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第1章 迷々の森
※ティアローゼス視点・ロナジェス視点
しおりを挟む今日も1話更新です(^^)/
最近日が落ちるの早いし寒くなってきました( ´△`)
──────────────────
10年ぶりにロドクスへ会いに行けば、人族の女の子と妖狼の男の子の同居人が増えていた。
はじめ、女の子は私を女と勘違いをしていたが男だとわかっても、全然態度や目の色を変えたりしなかったわ。
偏見、というものがないのよねぇ。
あ……純粋に見惚れてはいたわねぇ。
でも、大体の老若男女は私を見て惚け、その目には欲が浮かぶもの。
それに、作る魔道具が変わっているけどとても便利な物を作っていた。
……たまに変な物も出来てはいたけども。
「ふ………」
「あなた、何か面白いことでも思い出したの?」
「えぇ……ロドクスのところに同居人が2人増えてね。
人族の女の子と妖狼の男の子だったんだけど、女の子の方が変わっていてね。
あ、女の子がラフィリアで男の子がアヴィルトという名前よ」
「あなた…ロドクス様と普通に一緒に暮らせてるだけでも変だと思うんだけど?」
「うん、それは確かにそうだねぇ。
私もそう思ってるわぁ。
だけどね、その子見た感じはとても普通の子なの。
普通の子だけど、はじめ私を女だと勘違いしていたの。
でも、男で女装しているってわかっても態度や目の色を変えなかったの。
それに、作るものが普通じゃないのよぉ。
ほら、最近発売されて人気のスイッチポンでお部屋が簡単キレイってあるじゃない?
あれの製作者なのよ」
「え?!
あれをっ?!
私、あれを初めて使ったときは楽しくて何度もパチパチやっちゃって、壊しちゃったくらい気に入ったものよ!
安いからすぐに買いに行ったわ」
うちの奥さんは好奇心旺盛だからねぇ~。
「クスクス……相当パチパチしたのね。
あと、愛らしいゴミパッくんとかも作ってたわね。
販売目的じゃなく、自分の癒しの為だけに作ったらしいわ」
あら、奥さんの目が輝いたわ……リアに頼まないといけないかも。
「あ、でもそのゴミパッくんって零号が変な仕様なってるっていってたわ。
ゴミを食べるとなぜか口から血が出るって……今は封印してるんだって」
「こ、怖いわね……。
でも、それはそれで興味があるわ」
「あ、それとロナジェスが魔力に邪魔されずお料理を作れるようにって、リアってば魔道具を作ってくれたのよ~」
「え……あの子、お料理を作っても大丈夫になった、の?」
奥さんの問いに頷きで返せば、奥さんの目から涙が溢れでた。
「よかった…本当によかったぁ。
今度、リアちゃんに会ってお礼をしなくてはね!
そうとわかれば、あなたと仲良くお話してる場合じゃないわ!
私、ロナジェスと一緒にお料理してくる!」
涙をぐいっと拭い、輝く笑顔でロナジェスの元へ向かった奥さん。
「あ~……もうちょっと後で言えばよかったわぁ。
そしたら、まだ奥さんここにいたのにぃ………。
いや、違うわね。
私が二人の仲良くお料理してるところに行けば、愛する奥さんと娘の両方を見れるじゃない!
一人でこんなとこにいないで、さっさと二人の元へ行きましょう」
そう思い付いたら、鼻歌を歌いながらティアローゼス以外いないこの部屋からキッチンへと向かったのだった。
* * *
私、ロナジェスは一人自宅の自分の部屋で、数日前まで滞在していたロドクス様のお宅での事を思い返していた。
父から10年ぶりに、連絡が来てロドクス様の所にいるとわかり突撃してみれば、そこにはロドクス様と父だけでなく私の知らない人たちもいた。
一人は人族の女の子でラフィリアといい、リアと呼ぶことにした。
もう一人は……妖狼の男性でアヴィルトと名乗っていた。
この男はいつもリアにくっつき、たまに私に牽制するように目や威圧を向けてきていた。
それに対してリアは全然気づかないし、くっついてることに関しても気にしていなかった………というか、端から見たらイチャついてるようにしか見えないのだけれど。
一瞬目が遠くなりかけたが、首に着けてるチョーカーを思い出しそれに触れた。
「これ、リアが私の将来持つかもしれない気持ちを思って作ってくれたのよね……」
作ってくれたリアの気持ちを思い、頬を緩めながらチョーカーに触れていたら、急に部屋のドアが開けられた。
驚いてドアの方を見れば、父とイチャイチャ中のはずの母が立っていた。
「ママ?
パパとイチャイチャしてなくていいの?」
そう問いかけるも、母はズカズカと部屋へ入ってきて私の手を掴み、私を立ち上がらせた。
「ロナ!
お料理を作っても大丈夫になったって聞いたわ!
だから、ロナと一緒にお料理作りたくてママきちゃった!
今からキッチンで一緒に今晩のお夕飯作りましょう?」
「ママ……………うん!
私、ママの美味しいお料理いっぱい教えて欲しいわ!」
ルンルンと浮き足立つ母と手を繋ぎ、キッチンへと向かいながら繋いでいない方の手でチョーカーに触れ、ロナジェスは心の中で改めてリアへと感謝を送っていた。
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