始まりは最悪でも幸せとは出会えるものです

夢々(むむ)

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第1章 迷々の森

6.ふわもふっ子、拾っちゃった

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ふわもふ登場です(*´∀`*)

――――――――――――――――




どうも、ラフィリアです。

現在、ロド爺から出された課題の薬草採取のために森の中を探索中なり。



あの両親の元から、逃げ出してから一ヶ月ちょっと経ちました。

この一ヶ月ちょっとの間に、水晶鏡でラト兄や他の兄弟とお話したり薬草図鑑を丸暗記させられたりロド爺の美味しいお料理を食べて体重を増やしたりと色々充実してました。

今は体力作りも兼ねて、図鑑の薬草をちゃんと覚えているのかの確認の為、課題としてロド爺が言った薬草を取りに森に探しに来ている。

探索に出るのは週7日の内3日間。

他の日は、3日間はお薬作りか図鑑とにらめっこで、残りの1日が自由に好きに過ごす日って感じかな。

月日に関しては、12ヶ月っていうのは変わらないけどひと月が30日なんだよね。

だから、日数的には前世が365日だったのが360日で1年になる。

四季も春夏秋冬ってちゃんとある…けど台風や吹雪っていうものはないみたい。

前世よりも過ごしやすいのかも?

ちなみに、今の季節は夏近い春である5月だよー。



「んー…と、赤シソと青シソ、たぶんここら辺だと…………………あっ!」



いっぱい茂ってるとこみーっけ~。



「異世界で赤シソ青シソがあるとはねー………ん?

なんかー…茂ってる中に黒いモノが…………………毛玉?」



確か、森の中には魔物が一切いないって言ってたから、精霊?動物?…昆虫?



「とりあえず、触ってみよう。

う、うわぁぁぁあ………っ!

なんていうふわもふ心地なのー!





あれ?

なんか今ヌルっとした箇所があった?





…ぬぉー!

あ、赤い!?血?血なの?!」



そーっと毛玉を持ち上げて見てみると、毛玉なるものは手のひらサイズのまん丸フォームにちゃんとワンコ系の耳としっぽ、それに4つの足があるのが確認できた。

そして、怪我の箇所も見つけた。

お腹部分から出血している。



「早く治療しないとっ。

えーと、傷薬でいいんだよね?



これは違う…これ、も違う………あ、これこれ!



傷の範囲からすると指ひとすくい分、かな」



ゆるめの緑色した軟膏を指につけ、黒ワンコの腹部の怪我部分にぬりぬりっと。

眼の前には前世ではありえない光景、塗った側から傷が癒えていき怪我のあった部分は完全に塞がり、毛のない部分があるだけになった。

毛だけは自然に生えてくるのを待ちます。



「よっし!

ロド爺から薬の出来は保証は得ていたけど、本当にちゃんと出来てて良かったー…。



お?

目が覚めたかな?」



手のひらの上で、まん丸黒ワンコ(?)がちっちゃな4つの足で立ち上がってひと震いしてから、これまたちっちゃいお目々でこちらを見つめてきた。

か、かわいいーっ…!



「もう痛いところはないかな?」



「きゅん!」



こ、声までかわいいとかっ…!

身悶えたいが、我慢です!



「もう怪我しないように気をつけるんだよ?

じゃあ、元気でねー」



可愛くて連れて帰りたいが、帰りたいが自然に返すのが一番だから、黒ワンコの乗った手のひらを地面スレスレまで下げた。

けれども、一向に黒ワンコは降りずラフィリアを見つめていた。



「降りないの?」



「きゅん!」



「えーっと、じゃあー私と一緒にいたい、とか?

なんちゃって」



「きゅんきゅん!」



冗談で言ったのに、黒ワンコは嬉しそうに首を縦に振って肯定してきた。

あれ、この子人の言葉が理解できてる?



「あー…じゃあー、赤シソ青シソの収穫終えたし一緒に帰る?」



「きゅん!!」



あ、完全にこちらの言葉理解して頷いてるわ。

ふふふ…黒ワンコのお持ち帰り(?)承諾を得られたし、連れて帰ることにしようではないか。















ロド爺によると、この黒ワンコは妖精の一種で妖狼なんだけど黒いのは初めて見るそうな。

ワンコって言ってたら、怒ってたかもしれないな~。

レア種との遭遇、これも、転生もしくは神の愛し子によるものだったりするのかな?





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