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第2章 リアーシュの町
2.これが冒険者ギルド
しおりを挟む1話更新~♪
そろそろ何か作る話を入れたいですな(・ω・*)
──────────────────
「おー、仮の身分証発行が終わったんじゃな?
じゃあ、行こうかのぅ~」
え?!
跪くおっちゃんをそのままに行くの?!?!
「いやいやいや、おっちゃんがどうしてこうなってるのか説明なし?!」
「ん、わしの名前を知るとたまにあるんじゃよ。
気にしないのが一番じゃ~。
じゃ、冒険者ギルドに行くぞぉ」
ロド兄の名前を知ることで、こういうことがたまにあるの……?
……あ、そういえば。
忘れてたけどロド兄って本とか魔道具で有名だったねー……あははー。
超有名人だということを身近過ぎて忘れがちです。
* * *
町へ入ると馬車が停留していたり、食品店があったり前を子供が追いかけっこしているのか横切っていったりと、人の営みがあった。
おー……ずっと森暮らししてたから、このくらいの人でも酔ったりして?
「人がいっぱい……人酔いしたら酔い止め飲むべき?
それとも、光属性のキュアをかけるべきか?」
「大丈夫じゃないかのぅー?
いつも精霊がリアの側にわらわらいたのじゃから、このくらい平気じゃと思うんじゃが?」
「あぁ……それもそうか。
精霊、いっぱいいたもんね…。
うん、大丈夫かも。
アヴィ、そろそろ下ろして」
「やだ。
このまま行く」
……恥ずかしい。
なんか被ってしまおうか?
いや、却って目立ちそうだからやめよう。
冒険者ギルドへ向かいながらキョロキョロしてれば、パン屋さんや花屋さんあれは鍛治屋さんだろうか?
……み、見られてるなぁーアヴィ。
ついでに抱っこされてる私にも睨みつきで。
体毛の色が変化してるだけで、アヴィ自身容姿が整ってて格好いいもんね。
私としては、元々の色の方が格段にかっこよさが際立ってると思うんだけど、面倒事は避けたいもんね。
あ、ロド兄は女性だけでなく男性にも見られてる…中性的な顔立ちに見えなくもないか。
しばらくそんな視線を浴びながら歩いていれば、剣が交差する看板が見えた。
「ロド兄、あの剣の交差する看板が冒険者ギルド?」
「おぉ~そうじゃよ。
あそこの建物に入って登録じゃ~」
ほぉー…やっぱりテンプレ通り絡まれたりするんだろうか?
……ロド兄とアヴィがいるからないか、そんな展開。
カランカラ~ン
ギルドの扉って、ドアベル付きなんだね。
中へ入ってみれば……左右に掲示板があって正面は受付が…ひぃふぅみぃ…6つあるね。
受付の内側に階段が一つと、受付外側に階段が左右に一つずつ、それにドアが6枚あるみたいだから部屋とかトイレとか何かあるのだろう。
ロド兄の後をついて行き、受付で登録ですね!
受付で登録……と思ったのにロド兄のプレートを見た受付嬢が、ギルドマスターの所へどうぞーって言うんだよ。
訳もわからないまま、ギルドマスターの部屋へ行けば行ったで、私がハグされそうになるし。
それをアヴィが威嚇しながら阻止したりと、なんだこれ状態になりました。
「いやー、すまなかったねーお嬢さん。
オルトゥム殿から、今度開発者が登録しに行くからと連絡が来ていて、ついに来たー!と興奮してしまって……。
あのまま抱きついていたら、オルトゥム殿に半殺しの刑にあっていたよ。
そこの青年、阻止してくれてありがとうなー」
「……アヴィ、あの人もう抱きついてこようとしたりしないと思うから、こんな隅にいるのやめよう?
ほら、あの人のほっぺ見てみなよ。
アヴィの蹴り、あんなに腫れるくらいの威力だったんだからもう正気に戻ったって。
ね?」
うん、可哀想なくらい腫れてる。
耳のとがり具合と、ストレートな白金の髪に淡いエメラルド色した瞳の整った容姿の良さからエルフだと思うんだけど。
……あのほっぺの腫れがすごくて、いい男っ振りが駄々下がりで残念臭までしてきそうだもん。
警戒しつつも、ロド兄の座っているソファーへ腰かけた。
私は……アヴィのお膝の上に乗り引き続き抱っこされてます。
「……ずっと離さないとは、お熱いですなー」
え?!
ここでも勘違いされてる……今度こそ訂正せねば!
「そうじゃろぅ?
毎日熱々じゃて、わしはいつも空気になっとる。
いつもこの子の頭にいるヒナも、わしの所に避難しに来るくらいの熱々っプリじゃ」
ひ、否定する前にロド兄に肯定されたぁぁ~……。
「だからのぅ、リアに手を出したらこの妖精族狼種の黒を持つこの男が、お前の首に食らいつくじゃろぅ。
……というのをよー…く理解しとくようにのぅ~?」
あ、あれ?
なんかロド兄から黒いものが出てないか?
目をコシコシしてからもう一度ロド兄を見てみれば、黒いものは出ていなかった。
私の見間違いだったのかなぁ?
旅の疲れでも出てきた??
* * *
執務室で登録を終え、オルトゥム殿たちがギルドマスターの執務室から出ていくのを見送った。
コンコン
『失礼します』
受付兼副ギルドマスターのナイファ・ワインドが、執務室に入ってきた。
「ギルマス、オルトゥム殿の才ある養い娘はどうでした?」
「見た目は平凡で…素朴な可愛さのある娘だ。
まさに俺の好みだったんだが……すでに番犬、いや番狼がいて手出しが無理そうだ。
しかもその番狼が、黒の色持ちだというからもう絶対無理だろう?
おまけに手出しするなと言ったのがオルトゥム殿なんだよ」
「へぇー……黒い色持ちが側に。
オルトゥム殿にそう言われたなら、手…出せませんねー。
きっとオルトゥム殿は、あなたの好みを把握してるからこそすぐに言ったんでしょうねぇ。
それで、その番狼は黒…なのになぜ私たちに見える色が淡い茶色なのか、聞きましたか?」
「あぁ……すぐに聞いたさ。
黒色だと面倒事を引き寄せるからって、養い娘が体毛が変色する幻影装飾魔道具を作った、と言っていた。
それと親しい者以外に、そう見えるよう作られているんだとさ」
そう言うと、普段あまり表情に変化が見られないナイファが、目を見開くという変化を見せた。
「……番狼がいなければ、私が求婚したいくらいですね」
「あー……お前、才能ある女が好きだもんなぁー。
お互いに残念な結果になったってことだな」
……あ?
ナイファが顎に手を当てて考えてるな。
諦めないつもりか……?
「我々の時は長いのですから、もしかしたらチャンスも生まれるかもしれません。
そのチャンスが完全になければ……諦めましょうかねー…」
あぁ、そういえばこいつの種族は蛇だった。
「…オルトゥム殿と黒の番狼を怒らせることだけはするなよ?」
「えぇ、わかっています」
うぁー、無表情が微笑とかオルトゥム殿の養い娘ラフィリア。
色々と頑張れよ…。
そう心で祈るギルドマスターだった。
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