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第1章 迷々の森
18.妖狼くん○化しました!
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本日の2話目です(^^♪
────────────────
あれから、自衛強化が始まってから一年…二年と過ぎていき、今では成人まであと二年な14歳となりました。
そんなリアは少々…いやだいぶ欲求不満だったりします。
なぜなら───
「この四年間、一切家事魔道具シリーズを増やせてない!」
そう、自衛強化にロド兄に巻き込まれてお料理研究することになったり、ティア兄がどこからか調達してきたお洋服を着せ替え人形のごとくたくさんさせられたり、と魔道具作りの時間が作れなかったのだ。
なので、いい加減魔道具作りを再開したい!
そう思っていたのだけれど……妖狼くんの体調が思わしくなく、心配で家事魔道具なんてあっちへポイッ状態になった。
だって最初の出会い時以来、怪我や病気とはご縁がなかったから……すごくすごく心配です。
「ロド兄、妖狼くんがぐったりしていて元気がないの…。
私、どうしたらいい?」
「んー?
どれどれ…………
あぁ、なるほどのぅ。
もう、そんな時期じゃったかー。
そうじゃよなー、リアだってあともう少しでそうじゃもんなぁ……。
ほんに時が過ぎるのが早いのぅ」
なんだか1人で納得しているが、こちらはさっぱりわからないので説明を早くしてほしい。
頭を撫で撫でする手を、どかしたかったが優しい眼差しでしてるもんだから、どうにも出来なかった…。
ロド兄の、あの眼差しってちょっとズルいよね。
「あの妖狼の状態は、身体が成人を迎えるのに準備しておるんじゃよ。
苦しそうに見えるかもしれんが、病気ではないのじゃ。
これは、どうしても通過しなくてはいけないことじゃから、我々は傍で騒がす静かに見守るのみじゃ」
「うん…私、見守る」
* * *
妖狼くんが、ぐったりしているのを発見した朝だったが、もう辺りは暗く夜中になっていた。
いつもならもう夢の中なのだか、心配で目がさえていて眠気が全然ない。
ティア兄もさっきまで一緒にいたけど、眠気に負け部屋へと戻っていった。
今ここにいるのは、妖狼くんとロド兄とリアの三人だ。
「リアや、わしちょっとお手洗い行ってくる。
もし、変化が起きたら妖狼から目をそらすのじゃぞ。
それから、静かになったところでこれをそっと差し出すんじゃ。
差し出す時も決して見てはならんよ?
じゃ、行ってくるでのぅ」
「……見たら最後に何か起こるの?
そして、この袋に入ってるの何だろう?」
とても気になるが…………見ませんよ?
とは言いつつも、袋に目がいってしまいます。
この時リアは、袋に意識が向いていて妖狼くんの変化を始まったのを、見逃してしまっていた。
そしてどんなに見てもわからないので諦めて妖狼くんの方に目を向ければ────
襟足が少し長めの黒髪をした、精悍でいて整った顔つきの10代後半の男の人が、膝立ちしながら自分の両手の平を見ているところだった……………………服を一切身に付けていない状態で。
「あ、リア見てくれ…俺────」
「いっにゃあああ────!!」
……袋など気にせず妖狼くんを見ていれば、ロド兄の言い付け通りに従い目をそらし裸体を見ることもなかったのに、と後悔した。
* * *
あの騒ぎから少し落ち着き、ロド兄とティア兄も同席し服を着た男の人と、食卓テーブルで改めて対面していた。
まだ少し目が泳いだり、頬がほんのり赤いことは指摘しないでくださいませ…。
「さぁーて、お約束なことをリアはしちゃったが……なるべく気にせんことじゃな。
それと、リアは少し鈍いところがあるから言っとくが…この男は〝妖狼くん〟じゃからな?」
……なんですと?
この男の人があの〝妖狼くん〟だって??
確かに妖狼くんがいた所にこの人がいたけど…。
目の雰囲気は妖狼くんっぽい、けど…。
いまいち信じていないのを感じ取って、男の人が椅子から立ち上がり椅子に座っているリアの横に移動してきた。
「リア、獣化するからよそ見せずちゃんと見ていてくれ」
言われたからにはちゃんと見てます…今度こそ。
じっと見つめていたら、男の人の姿がぼやけていき別の姿がハッキリとしてきた。
「本当に…妖狼くんだったんだね」
久々に異世界あるあるだぁー…とか思っちゃった。
* * *
再び人化した妖狼くんに、真名ではない名前『アヴィルト』を教えてもらいました。
今、彼は初めて人化した疲れもあり休んでいて、ティア兄も眠気がぶり返したようで部屋へと戻っていった。
「妖狼くんって、人になれるようになる種族だったんだねー…。
だから、昔からロド兄は妖…じゃなかったアヴィとお風呂に一緒に入るのだめって言ってたんだね」
「そうじゃよ。
というか、リアも知っていたはずなんじゃが…妖精族狼種は成人すると人化すると種族図鑑に書いてあるのを読んで、覚えていると思っておったんじゃが?」
「ああ!
妖狼くんは妖精族狼種…レアだった!
あ~…レアだっていうの忘れてすっかり違う種族だと思いこんでたやー…」
「ほんにリアはうっかりさんだのぅ。
ホッホッホッ」
「あー…実際にうっかりで違うと思い込んでたから言い返せない~。
あうー…」
この日は恥ずかしいやら裸体のショックから、なかなか寝付けずベットの上でゴロゴロし続けた。
『ロドクス、リアのうっかりをわかっていてあえて言わなかったわね』
『うん、ワザと、言わ、なかった』
『リア…がんば…』
次の日、リア大好きな精霊たちがロドクスにささやかないたずらを仕掛け、これからも気づかずにいるリアの代わりにほんのちょっとだけ復讐を果たしたのだった。
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あれから、自衛強化が始まってから一年…二年と過ぎていき、今では成人まであと二年な14歳となりました。
そんなリアは少々…いやだいぶ欲求不満だったりします。
なぜなら───
「この四年間、一切家事魔道具シリーズを増やせてない!」
そう、自衛強化にロド兄に巻き込まれてお料理研究することになったり、ティア兄がどこからか調達してきたお洋服を着せ替え人形のごとくたくさんさせられたり、と魔道具作りの時間が作れなかったのだ。
なので、いい加減魔道具作りを再開したい!
そう思っていたのだけれど……妖狼くんの体調が思わしくなく、心配で家事魔道具なんてあっちへポイッ状態になった。
だって最初の出会い時以来、怪我や病気とはご縁がなかったから……すごくすごく心配です。
「ロド兄、妖狼くんがぐったりしていて元気がないの…。
私、どうしたらいい?」
「んー?
どれどれ…………
あぁ、なるほどのぅ。
もう、そんな時期じゃったかー。
そうじゃよなー、リアだってあともう少しでそうじゃもんなぁ……。
ほんに時が過ぎるのが早いのぅ」
なんだか1人で納得しているが、こちらはさっぱりわからないので説明を早くしてほしい。
頭を撫で撫でする手を、どかしたかったが優しい眼差しでしてるもんだから、どうにも出来なかった…。
ロド兄の、あの眼差しってちょっとズルいよね。
「あの妖狼の状態は、身体が成人を迎えるのに準備しておるんじゃよ。
苦しそうに見えるかもしれんが、病気ではないのじゃ。
これは、どうしても通過しなくてはいけないことじゃから、我々は傍で騒がす静かに見守るのみじゃ」
「うん…私、見守る」
* * *
妖狼くんが、ぐったりしているのを発見した朝だったが、もう辺りは暗く夜中になっていた。
いつもならもう夢の中なのだか、心配で目がさえていて眠気が全然ない。
ティア兄もさっきまで一緒にいたけど、眠気に負け部屋へと戻っていった。
今ここにいるのは、妖狼くんとロド兄とリアの三人だ。
「リアや、わしちょっとお手洗い行ってくる。
もし、変化が起きたら妖狼から目をそらすのじゃぞ。
それから、静かになったところでこれをそっと差し出すんじゃ。
差し出す時も決して見てはならんよ?
じゃ、行ってくるでのぅ」
「……見たら最後に何か起こるの?
そして、この袋に入ってるの何だろう?」
とても気になるが…………見ませんよ?
とは言いつつも、袋に目がいってしまいます。
この時リアは、袋に意識が向いていて妖狼くんの変化を始まったのを、見逃してしまっていた。
そしてどんなに見てもわからないので諦めて妖狼くんの方に目を向ければ────
襟足が少し長めの黒髪をした、精悍でいて整った顔つきの10代後半の男の人が、膝立ちしながら自分の両手の平を見ているところだった……………………服を一切身に付けていない状態で。
「あ、リア見てくれ…俺────」
「いっにゃあああ────!!」
……袋など気にせず妖狼くんを見ていれば、ロド兄の言い付け通りに従い目をそらし裸体を見ることもなかったのに、と後悔した。
* * *
あの騒ぎから少し落ち着き、ロド兄とティア兄も同席し服を着た男の人と、食卓テーブルで改めて対面していた。
まだ少し目が泳いだり、頬がほんのり赤いことは指摘しないでくださいませ…。
「さぁーて、お約束なことをリアはしちゃったが……なるべく気にせんことじゃな。
それと、リアは少し鈍いところがあるから言っとくが…この男は〝妖狼くん〟じゃからな?」
……なんですと?
この男の人があの〝妖狼くん〟だって??
確かに妖狼くんがいた所にこの人がいたけど…。
目の雰囲気は妖狼くんっぽい、けど…。
いまいち信じていないのを感じ取って、男の人が椅子から立ち上がり椅子に座っているリアの横に移動してきた。
「リア、獣化するからよそ見せずちゃんと見ていてくれ」
言われたからにはちゃんと見てます…今度こそ。
じっと見つめていたら、男の人の姿がぼやけていき別の姿がハッキリとしてきた。
「本当に…妖狼くんだったんだね」
久々に異世界あるあるだぁー…とか思っちゃった。
* * *
再び人化した妖狼くんに、真名ではない名前『アヴィルト』を教えてもらいました。
今、彼は初めて人化した疲れもあり休んでいて、ティア兄も眠気がぶり返したようで部屋へと戻っていった。
「妖狼くんって、人になれるようになる種族だったんだねー…。
だから、昔からロド兄は妖…じゃなかったアヴィとお風呂に一緒に入るのだめって言ってたんだね」
「そうじゃよ。
というか、リアも知っていたはずなんじゃが…妖精族狼種は成人すると人化すると種族図鑑に書いてあるのを読んで、覚えていると思っておったんじゃが?」
「ああ!
妖狼くんは妖精族狼種…レアだった!
あ~…レアだっていうの忘れてすっかり違う種族だと思いこんでたやー…」
「ほんにリアはうっかりさんだのぅ。
ホッホッホッ」
「あー…実際にうっかりで違うと思い込んでたから言い返せない~。
あうー…」
この日は恥ずかしいやら裸体のショックから、なかなか寝付けずベットの上でゴロゴロし続けた。
『ロドクス、リアのうっかりをわかっていてあえて言わなかったわね』
『うん、ワザと、言わ、なかった』
『リア…がんば…』
次の日、リア大好きな精霊たちがロドクスにささやかないたずらを仕掛け、これからも気づかずにいるリアの代わりにほんのちょっとだけ復讐を果たしたのだった。
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