始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

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第2章 リアーシュの町

8.魔女モルアーナ①

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今日も更新できました♪
最後の方でちょっぴりブラックリアが降臨しております(・ω・)

───────────────────



今日は引きこもり生活を止め、再び冒険者ギルドにて依頼を受けに来ています。

ただし、あの森へ行かなくてはならない依頼は受けません。

領主一家のデジャブな呪い(?)再来となったら嫌なので。








「色々あるけど、どうしようかなー。



……………あ、これいいな」



私が興味を持った依頼は────



〝魔女モルアーナのお世話係
(3日間~日数制限なし)
・家事が一通り出来る方
・動物が好きな方
・根性がある方〟



「ほぅ……あの魔女の世話とな。

あやつは生活能力が皆無じゃから、募集しとるのも頷けるというもんじゃ」



「あれ?

ロド兄の知り合いなの?」



「ああそうじゃ。

魔女も不老不死のようなものじゃからなぁ。

わしとも永い付き合いがあるわい。

魔女契約に違反せん限りは不老不死でいられるからのぅ」



「そっか、じゃあ知り合いじゃなくて友達なんだねー」



「友ではないのじゃ」



……友達、という言葉にロド兄はすごく苦いものを口にしたかのような顔をして、否定してきた。

あまり良い魔女さまではないのだろうか?



「友、と呼ぶのはちょっとと思うが、ただの知り合いって言葉もしっくり来んのぅ。



知り合い以上友達未満で、未友としとこうかのぅ!」



「…あぁ、そう。



それで、その未友さんな魔女さんの依頼を受けてみようと思ってるんだけど……」



「顔は出すが……わしはやらんぞ。

リアがソロで受ければいいじゃろ。


…アヴィも着いていくじゃろうがなぁ」








      *  *  *








魔女さまの家は、商業通りから少し外れに建っていた。

……なんだろう。

ここら辺に、鼻を摘まみたくなるような変なにおいが漂っている。

発生源は、今から入るだろう魔女さまの家からしているみたい…。



「……やっぱりわし、会わずに帰ろうかのぅ?」



私は、ロド兄の腕にしがみつき帰ろうとするのを阻止した。



「私も帰りたい!

でも、依頼を受けたからにはやり遂げるの!

でもでも、何か怖いからロド兄も着いてきて……?」



「うーん…リアのお願いなら断れんのぅ。

腹をくくって魔女に会うか……。



中に入るのがちと恐ろしいが……」



コンコン



……。




ドンドン



………。




ガンッガンッ




──ガタタ




ガッシャーン

〝ギャーッフラスコがぁぁ〟




バタバタ…ガチャ




「お、おまたせしましたぁ~」



出てきた人を見て私たちは絶句した。

き、汚すぎる……っ!

ボサボサの髪についてるの何あれ?!

…魚の骨…?に粘着力のありそうな緑色の物体??

服も元の色がこれなのか怪しい色。

それに何より……この人自身がクサイ!!



「モルアーナ……お前さんきったないわーくっさいわーじゃ!

見てみぃ、お前さんの周りをコバエが沢山飛んどるわ!!」



「……?

あー、ロドクス・オルトゥムだぁ~。

おっひさ~今は若い年なんだねぇ~あはは~。

あれ?

てっきりお世話係の人が、来てくれたと思っていたんだけど……………あ!

もしかしてロドクス・オルトゥムが私のお世話をして───」



「違うわ!

お前さんの世話をする依頼を受けたのはこの子じゃ!」



体を後ろにやりたい衝動と闘いながらも、一歩…半歩前に出て挨拶をした。



「魔女さまのご依頼を受けたラフィリア・オルトゥムです。

 

初対面の方に、こういうことを言うのは失礼だとわかっていますが、言わせていただきます。

魔女さま、ものすっごく汚くてクサ過ぎます!!!」



魔女さまは私の言葉に怒るでもなく、ただ申し訳なさそうにこう言ってきた。



「いやー、自分でもそう思う~。

クサ汚くってごめんねぇ。

えーと、それでラフィリアちゃんさっそく取りかかってもらっても、いいかなぁ?」



「そうですね……取りかかる前に数点購入していただきたい物があるのですが、お掃除とかに必要なので」



「うん、お金ならたっぷりあるから買う買う~」



か、軽いなぁー……。

じゃあ、空気清浄と洗濯とゴミパッくん(大)の魔道具を用意するとして……。



「魔女さま」



「あ、気軽にモルちゃんって呼んで~」



「え、えー……では、モル、ちゃん」



「な~に~?」




「お部屋をポチッと綺麗にしたら、モルちゃんも綺麗にしましょうね」



「わぁー約半年ぶりのお風呂だ~。

嬉しいな~えへへ」














「……いっその事、モルちゃんごと洗濯魔道具(特大)に入れたら綺麗にならないかな?」



「あぁ、それいいかもな」



「いやお前たち、それはさすがに未友として憐れすぎるのじゃ。


一応あんな状態でも人として扱っとくれ……」



ロドクスの悲しげな声音を聞き、リアはモルアーナを洗濯魔道具(特大)に入れるのを、止めることにした。






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