできるっけ?」



「やつは……できない。

あれが通常だ」



「そっか...じゃー、腕輪にしちゃお。

彼の場合はしっかり系?

いや、じゃらじゃら系しよう。

えー、鉱石はこの渋めの銀のやつで土属性でサイズ調整と無属性で持ち主固定………あとは、天邪鬼になりたくないときだけ素直になるように思ってみる。




………『錬成』」



キララ~ン



………一応、想像通りの見た目の物は出来た。

あとは、素直になりたいときに天邪鬼が発動しないかどうかの検証が必要。






      *  *  *






「これが………あんたが言ってた矯正魔道具なのか?」



「そうだよ。

だけど、ちゃんと出来てるかは検証してみないことにはわからないから、君を呼んだの」



うん、天邪鬼矯正検証をするには本人にしてもらうしかないからね。

さて、装着して持ち主固定が済んだようだし、検証を始めてみましょうか。



「ねぇねぇ、ジャックくん」



「お?

なんだ?」



「セリちゃんをいつから好きだったの?」



あ、セリちゃんの事になるとやっぱり赤くなるねー。

耳と尻尾がピーンってなって可愛い~。



「い、いつからって初めからだよ!

あ、あれ?」



「じゃあ、もう一つ。

セリちゃんのどんなところが好き?」



「そんなのっ…本気まじ笑顔、いやセレインの全部が大好きだ!

い、言えてる!

けど、恥ずかしい!」



ふむふむ、ならばこれはどうだろう?



「最後にもう一つ。



おねしょはいつまでしてた?」



「………っ。

俺は、おねしょはしていない!」



うん、本当に言いたくないことはちゃんと言わないね。



「ジャックくん、その魔道具成功してるみたい。

これで、セリちゃんに言えるね!」



「ああ……!

これでやっと……!!





ありがとう………ラフィリア」



前半キリッと男の顔で言ったかと思ったら、後半に恥ずかしそうに私にお礼を言うとか……………………ちょっとだけキュンとしちゃった。









「リアはそいつみたいなのが好みなのか………?」



少し後ろで、アヴィがそんなことを呟いていたなど気づかず、ジャックくん可愛い~とか思う私でした。



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