始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

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第1章 迷々の森

21.嵐、襲来?

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今日は2話同時更新&20話の凝視を注視に変えました(^.^)

─────────────────




朝食後のまったりとした空気が流れる中、ロド兄が何か思い出したようでその事を話し出した。



「そういえば、ローゼス。

わしに会いに来るのが10年ぶりじゃったが、いつもより間が開いたのは何かに夢中になっていてのことなのかのぅ?」



「ん~……私ねぇ~10年前に北の山頂から見える綺麗な景色を見たくて行ったんだけどぉ~……」



ロド兄は、ほぅほぅと頷きながらティア兄の話を聞いている……リアも話を聞こうとは思っているが、ただ今アヴィと攻防中だったりします。

この人、隙あらばリアを膝に乗せようとするんだよ。

今回は負けない、負け……ま、負けました。

うぅー、あの悲しい表情はズルい~……あの顔されると、毎回リアが悪いみたいに思えちゃうんだもの。

10戦中0勝10敗……惨敗ですよ。



「お前、それって冬眠じゃろぅ。

あそこ、ずっと寒いのによく目が覚めたなぁ?」



「あー…目覚めたきっかけは人族が火属性で攻撃してきていたからなのよぉ~。

攻撃っていっても、ぽかぽか温かいわぁ~ってくらいだったんだけどね。

あれ冒険者だったと思うんだけど、きっと私を氷龍と勘違いしていたんでしょうねぇ~。

起きた時に伸びをしたんだけど……尻尾が当たっちゃったみたいで、4人全員気絶しちゃったのよねぇ~

まぁ、お詫びに数時間持つよう保温魔法かけて回復薬置いてきたし……大丈夫よね?」



……10年間、冬眠?

尻尾?



あぁ、そっか。

龍人族って言ってたもんね。

人の姿しか見たことなかったから、そういうの考えたことなかったやー。

そっかそっか、ティア兄も龍化できるんだー。

今度、龍の姿を見せて貰おうかな?



「大丈夫じゃろぅ。

あの山を、登れるくらいの力はあるようじゃからなぁ。

それよりもっと重要なことがあるじゃろぅ?

家族へ会いに行ったか?」



「えぇ?

会いに行ってないよぉ?

伝魔鳥は飛ばしたけど、10年間冬眠してたこととロドのとこに遊びに行くってこと~」



「あー……こりゃー、どっちか来るなぁ」



来る?

ティア兄の家族が??

どっちって、両親か兄弟?



───ドガバァァァアン─── 



げ、玄関ドアがすごい音をたてて開けられた。

あ……あんなにすごい音だったのにドア壊れてないやー、丈夫ー。



「パパ!

10年間冬眠って何?!

しかも、目覚めてすぐ会いに行く相手が家族じゃないって、どういうことよ!」



「あらぁ、久しぶりねぇうちの可愛いちい姫~。

元気そうではあるけど、10年前と変わらず反抗期なのかしら?」



「別に元々反抗期じゃないわよ!

五年間よ、五年間毎日何十着も着せ替えさせられたらさすがに怒るに決まってるでしょ!」



あー……あれを五年間ですか。

結構いや、かなーり気長なんじゃ……?



「たかだか五年くらいで怒るなんて……同じ龍人族に言えば〝とても短気なのね〟って言われちゃうわよ?」



……五年でとても短気。

寿命が長いからだろうか?

あ、ティア兄の娘さん(?)が拳をプルプルさせてる。

そろそろ止めないと………。



「ローゼス、娘が可愛いのはわかるがそこら辺で止めないと………嫌われるぞ?」



「ん~、嫌われるのはやだからこれくらいにしとくわぁ。

ごめんねぇロナジェス。

着せ替えはもう少し控えめにするから許してねぇ?

それにしても、ふふ…10年でちょっと大きくなったわねぇ~。

ますます可愛くなったから、パパもっと害虫駆除に頑張るわぁ」



「少し、控えてくれるなら良いわ。

許してあげる…。

あと、私が可愛いかどうかは置いておいて、何でパパが害虫駆除頑張るか意味わかんない。

あ、でも畑の害虫増えてきたからやっぱり害虫駆除頑張ってほしいかも」



それ、害虫違いだよ。

ティア兄の娘さんかぁー…やっぱり女神級の麗しさ継いでてキレイだなぁー。

ティア兄は癖のない青銀髪だけど、この子はゆるふわっとした紫銀髪をしている。

瞳はー…ティア兄と同じで金色のぱっちりお目目ね。

ちなみに、ティア兄は涼しげな目元ですよ。

うーん、リアの兄とはまた違う女神予定の天使だな。

見た目年齢的には、リアと同じかなぁ?



「ところで、ロドクス様以外の方がいるようだけれど?」



落ち着いたからか、こちらにも意識が向くようになったみたい。



「おー、ようやっとローゼス以外に目を向けたかのぅ。

この少女はラフィリアといって9年前からわしの家族になったのじゃ~。

リアの14歳じゃし、ロナっ子と同い年のようなものじゃから仲良くできるじゃないかのぅ?」



「ふ~ん、普通の可愛い子に見えるけど…ロドクス様と暮らしてるってことはきっと普通ではないのね。

私、そこの女装パパの娘のロナジェスっていうの。

よかったら、ロナっ呼んでね?」



前半部分少々言い方に気になるところがあったけど、突っ込んだらダメな気がする。

うん、なんとなく、ね?



「うん、じゃあロナって呼ぶね!

私のことは、リアって呼んでくれると嬉しいな。



あと、私の隣にいる人は妖精族狼種のアヴィルト。

最近成人して、人化できるようになったの」



「アヴィルトだ」



………アヴィ、それだけ?



「そう、よろしく」



………ロナもそれだけ? 













「リアは気づいとらんがアヴィルトは、リア以外には少々素っ気ないからのぅ」



「ロナジェスは、うちの教育方針で男には素っ気なくいるよう言っているから、あんな感じになるのよ。

可愛い顔して、男と接したらすーぐ害虫がウジャウジャなっちゃうからね!」



「親バカじゃのぅ~」



ロナっ子、結婚できるのかのぅ?とロナジェスの将来を、少し心配になったロドクスだった。



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