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夢々(むむ)

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第1章 迷々の森

28.この瞬間を残したい!

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今日も1話更新です(^^)/

───────────────────




ほあぁぁっ……ヒナってばなんて可愛いの!

声が漏れないよう口を抑え、体も極力動かさないようしていますが…足が微妙に動いてしまう。

……なんか端から見たらトイレを我慢しているのかと、勘違いされるなと思い少し頭が冷静になった。

さて、初っぱなから身悶え中のリアですが、目の前の光景がそうさせるのです。

リアの目の前に何が起きているのかというと───



「ピュイ?」



何か頭についている?

と、首を少し傾げるヒナ。

そして、ヒナが動いても飛ばずにくっついているレースのような羽を持つ蝶。

そしてそして、その背景はあの綺麗な泉に鮮やかな森の草木たち。

その空間に浮かぶは種子の綿毛。



「写真に撮りたい…!」



……。



「そうだよ、無ければ作ればいいじゃない!」



さっそく家に帰って、カメラを作ろうではないか!



「何か思いついたのか?」



「うん!

出来たらアヴィも写してあげるね!」



「写して?

……よくはわからないが楽しみにしておく」



……この今の光景は残せないので、心にしっかりと刻むことにしよう。

あとで、絵にしとこうかな?






      *  *  *






さぁ、カメラ作り開始です!



カメラは、ガラスレンズが必要だから砂は必須だね。

あと、プラスチックってこの世界ないから…軽くて頑丈な素材、あ!

この赤レンガ色したのいいかも!

鉱石素材だから…土属性で広角機能やってみるか。

あと何に写し出すか、ね。

紙なら植物だし木属性よね。

でも、透明な石板に写し出すなら土属性なのよねー…。



いっそのこと、メモリー機能とデジタルフォトフレームも作って、高機能なカメラにしてしまう?

あー、ビデオカメラも一緒に作っちゃおうかなー。

……よし。

そうしよう!



「よーし!

作るものは決まったし、作ってみよ~。

えー、まずはカメラを……『錬成』」



あ、キラキラ今回は一瞬で済んだ。

早くていいわぁー。

さて、カメラの出来は……おお!

バッチリ可愛く出来た~ふふん!



「じゃ、お次はメモリーカードいってみよー………『錬成』」



小さい物だから、早くキラキラ終わるかと思ったけどカメラより長かった……。

キラキラ終わったしカードは…うん、ちゃんと出来てる。



「んじゃ、最後にフォトフレームだね。

………『錬成』」




……このキラキラ感って、模索中なんだろうか?

毎回違うよ。

………まぁ、いいや。


えー、フォトフレームはっと…よし。

今回は何事もなく出来たみたい。

よかったぁー。

では、被写体も近くにいるし試してみようかな?



「アヴィー、カメラが出来たから写真撮らせて~」



「ああ…」



ピカッ   パシャ



「うっ……何だ今の光りはっ?

目眩ましの攻撃か?!」



「ふふっ、目眩ましの攻撃じゃないよ。

そういうものなの~。

どれどれー、ちゃんと写ってるかな~?」



撮った後に確認ができる様にもしたんだよね~。

…やった!

ちゃんと写ってる!



「アヴィー、見て見てー」



「んー?

………これ、俺だよな?

さっきの光りでこうなったのか?」



「んー、光りは必要ないときもあるけどここは室内だし、光りがあった方がアヴィがきれいに写ると思ってフラッシュつけたの」



ふむ、アヴィがまじまじと画像を見てるね。

あ、そうだ。

どうせなら、皆で撮りたいかも。



「アヴィ、みんなで集まって撮りたい」



「そうだな。

みんなで撮るか」



さあ、いざみんなのところへ……と思ったが三脚がないと駄目じゃないか、と気付き追加で三脚を作成しました。








      *  *  *







みんなに家の前に集まってもらった。



「リアや、みんなで写真なるものを撮りたいとか言っていたが……なんなんじゃ?」



「これね、カメラっていうの。

これで記録しておきたい光景を写すことができるんだぁ~。

これ、さっきアヴィを撮ったやつだよ」



カメラで写した先程のアヴィを、ロド兄とラスに見せた。



「この小さな中にアヴィが動かずにいる?

でも、アヴィはここにいていつも通りリアにひっついてるよな?」



「ほおーっ!

なるほどなるほどーっ!

リア!

これ、爺も欲しいのじゃ!」



ロド兄とラスの反応に少し笑いが漏れたが、たしかにラスの言うとおり中にアヴィが入っているみたいに見えるね。

そういえば、写真を撮ると魂が抜き取られると言われた時代が日本にもあったねー。



「ラス、別にこの中に実際にアヴィが入っている訳じゃないからねー。

ロド兄には後で色の違うもう少しカッチリ系のカメラを作ってあげるね。

じゃ、みんなで撮るからここに並んでて、私写る位置確認してくる。

…ん、大丈夫だね。

タイマーセットして戻るっと。




あ、撮るときピカッて光るからねー?」



ピカッ  パシャ



「「め、目が~」」



なんか、あの某アニメ映画のワンシーンがチラッと頭によぎったなぁ……。



「さあって、みんなどう写ってるかな~?




………私のいる所だけ光ってて写ってない。

…………………心霊写真?」



「んー?

あー、こりゃ精霊がリアの所に集中しとるのが写っとるんじゃよ。

このカメラなるもので、精霊が写るんじゃのぅー」



…心霊写真じゃなかったのか………よかったぁー。

見えないから知らなかったけど、精霊って光ってるんだね。








……精霊が見えるようになったら常に眩しいのかな?








あ、ビデオカメラ作ってなかったや……。


























『リアが私たちを見てくれた!』



『嬉、しい、!』



『やっ…たぁ…』



直接ではなかったが、写真なるものに自分たちが写りそれをリアが見てくれたことに、精霊たちはとても喜んでその日はお祭り騒ぎとなった。



「お前たち……騒ぐなら家の側じゃなく森の中でやっとくれんかのぅー。

眩しいわ、煩いわでわしゃ眠れん……」




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