始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

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第3章 北の都市スウェトルノーツ

5.視線を感じます

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寒暖差が激しくて喉と鼻の調子が微妙です(^.^;

───────────────────



セリちゃんと友達になってから少し経ちまして、気づいたことがありました。



「セリちゃん、最近男の人にアタックしてないね?」



セリちゃんは、きょとんとした顔を私に見せた後、目を見開き口を開けたままにしたかと思ったら大きな声を上げた。



「リアちゃんと遊んだり話したりするのが楽しくて、男の人に全然目がいかなかったよ!」



………この子ってもしかして、一つの事に集中しちゃって他に目がいかなくなるタイプなのかな?

それとも、今まで満たされなかった何かを私が埋めたから、男の人にアタックする必要がなくなったか。

うーん、どちらかしら?



「あ、あとね、リアと遊んだ日は最近ジャックがよく話しかけてくるから、男の人を見る時間がないんだぁー」



「ジャック?」



初耳な名前だなぁ?

男友達なのかなー?



「あ、リアちゃんには言ってなかったね。

ジャックってね、私の初恋で初告白をして初めて振られた相手なの」



なるほど、50回のうちの記念すべき(?)1番目の人なのか。

ふむ………ジャックとかいう男子は天邪鬼なのでは?

うーん……人の言動に逆らっちゃうんだとしたら、天邪鬼な言動になるのを阻止しつつ本心を言えるようにする?

魔道具を作るにしても、全て本心を晒すのは良くないし……調整すればできるかなぁ?



「リアちゃん?」



「あ、ごめんね。

ちょっと魔道具で思い付いたものがあって、出来るかどうか考えちゃった。

んー!

セリちゃんこのケーキ美味しいよ!

一口食べる?」



「うん食べる!

リアちゃんもこのケーキ一口食べてみてー!」






      *  *  *






……………近頃街を歩いていると視線を感じる。

アヴィへの視線かと思ったけど、何か私っぽいんだよね。

アヴィを好きな女性が敵意を私にって感じじゃないんだよねー…。



「どうしよっかなー?」



「リア、引きずり出す半殺しにするか?」



………何か、副音声が聞こえなかった?

うん、気のせいじゃないね。

目が殺るっていってるもん。




「アヴィ半殺しは止めようね?

………ただ拘束して連れてきては欲しいかも?

目的がわからなくて何か…モヤモヤってする」



アヴィが、ほんの一瞬怒りから魔力を滲ませるもそれはすぐに霧散した。



ドサッ



あ、視線がなくなった。

後ろを見れば、一人の男の子が倒れていた。

アヴィの、あの一瞬の魔力に当てられちゃったんだね。

アヴィが連れてこようと向かおうとしたが、それを服を引っ張って止めて私自身が向かう。






倒れている男の子を見下ろせば、犬耳と尻尾が生えているのがわかった。



「犬の獣人くんでいいのかな?」



「あぁ、コイツは犬だ。

………狼じゃないからな?」



犬と狼を同等にするなよ、ということですね。

了解です。



「この子は何が目的で、私を見ていたんだろう?

視線に負の感情とか何も感じなかったんだよね。

ただ、私を見てるってだけ」



「起こすか…」



アヴィが足下の男の子のお腹を蹴った。

………加減はしててもあれは痛そう。



「ガッハ……………。



いっつぅぅぅー………何が起き───



あ」




「お目覚めかな、少年?

なぜ私を見ていたか、目的を素直に吐きなさい」




うむ、こういうときはニヒルな笑みをと思ってしているつもりだが……ちゃんとできているだろうか?




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