初キスから初恋に?

夢々(むむ)

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今日は更新できました(^ν^)

───────────────────




ふ、昨日は笑顔という名の脅迫に屈し心が折れましたが、弟に癒され復活です!

さあ、攻略キャラだろうがバッチコーイです!



「おはよう、野々宮さん」



「おはよう、野々宮姉弟」



「...お早う御座います」



「おはよう、匠馬兄に木原さん」



すみません、朝のイケメンスマイルだけで復活したはずの心が折れそうです......。

察した弟が、背を撫でてくれちょっとだけ復活です。

弱い姉でごめんよぉー。



「じゃあ今日も姉をよろしくお願いします」



そう言って弟は学校へと向かって行った。



「俺らも行くぞ」



まっつんに促され、私たちも学校へと向かった。









学校に着き、私を教室に送りさぁ各々の教室に向かう...というところで、思い出したお弁当。



「二人とも、送り迎えのお駄賃のお弁当渡すの忘れてた、はいどうぞ」



二人にお弁当を差し出した。



「のっこのお弁当久しぶりだ」



「わあ!今日もお昼が楽しみだ」



とまぁ、お弁当を受け取った二人はこんな感じでした。

ちなみに小桃はというと───



「はぁ........今日もノノの手作りお弁当が食べれるなんて し あ わ せ ~!」


と、お弁当食べながら陶酔していました。

......普通に美味しいお弁当なだけだと思うんだけどなぁー...?






そういえば...朝、教室であの二人にお弁当を渡しちゃったけど私、無事ね?

二人の言葉を信じていいのかな?






      *  *  *






無事放課後になり、またまっつんが教室に来ましたが、彼もまた音もなく現れまっつんを力業で連れ去りました。

彼は何か武術でも嗜んでいるんだろうか?



「野々宮さん、お待たせしちゃったかな?」



「......いえいえ。

ちょうど、まっつんと生徒会書記の灰堂くんが去っていったところだったので待ってません」



「あぁー......なるほど。



あ、そうだ。

野々宮さん、帰る前に少しだけ部室に寄って行ってもいいかな?」



「ええ、いいですよー」



......と、気楽に返事を返してしまった私のアホさ加減が憎いわ~...!

だって気楽に返事をしていれば、こんな、こんな........



「珍獣を見るような目で見られることもなかったのに......」



「ははっ野々宮先輩を珍獣のように見てしまうのはしょうがないっすよ」



「そうそう。

あの陽二が幼馴染以外の女子と一緒にいるっていうのがまず一つ!」



「二つ目は、昨日からあいつ告白されてもあの例の言葉を言わなくなったことだな。

そのことに今あいつを好きだという女子たちは、告白記念が~っと嘆いている」



「それで君が木原の探していた女の子なのではないか?

...と俺たちサッカー部の中でちょっとだけ騒ぎになっている。



君は木原の思い出の女の子、なのか?」



......思い出の女の子、というのはなんでしょう?



「あ、この反応だと野々宮先輩知らないみたいっす」



「あのー、もしかして木原くんは思い出の女の子を探し出すために『キス魔』になっているのですか?」



「そうだ。

俺たちも詳しくは聞いていないんだが、幼い頃ぶつかった女の子とキスをしたらしい。

その後、その子とのキスが忘れられず成長し、あいつはその子を探そうと決心したらしいんだ。

だけどな、顔は大きい眼鏡が反射しててよくわからなかったとかで、覚えていないんだと。

それで悩みに悩んで木原はこう思ったんだ、そうだキスなら今でも覚えているってな」



「え......まさか、それで木原くんは『キス魔』に?」



「「「「そう!」」」」



えー.......そんなんで普通、わかるかぁ?

あ。






「お ま え ら ......」



彼らの背後に木原くんが立っていたが、木原くんの背後に般若の幻影が見えてしまうのはなぜだろう?



「「「「ぎ(き)ゃー!」」」」



あれ?

今、一人だけきゃーって言った人がいたような??






      *  *  *






「あのー......彼らは明日ちゃんと生きているのでしょうか?」



「ん?

あぁ、大丈夫じゃないかな?

明日にはケロッとして学校に来ていると思うよ?



................たぶん」



たぶん........?

そんなに、思い出の女の子の話を私に話されるのが、許せなかったんですかね?

あんな、あんな地獄のトレーニング方法を監督に渡すなんて......!



「でも、あれはキツいですよ。

決められた鬼畜な時間内にクリア出来なければ、過去の恥ずかしい事を大声で叫ぶ、だなんて......。

私だったらもう登校拒否ものです」



「んー......でも、以前にも実施してるトレーニングだから何とか乗り越えられると思うよ?

........................たぶん」



そのたぶんが不安にさせるんですよー....。

木原くんと、そんなやり取りをしながら校門から出ようとしてた時、後ろから声がかけられた。



「あの!」



背後を振り返れば......甘ロリ系な背が低めのゆるふわツインテール女の子がいた。

ロリータ服着せたいわぁー......。

脳内でロリファッションを展開させてれば、その子は木原くんへと駆け寄りキス........をしようとして、木原くんに頭を押さえられ阻止されていた。

私は脳内展開をやめ、目の前で起こった出来事にただ驚き固まっていた。



「君、昨日の子だよね?

急に襲撃してくるとか何考えてるの?」



「くっ......昨日告白したっ...のにキスしてもらえっ...なかったから、キスをしっ...に来たの!

お願い!

私っ...も陽二くんとっ...のキスの思いっ...出が欲しいの!!」



この子...すごい根性ね。

木原くんに頭を押さえつけられながらも、ちゃんと要求を口にしてるわー...。

木原くんとキスしたいがために、これだけできるのも乙女パワーがなせる業ね。

拍手を送りたくなったが、やったら最後般若木原くん再び!になりそうなのでしません。

自分の命が大事なので。



「昨日も言ったはずだ。

これからは告白してきても僕はもうあの言葉を言うことはないって。

それでも、もし諦めずにしつこくするようなら何されても文句は言えないよね?

って伝えたはずなんだけど?」



「木原くんになら何されてもいいわ!」



おーぅ......彼女はまるでどっかの信者のようだ。

うん、恋は盲目というのはピッタリの言葉だね。



「いつ僕自身が罰を与えるって言った?

罰を与えるのは僕じゃない。

そういうのが好きな奴に、頼むに決まってるだろう?」



「え......」



うわぁー......庇護欲をそそるだけあって悲しい顔は私の胸に結構くるなぁ。



「この後、あいつに頼んどくよ。



あぁ、あいつってね?

永濱貴一ながはまきいちって言うんだけど、君もよく知ってるよね?

色々と覚悟しといた方がいいんじゃない?



白澤麗香さん」



永濱貴一......彼の噂は少し聞いたことがあるが......やんわりとしたものしか私は知らない。

彼が標的にした人は一日で何ヵ所も円形脱毛症になったり、人が近づくだけで怯えるようになったりという、結果だけしか知らない。

どうしてそういう状態になることになったのかは、一切噂にあがらない。

......すぐ拡散される時代だから迂闊に口にだせないんだろうなぁー。



「な、永濱鬼畜......嘘でしょ?」



今彼女、鬼畜って言ったよね?

彼女は何か知ってたりするんだろうか??



「嘘じゃないよ。

あれを君たちに伝える前に、永濱には頼んでおいたからね。

頼んだ時、嬉しそうだったからきっと第1号の君は特に嬉々としてやるんじゃないかな?」



「いやぁぁぁー!

陽二くんの鬼ぃぃ!悪魔ぁぁぁぁぁ!!」



いやぁー......すごいですなぁ。

木原くんもすごいが、さっきまで恋は盲目状態だったはずなのに、今や好きなはずの木原くんに鬼とか悪魔とか言って走り去って行ったよ。

人って変わり身が早いねー......。

走り去った彼女の、遠くなっていく背中を見続けていたら木原くんが話かけてきた。



「面倒に巻き込んでごめん。

長くなったけど、足大丈夫?

痛くない?」



「......大丈夫。



えー......うん、帰りましょう」



「うん!

足に負担がかからないようゆっくり帰ろうね」



......言いたいことはあったけど、呑み込みました。

木原くんに言えるほど、私は強くないと自覚してるんで。

弱さを認めるのも大事です。






あの後は、何事もなく家に帰れました。

しかし、あの彼女がどうなったかは私は知りません。

名前は知っていても何年何組かは知らないので......。

今、私が出来ることといえばあまり重い結果とならないよう祈るのみです。




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