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第3章 北の都市スウェトルノーツ
2.まさかの○○○が奥さんです
しおりを挟むスマホの画面が割れたー!って思ったら保護フィルムのガラスでした…焦りました(;´∀`)
───────────────────
本日、初の異世界の宿を体験しております!
地球の旅館やホテルより格段にランクは下だけど、初めてって何でもワクワクドキドキするよねー?
あ、そうそう!
ここのお宿名は『おっさんの宿』っていうんだってー。
まんま、だよね?
あと、この宿の店主のあの厳ついおじさんの名前も聞きました。
ヴェン・ジャアミンっていうんだってさー………前世の低木の木の名前に似てる、ふふ!
コンコン
『リア、そろそろ夕飯の時間だ』
「はぁーい!」
おお、もうそんな時間なんだー。
楽しいと時間の経過が早いわー…。
私は機嫌良く、アヴィの待つ扉の外へと向かった。
* * *
一階の泊まり客以外も食べれる食堂へ行けば………8歳くらいの女の子が泥酔していた。
え?!
たしかこの世界でも、お酒は16歳からって制限があったはずだけど?!
……あ、もしかしたら小人族なのかもしれないか。
ふぅー…焦ったぁー。
「セレイン…まーたジュース飲んで酔っぱらいの振りしてんのか。
…あぁ、お前また振られたのか?」
「うぅー…またって言うなー。
…ザック…49人目よ………くすん」
酔っぱらいの振り?!
……あれ、演技だったんだ。
すごい、わからなかった。
…でも、なぜジュースで酔っぱらいの振りなんてしてるんだろう?
「次振られたら50人目になるのか……。
惚れやすいお前ならすぐなっちまいそうだな!
ガハハハ!」
「うっさいわ!
どーせ、惚れっぽいわ…よ……っ?!
か、かっこいい!!」
およ?
あの子こっち見てー…あー、アヴィか。
アヴィかっこいいからなー。
そう考えていたら、あの子がアヴィの目の前にものすごい速さでやってきた。
「あ、あの!
私、セレイン・フラウスといいます!
お名前を教えていただけませんか?
それと、良かったらこの後一緒に夜のデートにでも───」
「悪いが…俺にはこいつがいるからデートには行かない。
諦めてくれ」
おおぅ…ソッコーで振ったよアヴィってば。
というか、また嘘言ってるし。
「そ、そんなぁー……」
あ、膝から崩れ落ちちゃったよ。
「アッハッハッ!
これで通算50回振られたなぁ!」
「うあーん!
今日は飲みまくってやるぅぅ!」
「お前……さっきから結構飲んでるから腹がチャポンチャポンだろ?
ほら、お腹がぽっこり出てんじゃねぇか」
……ほんとだねぇ。
動いたら口から出ちゃうんじゃ…って、さっき動いてたけど出てこなかったか。
「あ……ト、トイレ行かないとヤバイかも」
「おう、さっさと行かないと振られ女のレッテルに、さらにお漏らしのレッテルも加わっちまうぞー?」
もじもじしている女の子に、ヴェンさんはからかうようにニヤニヤとしていた。
「いーやー!!」
バビューンとあの子はトイレへと駆けていった。
「よし!
これでしばらくトイレから出てこないだろう。
お前ら飯食いに降りてきたのに、付き合わせちまって悪かったなぁー。
今用意してくっから待ってろ」
「うむ」
ヴェンさんが厨房へ消え、私たちは空いてる席へと座った。
「ヴェンさんってお料理できるのねー」
「いや、料理を作ってるのは奥さんじゃ。
獣人族でめちゃ強いんじゃよ」
「へぇー…あとで会えるかな?」
「忙しい時間を過ぎれば会えるじゃろう」
食事を終え、まったりしているとヴェンさんがこちらにきた。
「うちのやつも挨拶したいって今来るわ」
親指で厨房を指せば、奥から一人出てきたところだった。
え……。
「これ、うちの家内のアルノア・ジャアミン」
「家内のアルノア・ジャアミンです。
あなたがロドクスさんの養女になったラフィリアさんね!
可愛いわぁー!」
ヴェンさんの奥さんって───
霊長類ゴリラの獣人なのぉぉぉおお?!?!
うん…。
そりゃーめちゃ強いだろうさーねー…。
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