始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

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第2章 リアーシュの町

10.魔女モルアーナ③

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───────────────────



さて、魔女さまを綺麗にしてから翌日になりました。

そうですね……あれはある意味戦争でした。

デッキブラシで究極の汚れと格闘。

しぶといやつでしたが、最後は私が勝ちました!

そうですね、一応命名しとこう。

『魔女さまのお風呂戦争』

うむ、実にぴったりだ!

あ、今日はゴミパッくん(大)を用意してきたので、ひたすら食べさせます。



ただ…少しだけ気になることがあるけど、使ってなにもなければ大丈夫、と思うことにする。








      *  *  *








「モルちゃーん、今日はひたすらゴミを処理するから。

あ、もちろん朝食を作ってからね!」



「あぁ…朝食~。

朝からご飯~朝からご飯~ふへへ~」



そうかそうか……ワケわからない前衛的な小躍りしてるけど、目を輝かせて喜んでいるようなので仕事に取りかかろう。

と、言ってもご飯は炊いてきているのでここでおにぎりを握るだけです。

具材はなんちゃってツナマヨと鶏そぼろ、あとはコーン&チーズの三種!

よし、にぎにぎ開始です!




    ~にぎにぎタイム~




ふぅ、こんなものかな。

えーと、ひぃふぅみぃ……30個あれば大丈夫かな。

ちなみに、おにぎりの大きさはソフトボール位です。

大きいし、量が多いって?

大丈夫大丈夫~。

昨日の夕飯の終わりに知ったんだけど、魔女さま使い魔がいるんですよ。

その使い魔がなんと金色の蛇!

お金が貯まりそうだよね~。

それでその使い魔がよく食べるんだよ。

あ、ほらさっそく匂いにつられて来た……その後ろに魔女さまも。



「美味しそうな匂いがする~。

これ、なぁに?」



「これはねー、お米を炊いて作ったおにぎりっていう料理なの。

中に具が入ってるんだけど、これがツナマヨでこれが鶏そぼろ、あとこれはコーン&チーズなの。

美味しいし、お腹持ちも良いし食べてみて!

ロド兄もね、最近お米好きになってお米料理にはまってるんだぁ」



「お、お米って家畜の餌のあれ?



匂いは食欲そそるし~……た、食べてみる。

この子はもう食べてるわね…」



魔女さまは、おにぎりに恐る恐る口に入れた。



「お、美味しい……美味しいよ、ラフィリアちゃん!!」



「でしょーふふん」



美味しいとわかった途端、魔女さまのおにぎりを食べるスピードがグンッと上がった。

一人と一匹で早食い大会でもしているのかのようだ。



「じゃあ、私はゴミの片付けを始めますねー…って聞こえてないか」



一人と一匹を置いて、私は仕事に取りかかることにした。








      *  *  *








「じゃじゃーん!

ゴミパッくん3号(大)登場~。

大って言っても中型犬の大きさだけどね。

それよりも、この色が不安を抱かせるんだよねー…」



その色とは、紫・緑・茶色のマーブルにつぶらな瞳はピンク色……見慣れれば可愛くも見えてくるけど。

普通にちゃんと動くかなぁ?



「……よし。

ゴミパッくん3号、はいこのゴミ食べてねー」



もきゅもきゅ



「食べる音が1号2号より可愛いな…」



食べ終わっても、特に何も変化は見られないようだ。






「……え、歩いて自らゴミを食べてる?!

足はあるけど、うちの1号2号は歩かないよ!」



ん?

なんかプルプルしてる?

もしかして壊れ……………は、排泄~?!



「ゴミを食べてきれいにするはずが、汚してる?!

ど、どうしよう……」



私が困惑していると、アヴィが慌てることなく教えてくれた。



「リア、あれ臭くないぞ。

あれは土だ」



「つ、ち?



もしかして、ゴミを土に変えて再利用できる仕様が付いてる?

それなら、なんて良い製品!

うちの1号2号もそうだったらよかったのにー」



「いや、リアうちの───」



「あはは~、ラフィリアちゃん汚れちゃった~」



アヴィが何か言いかけてたが、魔女さまの汚れちゃった発言が聞こえ向かうことになった。



「アヴィ、続きはまた後で聞くね!

モルちゃーん何を汚したのー?!」







   * * *







魔女さまのお世話を終え帰宅し、アヴィに続きを聞いて愕然としてしまった。



「およ?

リアは知らんかったのかー。

うちのゴミパッくん1号2号も歩くし土を出してるぞ~。

しかも、良い土なんじゃよ~」



「し、知らなかった………」



「リアは、いつもあいつらが歩いたり土を出すときいなかったからな」



私は、製作者なのにこの6年気づけなかったことに軽くショックを受けたのだった。








      *  *  *








『ぷぷっ。

リアってば、やっと気づいたよ』



『リア、いつも、ゴミ、を、あげに、行って、たか、らね』



『でも…いる…場所…いつも…違って…たんだ…けど………やっ…ぱり…リアは』







『『『鈍いよね』』』







精霊たちに、よく鈍い鈍いと言われているのをあの家で、リアだけが知らない。

ロドクスとアヴィ、それにヒナはリアが自分で気づくまで言わないことにしている。

一生、気づかないかもしれないが………。



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