始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

文字の大きさ
上 下
34 / 110
第1章 迷々の森

31.服、作りまーす。

しおりを挟む
今日は3話を更新です♪
同時更新ではなく10分毎に更新するようにしてみました(#^.^#)

──────────────────




元植物人間さんことマークゥル・パガードさんは、少し休んでからお帰りになりました。

帰り際にリアの頭を撫でながら、頬を赤らめ目を潤ませ何かブツブツ呟いていましたが……なんだったんでしょう?

ブツブツが聞こえていたのかロド兄が〝可愛いじゃろう〟とか〝だめじゃぞ〟とか言ってたんだよねー。

あ、ヒナが可愛くて連れ帰りたいのを我慢してたから、目が潤んで顔が赤かったのかー…そっかー。

でも、ヒナはうちの子なのであげられませんよ?






      * * *






「最近、お散歩に行くと拾うことが多くなーい?

んー…あ!

今日は庭に植えた、わたわた草の成長具合でも見てこようかな~」



そしてやって来ました裏庭です。



「お~、良い感じにふわふわの綿が育ってますなぁー。

ふっふっふっ…これで自分好みの服が作れる」



「今度は、服を作るのか?


……俺の服もリアに作ってほしいな」



およ?

珍しくアヴィがお願いしてきたね。

ふふん、珍しいアヴィからのお願いを断るなんてこと、このリアさんはいたしませんよ!



「いいよ~!

何か注文があるなら言ってね」



「ん……俺からの注文は2つだけ。

動きやすいということと、派手じゃないこと、だけかな。

あとは、リアの好きなようにしてくれていい」



「うむ!

注文承りました~」



俄然張り切っちゃう……ってあまり気合い入れちゃいけないんだった。






      *  *  *






あれから少し経って、綿が大きく育ち収穫時を迎えました。

さすが異世界の綿は一味違いますねー。

1つの綿の大きさが、両手で抱えてやっとって感じなんだよね。

だから、1つの綿に対して大人の服が大体1着できちゃったりする。

前世では、1着150gに対して綿が350g必要だっていうのを読んだ気がする…。

すごい量だよねー。



「うー、念願の前世服が作れるとか胸が高鳴るぅ……あ、でも、あまり違和感あるものは止めとかないとね」



「ぜんせ服というものを作るのか?」



「え?!

あ、えーと、あははー。

まぁ、カッコいい服を作るよ」



必殺、笑ってごまかす発動!



「……いつか、話してもいい時がきたら話してくれれば俺はそれでいい。

いつまでも待ってる」



「……ぅん。

勇気が出たら、話す………」



あうー。

やっぱ笑ってごまかすはダメかー。

でも、いつかはみんなに話してみても…いいかな?

















「よぉーし!

記念すべき第一号のお洋服は……ワイルド系いってみよー!」



「ワイルド系?」



「ふふっまあ、出来上がるの見てて」



使うものは、革素材1枚とわたわた草1個と金属部分用に鉱石1つ、染料として炭を1つと真白綿草1つ用意します。



「えー、白いTシャツと黒い革ジャンを一編に作りたいと思いまーす。

これは想像が大事…明確な想像……。


よし………『錬成』」



あれ?

今日はあまりキラキラ感がないような…?

不安になり、服の出来を見てみるも問題はなさそう。



「ちょっと気になるけど…次の物作ろう。

ジーンズを作りたいからー、わたわた草1個と金属部分にくすんだ金色っぽい鉱石1つ、染料は藍の葉だけでいいかなぁ?

んー、想像で補正してみるかー。


………『錬成』」



やっぱり今日はキラキラ感が少ないなぁー…。

…でも、出来上がりには問題ないんだよねー……なんだろ?

ん、一先ずこの事は置いといて一応上下出来たからアヴィに渡そう~。



「アヴィ、服できたよー。

はい、どうぞ~」



「はじめに俺のを………ありがとう、リア」



……ア、アヴィすごく嬉しかったのね。

リアの心臓ものすごく騒がしい状態になっちゃったわー…。



鼻血、出てないかな?



アヴィは服を大事そうに抱えて研究室から出ていった。

あ、研究室にリアが一人でいるのって初めてかも……。

………。



「さ、次の服に取りかかろう───」




















「で、できたぁー!」



「お疲れ様」



アヴィ、本当に気配消すの上手ー。

全然気づかなかったよ。



あ……わぁー。



「アヴィ、すごくカッコいい!」



「ありがとう……」



アヴィってば照れ照れ~、カッコいいけど可愛い。

いやー、それにしても本当に似合ってるなー。

黒髪にワインレッドの瞳がまた……あ、バーテンダーも似合いそう!

今度作って渡してみようっと。



「あ、アヴィにお願いがあるの。

こっちはロド兄で、こっちがラスの服なの。

私、着替えてくるから渡してきて欲しいなぁって…ダメかな?」



「ん、ダメじゃない。


リア、着替え終わった後の服、楽しみにしてる」



今日は心臓が忙しいなぁ……鼻は、うん、大丈夫だった。






      *  *  *






着替え終わり居間へ行くと───



そこには静寂があった。

目はこちらを見て見開いてる?

え?

どうし……



「リア……その格好はまずい」



「えー…?

ダメ?

似合わない?」



「似合ってるっすごく可愛いっ!

そ……そうじゃなくて……足の線がわかり過ぎてるのが問題なんだ」



んー?

膝上キュロットにタイツ履いて肌は見せてないからOKかと思ったんだけど……これも駄目なの?

ショートパンツも駄目か?

それなら、アオザイを作ってみようかな。



「少々男には目の毒じゃが…ここの家で着るだけならいいんじゃないかのぅ?

すごく可愛いからのぅ~」



「あ、この家の中ならいいの?

じゃあ───」



ここでだけ着ようかな、と言葉を続けたかったけどリアの着ているキュロットがキラキラし出した。

まるで錬成した時のように。



「あ、れれ?

キュロットがスカンツになってる……どういうこと?」



今起きた現象に首を捻っていると、ロド兄がポツリと呟いた。



「たぶん、神が足を隠したんじゃないかと思うんじゃが……」



「えー?

神様が?

なんで??

意味がわからないんだけど?」



アヴィが何か思い付いたようで口を開いた。



「リアを愛し子にした神は…男神なのかもしれない」



神様が男か女かなんて何の関係が?



「つまり、あれなのか?

自分か見るのはいいが、他の男に見られるのは許せない、という男心でということなのか?」



「あー……リアにいたずらやら仕掛けとるくらいじゃからありえるかも知れんのぅー」



……今回は別に害はなかったし、気にしない方向でいこう。

気にしなーい、気にしない。

つまり………いつも通りスルーです。



「お前、その顔はまた流す気だろ?」



………だから、ラス?

心を読んじゃいけないってば。





















『リア、可愛かったねー』



『うん、似合、って、た』



『可愛…い…。

神様…リア…大好…き』



今日のリアの可愛さを精霊王にもご報告。





そろそろ、会いに行く。

行ってもいいよね?



はぁー…しょうがないですねー。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi
ファンタジー
ルル8歳 赤子の時にはもう孤児院にいた。 孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。 それに貴方…国王陛下ですよね? *コメディ寄りです。 不定期更新です!

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

本日より他人として生きさせていただきます

ネコ
恋愛
伯爵令嬢のアルマは、愛のない婚約者レオナードに尽くし続けてきた。しかし、彼の隣にはいつも「運命の相手」を自称する美女の姿が。家族も周囲もレオナードの一方的なわがままを容認するばかり。ある夜会で二人の逢瀬を目撃したアルマは、今さら怒る気力も失せてしまう。「それなら私は他人として過ごしましょう」そう告げて婚約破棄に踏み切る。だが、彼女が去った瞬間からレオナードの人生には不穏なほつれが生じ始めるのだった。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

処理中です...