始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

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第1章 迷々の森

31.服、作りまーす。

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今日は3話を更新です♪
同時更新ではなく10分毎に更新するようにしてみました(#^.^#)

──────────────────




元植物人間さんことマークゥル・パガードさんは、少し休んでからお帰りになりました。

帰り際にリアの頭を撫でながら、頬を赤らめ目を潤ませ何かブツブツ呟いていましたが……なんだったんでしょう?

ブツブツが聞こえていたのかロド兄が〝可愛いじゃろう〟とか〝だめじゃぞ〟とか言ってたんだよねー。

あ、ヒナが可愛くて連れ帰りたいのを我慢してたから、目が潤んで顔が赤かったのかー…そっかー。

でも、ヒナはうちの子なのであげられませんよ?






      * * *






「最近、お散歩に行くと拾うことが多くなーい?

んー…あ!

今日は庭に植えた、わたわた草の成長具合でも見てこようかな~」



そしてやって来ました裏庭です。



「お~、良い感じにふわふわの綿が育ってますなぁー。

ふっふっふっ…これで自分好みの服が作れる」



「今度は、服を作るのか?


……俺の服もリアに作ってほしいな」



およ?

珍しくアヴィがお願いしてきたね。

ふふん、珍しいアヴィからのお願いを断るなんてこと、このリアさんはいたしませんよ!



「いいよ~!

何か注文があるなら言ってね」



「ん……俺からの注文は2つだけ。

動きやすいということと、派手じゃないこと、だけかな。

あとは、リアの好きなようにしてくれていい」



「うむ!

注文承りました~」



俄然張り切っちゃう……ってあまり気合い入れちゃいけないんだった。






      *  *  *






あれから少し経って、綿が大きく育ち収穫時を迎えました。

さすが異世界の綿は一味違いますねー。

1つの綿の大きさが、両手で抱えてやっとって感じなんだよね。

だから、1つの綿に対して大人の服が大体1着できちゃったりする。

前世では、1着150gに対して綿が350g必要だっていうのを読んだ気がする…。

すごい量だよねー。



「うー、念願の前世服が作れるとか胸が高鳴るぅ……あ、でも、あまり違和感あるものは止めとかないとね」



「ぜんせ服というものを作るのか?」



「え?!

あ、えーと、あははー。

まぁ、カッコいい服を作るよ」



必殺、笑ってごまかす発動!



「……いつか、話してもいい時がきたら話してくれれば俺はそれでいい。

いつまでも待ってる」



「……ぅん。

勇気が出たら、話す………」



あうー。

やっぱ笑ってごまかすはダメかー。

でも、いつかはみんなに話してみても…いいかな?

















「よぉーし!

記念すべき第一号のお洋服は……ワイルド系いってみよー!」



「ワイルド系?」



「ふふっまあ、出来上がるの見てて」



使うものは、革素材1枚とわたわた草1個と金属部分用に鉱石1つ、染料として炭を1つと真白綿草1つ用意します。



「えー、白いTシャツと黒い革ジャンを一編に作りたいと思いまーす。

これは想像が大事…明確な想像……。


よし………『錬成』」



あれ?

今日はあまりキラキラ感がないような…?

不安になり、服の出来を見てみるも問題はなさそう。



「ちょっと気になるけど…次の物作ろう。

ジーンズを作りたいからー、わたわた草1個と金属部分にくすんだ金色っぽい鉱石1つ、染料は藍の葉だけでいいかなぁ?

んー、想像で補正してみるかー。


………『錬成』」



やっぱり今日はキラキラ感が少ないなぁー…。

…でも、出来上がりには問題ないんだよねー……なんだろ?

ん、一先ずこの事は置いといて一応上下出来たからアヴィに渡そう~。



「アヴィ、服できたよー。

はい、どうぞ~」



「はじめに俺のを………ありがとう、リア」



……ア、アヴィすごく嬉しかったのね。

リアの心臓ものすごく騒がしい状態になっちゃったわー…。



鼻血、出てないかな?



アヴィは服を大事そうに抱えて研究室から出ていった。

あ、研究室にリアが一人でいるのって初めてかも……。

………。



「さ、次の服に取りかかろう───」




















「で、できたぁー!」



「お疲れ様」



アヴィ、本当に気配消すの上手ー。

全然気づかなかったよ。



あ……わぁー。



「アヴィ、すごくカッコいい!」



「ありがとう……」



アヴィってば照れ照れ~、カッコいいけど可愛い。

いやー、それにしても本当に似合ってるなー。

黒髪にワインレッドの瞳がまた……あ、バーテンダーも似合いそう!

今度作って渡してみようっと。



「あ、アヴィにお願いがあるの。

こっちはロド兄で、こっちがラスの服なの。

私、着替えてくるから渡してきて欲しいなぁって…ダメかな?」



「ん、ダメじゃない。


リア、着替え終わった後の服、楽しみにしてる」



今日は心臓が忙しいなぁ……鼻は、うん、大丈夫だった。






      *  *  *






着替え終わり居間へ行くと───



そこには静寂があった。

目はこちらを見て見開いてる?

え?

どうし……



「リア……その格好はまずい」



「えー…?

ダメ?

似合わない?」



「似合ってるっすごく可愛いっ!

そ……そうじゃなくて……足の線がわかり過ぎてるのが問題なんだ」



んー?

膝上キュロットにタイツ履いて肌は見せてないからOKかと思ったんだけど……これも駄目なの?

ショートパンツも駄目か?

それなら、アオザイを作ってみようかな。



「少々男には目の毒じゃが…ここの家で着るだけならいいんじゃないかのぅ?

すごく可愛いからのぅ~」



「あ、この家の中ならいいの?

じゃあ───」



ここでだけ着ようかな、と言葉を続けたかったけどリアの着ているキュロットがキラキラし出した。

まるで錬成した時のように。



「あ、れれ?

キュロットがスカンツになってる……どういうこと?」



今起きた現象に首を捻っていると、ロド兄がポツリと呟いた。



「たぶん、神が足を隠したんじゃないかと思うんじゃが……」



「えー?

神様が?

なんで??

意味がわからないんだけど?」



アヴィが何か思い付いたようで口を開いた。



「リアを愛し子にした神は…男神なのかもしれない」



神様が男か女かなんて何の関係が?



「つまり、あれなのか?

自分か見るのはいいが、他の男に見られるのは許せない、という男心でということなのか?」



「あー……リアにいたずらやら仕掛けとるくらいじゃからありえるかも知れんのぅー」



……今回は別に害はなかったし、気にしない方向でいこう。

気にしなーい、気にしない。

つまり………いつも通りスルーです。



「お前、その顔はまた流す気だろ?」



………だから、ラス?

心を読んじゃいけないってば。





















『リア、可愛かったねー』



『うん、似合、って、た』



『可愛…い…。

神様…リア…大好…き』



今日のリアの可愛さを精霊王にもご報告。





そろそろ、会いに行く。

行ってもいいよね?



はぁー…しょうがないですねー。




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