始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

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第1章 迷々の森

15.たまには家族とお話を

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今日は2話同時更新しました(^^)
このお話の後にもう一話あります。
このお話はちょっびっとだけ怖いかも?

──────────────────



私は、あることをするのを忘れていることに気がついた。

それは──────



「そろそろ半年に一度の水晶鏡で、兄弟妹きょうだいたちとの交流をする日、だよね。

なんだかんだ魔道具作りに熱中してて、し忘れるとこだったー。

あっぶな~…」



思い出したことだし、水晶鏡のある部屋へ行って交流してこよう。

今日は誰がいるかなー?




「ロド兄~、ちょっと水晶鏡で兄弟妹きょうだいたちと交流してくるねー」



何かを研究中のロド兄に、声をかけといた。

前に、声をかけずに家の前のところで妖狼くんをブラッシングしてたら…家の中にいなかったから、心配させてしまったんだよね。

 

「ほいほーい………ん?

前回の交流からもう半年経ったのかのぅー。

…やはり、誰かと共に過ごすと月日の経過が早く感じるわぃ。

これもリアとの生活が、面白くあり楽しくもあるせいじゃなぁ、きっと」



「クスクス…。

私もは、月日が過ぎるのが長く感じたなぁ…。

ここでの生活は、毎日面白かったり楽しかったり…たまに怒ったり呆れたりと忙しくて、1日が終わるのがとても早く感じるよ。

あの時精霊さんたちとが、私を保護してくれて良かった」



ロド兄が急に椅子から立ち上がったので、いつものあれか?!

と、身構えたけどロド兄の表情はとても穏やかだった。

そして、頭をゆっくりと優しく撫でてきた。



「わしたちもあの時リアを保護できて本当に良かったよ…」









      *  *  *







珍しくロド兄と穏やかに会話をし終え、目的の水晶鏡のある部屋へと入った。



「えーと、兄弟妹きょうだいを思い浮かべて──────」



「ラフィ、やっと繋げてきたね」



「あ、今日はラト兄と繋がったんだね。

久しぶり~。

ラト兄との水晶鏡で会話するの一年ぶり、かな?

ラト兄率高めだよね~」




兄は、淡い青緑色の瞳を細め柔らかく笑った。

……兄じゃなかったら、鼻血級の天使の微笑みにノックアウトだったよ。

ラト兄は、兄弟妹きょうだいの中でも別格の美しい容姿をしている。

先程の瞳の色に、髪はふわふわ~っとしたハチミツ色で陽に当たると輝く金髪になる。

今はまだ11歳で天使な準騎士だが、いずれ大人になり神様級の麗しき騎士様になるんじゃないかな、と思ってます。




「ここ最近は、ラフィが繋げてくるんじゃないかと、ちょこちょこ水晶鏡の部屋へ来ていたからね。

他の兄弟妹きょうだいたちも、よくここへ出入りしてラフィを待っていたんだよ?

みんなラフィとお話がしたいからね」



おう…まじか。

そんなお話したいと思われるほど、そんなに会話した覚えはないんだけど…?

まー、嫌われてるっていうよりは断然良いか~。




「へぇー…そうなんだ。

あ、そういえば手紙にラト兄が見習いを卒業して、準騎士になったって書いてたね。

5、6年で準騎士って早いって聞いたよ?

すごいよねー!おめでとう!!」



お祝いの言葉を伝えれば、天使な兄は頬を染めはにかんだ。

どうしよう。

目の前に可愛い生き物がっ……!

はっ!

いけない、これは兄これは兄………よし。



「ありがとう、ラフィ。

ところで最近、ラフィは何かあったりした?」 



「最近?

んーと……あぁ!

ロド兄の友人の龍人族さんと仲良くなったよ~。

すっごく綺麗な人なんだぁ。

初めて会ったとき、思わず見惚れちゃったくらいね!」




「へぇー……。

ラフィはその龍人族と仲良くなったのか…友達が増えて良かったね?



ねえ、ラフィ。

もしも、好きな人ができたらお兄ちゃんに教えてほしいな?」




…あれ?

何かー、違和感を感じたけどいつも通りの兄、だよね??

少しだけじっと兄を見つめるも、違和感の正体が掴めないので、考えることを放棄することにした。




「んー……じゃあ、ラト兄もできたら教えてくれるなら私もいいよ?」




ふむ、こういうのは交換条件です。




「そんなことならお安いご用だ。

いますぐ答えられるよ。



僕の好きな人はラフィだよ。

だから、ラフィに好きな人ができたら教えてね?」



さすがシスコン。

迷わずリアの名前を言ってきた。

…頭の片隅で、シスコンなら言うかもとは思ってはいたけど、本当に言うとはねー。




「もう、私は妹だから別枠!

だから交渉決裂でーす。

ラト兄が、いつか妹じゃない好きな人の名前を言った時に、私に好きな人がいたらちゃんと教えるね~。

そもそも、好きな人ができるの無理じゃないかなぁ?

ここじゃ出会いなんてないし」




「(……僕は、生涯リア以外を特別に想うことはないよ。)

だけど、龍人族の人と出会ったのならありえなくないと思う」




前半に何か言ってたけど、小さすぎて聞こえなかったけど、聞いてほしいことでもないっぽいから……いっか。



それにしても、森での出会いねぇ…確かにゼロではないかもしれないけどさー。




「んー、まだまだ好きな人ができないと思うよ?

だから、この話はここまでにして別の話をしよ?」



そして、この後は準騎士の仕事やら私の魔道具作りの話やらをして、交流会は和やかに終了した。













      *  *  *










「また、お前だけでラフィリアと話しただろ。

部屋に入れないように魔法までかけて。



俺たちだって話したいんだぞ」



「僕のラフィに、手紙を出すことは止めてないんだからそれでいいだろう?

本当は手紙も、僕以外となんて嫌なんだけどなぁ……」




「勝手にお姉ちゃんを、自分のもののように言っちゃいけないんだぞー!」




「私もリア姉さんとお話したかった…。」




「みんな…お姉ちゃんが大好き?

ラフィート兄ちゃんはラフィリアお姉ちゃんを独占したい…?


でも、僕も…ラフィリアお姉ちゃんが大好き。


いつか…ラフィリアお姉ちゃんと…再会できたらずっと一緒。

一瞬も…離れたくない。

もし、ラフィリアお姉ちゃんが死んだら……?

僕も死ぬ。

逆なら……?






…………ラフィリアお姉ちゃんを殺して一緒に逝ってもらえばいいよね」







この時他の兄弟妹きょうだいたちは思った。

この一番下の弟だけには、ラフィリアに会わせてはいけないのではないか、と。

そして、あの森にいるのが一番安全なのかもしれない、とも。

でも…そうなると、自分達もラフィリアに会えなくなる問題が出てくると、あたまを同時に悩ませた。














『う、わー。

これ、覚醒、してるんじゃ、ない?』



『会わせたら不味い』



『リア…生涯…森の中…ダメ?』



『そ、れは、リアが、望むなら』



『むー、ロドクスに要相談?』



『もしくは…リア…教え…決めて…もらう?』




リアのことで、兄弟妹きょうだい会議をしているのを覗く精霊たちもまた、リアのことで会議しているのだった。






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