始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

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第1章 迷々の森

20.変幻色化

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本日も1話更新です♪

───────────────



ある時、ふと気づいたことがある。




「ねえ、今頃気づいたんだけど…最近ロド兄お出掛けするときそのフード付きの羽織って行くよね?

ロド爺の時は、着たとこ見たことないと思って…。

それは、ロド兄の時用のフードなの?




あっ!

わかった!

ロド兄って、後ろから見たら綺麗な長いだもの、女性と間違えられてよく声をかけられ困るから、フードを被って隠してるのね!

ふふ~ん、どう?当たってる?」



リアの名推理(?)にティア兄は笑いだし、アヴィはなぜか背後から抱きつき、ロド兄は面白そうにそしてあの優しい眼差しで、リアの頭を撫でてきた…。

なぜにこんな反応…?



「残念ながらリアの推理はハズレとる。

実はのぅー、黒色というのはとても珍しいのじゃ。

親しい者たちは、この色込みで仲が良いのじゃが…親しくない者らはには、ちと面倒になることが多くてなぁ。

その面倒事を、回避するためにもフードでこの色を隠す必要があるんじゃ」



ふむ……面倒となぁー。

珍しい色…。

そういえば、前世の小説とかで珍しい瞳や髪を持ってると、権力を持ってる奴とか奴隷商とかに狙われやすいって、書いてあったっけ。

そうかぁ、ロド兄もアヴィも退ける力は持ってるけどいちいち相手するのも面倒だもんね。

んー……カツラだと脱いだり被ったりと面倒。

じゃあ、カラーリング?



……ここは異世界。

なら、魔法の力でできるんじゃない?

でも、ロド兄がしていないのはできないってことなのかな?



「ねぇねぇ、ロド兄にちょっと聞きたいんだけど、髪の色を変える事ってできないの?」



「以前、髪の色を変えたくて色々な染料や魔法を試したが……無理じゃったなぁ」




「そう……。

なら、親しい人以外には普通の髪色に見えるような装飾魔道具もダメかなぁ?」



…あれ?

なんか、ロド兄が呆然としてこちらを注視しているけど…なんでだ?



「……かなかった。」




「え?

ごめん、なんて言ったか聞こえな───」



「そんなこと思いつきもしなかったのじゃ!

髪の色を直接変えようとしか……!



リア!

お前さんは本当に柔軟じゃ!

本当にその色にしなくてもそう見えるだけでいいとは…………!」




あー……はは。

違う色に見せるって発想がなかったとは…ね。




「よし!

リア、さっそくその魔道具研究を始め───」



「───る前に朝ごはん食べましょう。

あんたたち、研究はじめると寝食忘れがちなんだから、まずは食べるわよ。

わかった?」



「「はい…」」








      *  *  *









「朝食も済んだことだし、やるかのぅ」



「やるやる~!」



さて、まずは…装飾はどんなものが良いかだね。



「ロド兄はどんな装飾がいい?」



「そうじゃのぅ……邪魔にならん耳か指か腕に付ける物が好ましいかのぅー」



「んー…じゃあ、アヴィはどう?」



え?アヴィいるの?って思った方、アヴィはいつも邪魔にならないよう気配断ちをしてまで側にいますよ。

リアが側に居ないと不安にでもなるんですかね?

どうしてか聞いたことがないので分かりませんが…。



「俺は…耳の物の方が良いかな」



なるほどー…それなら、ロド兄が腕輪でアヴィが耳飾りにしようか。



「ロド兄は腕輪でアヴィが耳飾りでどうかな?

指輪より腕輪の方がしっくりきそうだし、アヴィは獣化するから耳飾りの方が確かに良さそうだよね」



「うむ、腕輪が良いかものぅ」



「あぁ…」



うんうん。

じゃ、次は素材と形を決めよう。

腕輪は、細いか太いかそれともその中間か。



「ロド兄でもロド爺でも合いそうなのは…細くもなく太くもない中間がいいと思うんだけど……あと、サイズ調整と持ち主固定つき」



「おお、そのくらいの太さが良さげじゃな。

その他の見た目の造形は、派手じゃなければ良いからリアの好きに作ると良い~ぞ~」



ロド兄は決定、と。

んーと、アヴィの耳飾りは…穴も開けずに挟んだりもしないでつけれないかなぁ?



「アヴィの耳につける時とかつけてる時、痛みがあるのは嫌だから耳たぶに触れるだけで、そこに吸着して離れない物を作ろうかなぁーって思ってるんだけど。

これも持ち主固定つき」




「確かに痛みがあるのは嫌だから、出来るのならばそうしてもらえると助かる。

見た目の形は…リアの好きなように作ってくれて構わない」



アヴィもこれでよしっと。

あとは、素材かぁー……。



「リア~、この素材なんかどうじゃ~?」



ロド兄が持ってきた素材は…ブラックオニキスかな?

確かー…魔除けの意味合いがあったような…。



「意味合い的にも素材かも!

それに、透かし彫りとかカット加工とか入れたらカッコいいものができそう!

この素材を出してくれてありがとう~!」



「いや~、たまたま持っていただけじゃ。

この黒い色に吸い寄せられて拾って、そのまま…そのまま……いれっぱなしにしてどれほど年月が過ぎたのかのぅ…?」




……。





「この素材を使って作りましょう。

腕輪の造形………は決まった。

サイズ調整は素材が石だから土属性で、持ち主固定は無属性。

親しい人以外に見えないよう体毛色の幻術は…水属性と光属性で…出来るかな?



それじゃあ、やりますか……『錬成』」



キラキラが消えたら、黒い石が透かし彫り細工の腕輪になっていた。

うん、良い感じに出来上がった!



「はい、ロド兄の腕輪出来たから所有者固定してねー」



「おお!

こんな模様初めて見るのぅ!

黒い色と相まってカッコいいのじゃ!」



ロド兄が、目をキラキラさせて腕輪を受けとるのを見たら、お次はアヴィの番だ。



「アヴィのは、透かし彫りは1つだけで他はカット加工で……よし、造形は決定。

吸着は空間属性で体毛の色の幻術はさっきと同じだから、あとは無属性で持ち主固定、と。



んじゃ、作るか……『錬成』」



再びキラキラしたあと、そこにあるのは考えた通りの耳飾り。



「アヴィ~、出来たから所有者認証してねー」



「っ!

これすごくキラキラしてるな……カット加工でこんなにキラキラするものなんだな。

こんな素敵な良いものをありがとう、リア」



「いえいえ。

ささ、認証しちゃってつけてみて?」



二人とも認証を終え、装着した。



…。



………。



あれ?

変化しない??















「ああーっ!

私、二人ともと親しいから色が変化したか確認できないよ!」



「「あー………そういえば」」



その後、ティア兄から〝ちょっと人がいるところに行って検証してみたら?〟と言われ実行し、成功していることがわかった。



最後にちょっとだけ、うっかりがあったけど成功していたからオッケー、だよね?















『リアってば、黒色が幸せになるための物まで作っちゃった』



『リア、黒の、革命児』



『すごい…けど…うっかり…にぶ…にぶ』



今日も変わらず精霊たちは、リア観察に勤しみ黒色幸せ魔道具を精霊王に語っていた。

そして、それを知った精霊王は……………………直接対面する決意をした。




『…職務を調整をしてからですよ、精霊王様?』




『……わかっている』






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