始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

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第1章 迷々の森

12.課題もやりましょう

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各タイトルに番号を忘れている回があったので直しました(^_^;)
今日、新たに書いた話はこれだけです。

────────────────




「さぁー、今日も家事─────」



「魔道具作りも良いが、中級の課題を出すから、それが終わったらまた作ろうかのぅ?」



あー…そういえば、まだ薬草図鑑の中級編の課題出されてなかったかも。



「じゃあ、薬草採取とお薬作りのセットの課題?」



「そうじゃ。

今回は…………みかんとワサビ、それと生姜に青シソの採取と作る薬は、これらを使って毒消し薬を作ることじゃ」



「うん、わかった!

妖狼くん、薬草取りに一緒に行く?

でも、何かしなくちゃいけないことがあるなら、妖狼くんの用事を優先してて、私一人で行ってくるからさ~」



妖狼くんは、声がかかるなりトットットッと、どこかへ行きすぐに戻ってきた。

……どうやら、出かける支度をするために一度離れただけらしい。



「がーう」



「どうやら、妖狼くんは準備万端だと言っとるぞー。

リアも出かける支度をしておいで」



「はーい。

ちょっとだけ待っててねー」



自分の部屋へと戻り、採取道具やらを自作の異次元収納カバンに詰め込んだ。













だいぶ森深いとこまでやってきた。

妖狼くんが、背に乗せて速く走ってくれてるから、たった数時間で来れるんだよねー。

リアが、走ってここまで来るとしたら半日以上かかっちゃうよ。

もちろん、半日以上ぶっ通しで走ることなんて魔法なしでは不可能だから、結局リアの足では1日くらい軽くかかると思う。




「がーう」



「あ、みかんの木あったね!

教えてくれてありがとう~。

じゃ早速採取に取りかかるかな」



各みかんの実の位置を確認して、魔法をかける位置をそこに固定、あとは術の起動のみ。



「えーと、起動するには指パッチン、と」



ボトッボトボトボト────



「わぁい!

みかん大量だし、術もうまくいったぁ~」



「がう!」



妖狼くんもしっぽをフリフリして、大量のみかんと術の成功を喜んでくれてるみたい。



「よーし!

行きに青シソと生姜は採取したし、ここでみかんも採れたし、あとは帰りにワサビを採れば採取の課題はクリアだね~。

んじゃ、ワサビ採りへレッツゴー!」



「がーうがう!」



※妖狼くんは、レッツゴーの意味を知りません。











帰りにワサビのある沢に寄り、家へ夕方前には帰って来ました。

妖狼くん様々です。

ありがたや~ありがたや~。




お薬作り……の前に、夕飯作りしちゃわないと。

今日はー、生姜を使った猪のしょうが焼きにしよう。




ジュー……




「んー、いい匂い『ぐぅーきゅるるるるー』……ロド兄、お腹空いたのね。

ふふ…ちょうど出来たから食べよっか?」



「うんまいのぅ~。

年々、腕をあげとるなぁー。

いずれはお嫁にいくんじゃろうが……もう少しじじいの側にいてくれなぁ?」



「いやいやいや、ロド兄今おじいさんじゃないでしょ。

それに私まだ10歳だし。

相手もいないよ。

それに、もしかしたらずっしり独身かもしれないもの」



「あー…………確かにのぅ。

リアをお嫁さんにするには、たくさんの障害があるものなぁー…。

独身もありえるかものぅ」



ひ、否定せずに独身を肯定した?!

しかも、たくさんの障害ってなに?!

……はっ!

森の中、しかも迷々の森に住んでる時点で出会いなんてゼロ。



「そうだね…迷々の森にいることが最大の障害だよね。

それに、まだ精霊さんたちから森を出る許可は無理そうだし……。



確かに、ちよっと考えるだけでも色々障害が思いつくよ」



「あー……いや、それも障害と言えばそうじゃがのぅ」



「んーまぁ、結婚するかなんてまだよく分からない未来は置いといて。

とりあえず、まだまだロド兄と妖狼くんと…精霊さんたちに、お世話になるのは確定でしょ?

だから、これからもよろしくね!」



「......そうじゃな。



まだまだよろしくなのじゃ、リア!」






















『本当の障害は、リアの兄弟たちよねー?』


『でも、リア、気づいて、ない』


『鈍感…?』



外から覗く精霊たちの話を、リアの側で妖狼くんが横になり目を閉じていたが、耳を立てて聞いていた。







   * * *







夕飯も美味しくいただいたし、あとはお薬作るだけだね。



「まず始めに、青シソをすり鉢で滑らかになるまですって、と」



ずりずり……



すりすり……



「よし、青シソはこれでOK。

次は、ワサビと生姜をロド兄作おろし器ですりましょー」



ずりずり……



ずりずり……



「うっし、この工程もおーわりっ!

最後のみかん、じゃなかったーあっぶなー…。


みかんの前に、青シソ・ワサビ・生姜を混ぜておかなきゃいけないんだったー」



まぜまぜ~



「…よく、混ざった、かな?


今度こそ最後のみかーん!

みかんは皮ごとぎゅぎゅー……っと、さつき混ぜたところへ入れて、再びよーく混ぜるんだよね」



まぜまぜ~



きららーん!



「このキラキラが完成の合図って書いてあるけど、本当にキラキラするよねー、毎回……。

前世の物を使って、こういう異世界観があるとまだちょっと違和感感じるなぁー。




いつか慣れるかなぁ?」







    * * *







そして、できたお薬を複製装置で作ったビンに入れ、ロド兄に渡して鑑定してもらって、品質に問題なければ今回の課題終了ー。



「ふむふむ、何も問題なしじゃ!

良くできとるのぅ。

そんなおりこうさんには、ハグとなでなでのご褒美じゃ」



「いや、結構です」



リアの言葉にショックを受けていて、伸ばしかけた腕をそのままにして止まっている。



「な、なぜなのじゃ?」



「え?

もう10歳だし、そろそろ遠慮したいかなって」



「そんなぁ~、わしの楽しみなのじゃ。

ほら、抱っこじゃ抱っこ!」



ロド兄が、腕を広げすごい速さで迫ってきた。



「いやー!」












「うむ、ほんにリアは可愛いのぅ」



「うぅぅー…。

結局捕まっちゃったよー……もう10歳なのに、グスン」













『諦め、大事』



そう呟く精霊に、リアはもちろん見えていないので気づかなかった。









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