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続編 開き直った公爵令息のやらかし
48話 ダメになってしまう
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「あ“ぁ…………」
「……シ、シリル……大丈夫、ですか?」
「……大丈夫、とは言い難い、かなぁ…。腰……腰痛い……。んん“っ……喉も…。」
「……………で…ですよね……。」
遂に彼の色香に完全に溺れきってしまった私は、それはもうただの獰猛な獣の様に、シリルを貪り尽くして……抱き潰してしまった。
………やってしまった。
ベッドの上でぐったりと横たわったまま動かない……いや、動けない彼は。
精魂尽き果てた様子だった。
「……サフィルが今までずっと無理するのを渋ってたの、やっと分かった気がする…」
ハハハ……と乾いた笑いを零すシリルに、私はもう頭を下げるしかなかった。
「~~~~シリル、すみませんでした!こんなになるまで無茶苦茶にしてしまって…」
「あー……サフィル。その事なんだけど、お願いだから謝らないで。アレは僕が望んだ事だし……その、正直……ええと、最高だった……から。あんな前後不覚になるまで身も心も昂ったのは初めてだったよ。……羽目を外すってこんな感じなんだね。……あぁ、うぅ、でも恥ずかしいっ……!サフィルは嫌じゃなかった?あんなはしたない僕を目にして……」
「そんな筈ありません!どんな姿でも貴方は美しいです…。美しくて…艶めかしくて……そんな貴方の凄まじい色香に、完全に我を失ってしまいました……。もう、最後の方なんて、本当に酷い……」
なんという事を。
思いっ切り凹んで項垂れる私に、シリルはよろよろと寄って来て、抱き付いて来た。
「!……シリル…」
「いいんだ。……初めて貴方の想いの強さに、全身全霊で応えられた様な気がする。それが嬉しいんだ。望みがまた一つ叶えられて、幸せ。だから、そんな悔いる様な顔しないで、笑ってよ。」
ね?と柔和な顔で微笑まれて。
そんな風に言ってもらえるなんて、こんなに嬉しい事はない。
やっと私が笑ってみせると。
シリルはまたギュッと私を抱きしめてくれた。
「ふふ。サフィル、大好き!」
「私も、愛しています。シリル…」
「またしよう。しょっちゅうは無理だろうけど、たまに……時々。ううん、しょっちゅうでもいいかな。」
「シリル、そんなに私を甘やかさないで下さい。ダメになってしまう。」
ただでさえ忍耐力の無い私を、これ以上甘やかしてはいけませんよ。
お気持ちは、嬉しいけれども。
思わず苦笑する私に、シリルもまた苦笑していた。
「ダメになっちゃうって言うなら僕の方だよ。ほら、反動で全然動けない。だから今日一日ゆっくりダラダラさせて…」
「もちろんですよ。ゆっくりお体を休めて下さい。」
「うん。お言葉に甘えて、そうさせてもらう……。」
フッと笑ったシリルは、そのまま、またスヤスヤと眠ってしまわれた。
けれど、体の倦怠感とは裏腹に、その寝顔は実に満足そうで。
あぁもう、本当に。
貴方はこれ以上私を悦ばせて、どうしてくれるのでしょう。
あれだけ激しく重なり合って、強く強く愛し合ったのに。
幸せに満ちた表情を浮かべる貴方の寝顔を目にしてまた、愛おしい気持ちが湧いてきて、止まらない。
彼の眠りを妨げない様に注意しながら、その額にキスを落とした。
…で、その辺で止めて置けば良かったものを。
深く眠りについて、ちょっとやそっとじゃ目を覚まさないのをいい事に、つい。
その可愛い額だけでなく、ほんのりと朱に色付いている柔らかな頬にも、ちゅう。とキスをして。
「……ぐぅ。」
「フフッ。シリル、可愛い……」
その白く細い首筋は、とても魅惑的。
いつも、むしゃぶりつきたくなる。
初めて前世で喰らい付いた時は、乱暴に噛み付いて、痛めつけてしまった…。
だから、今度は同じその場所に、違う形で跡を付けたくなって。
彼を起こさない様に注意しながら、ちゅうぅぅ。と強めに吸い付いたら。
「…んんっ…」
(あ、マズいっ)
「……すぅすぅ…。」
(……危なかった。)
少し眉根を寄せた彼だったが、私が慌てて口を離すと、すぐにまた穏やかな寝息をたてて眠っていた。
……馬鹿だ、自分は。
あそこまで彼の身を酷使させておいて、その上……まだ。
もう、これくらいにしておこう。
そうでないと、また変な火が付きそう……。
いけない、いけない。
そう思って、自分ももうひと眠りしようと、上掛けを引っ張り上げた時。
「……ん…さひぅ……ふふっ…すきぃ………。」
「……………。」
本当に自分は、馬鹿だと思う。
幸せそうに寝言を呟いて安らかに眠る彼は、滅茶苦茶愛らしいのに。
その彼の夢の中で睦み合っているであろう自分にすら、何故か嫉妬を覚えて。
負けたくない一心で、彼を起こさないギリギリの所を狙いながら、可能な限りその滑らかな肌に吸い付いたら。
気付いた時にはシリルの白磁の肌には無数の鬱血痕が、鮮やかな真紅のバラを散らした様に咲き誇っていた。
その様を見て、ようやく満足した私は、やっと眠りについたのだった。
「……シ、シリル……大丈夫、ですか?」
「……大丈夫、とは言い難い、かなぁ…。腰……腰痛い……。んん“っ……喉も…。」
「……………で…ですよね……。」
遂に彼の色香に完全に溺れきってしまった私は、それはもうただの獰猛な獣の様に、シリルを貪り尽くして……抱き潰してしまった。
………やってしまった。
ベッドの上でぐったりと横たわったまま動かない……いや、動けない彼は。
精魂尽き果てた様子だった。
「……サフィルが今までずっと無理するのを渋ってたの、やっと分かった気がする…」
ハハハ……と乾いた笑いを零すシリルに、私はもう頭を下げるしかなかった。
「~~~~シリル、すみませんでした!こんなになるまで無茶苦茶にしてしまって…」
「あー……サフィル。その事なんだけど、お願いだから謝らないで。アレは僕が望んだ事だし……その、正直……ええと、最高だった……から。あんな前後不覚になるまで身も心も昂ったのは初めてだったよ。……羽目を外すってこんな感じなんだね。……あぁ、うぅ、でも恥ずかしいっ……!サフィルは嫌じゃなかった?あんなはしたない僕を目にして……」
「そんな筈ありません!どんな姿でも貴方は美しいです…。美しくて…艶めかしくて……そんな貴方の凄まじい色香に、完全に我を失ってしまいました……。もう、最後の方なんて、本当に酷い……」
なんという事を。
思いっ切り凹んで項垂れる私に、シリルはよろよろと寄って来て、抱き付いて来た。
「!……シリル…」
「いいんだ。……初めて貴方の想いの強さに、全身全霊で応えられた様な気がする。それが嬉しいんだ。望みがまた一つ叶えられて、幸せ。だから、そんな悔いる様な顔しないで、笑ってよ。」
ね?と柔和な顔で微笑まれて。
そんな風に言ってもらえるなんて、こんなに嬉しい事はない。
やっと私が笑ってみせると。
シリルはまたギュッと私を抱きしめてくれた。
「ふふ。サフィル、大好き!」
「私も、愛しています。シリル…」
「またしよう。しょっちゅうは無理だろうけど、たまに……時々。ううん、しょっちゅうでもいいかな。」
「シリル、そんなに私を甘やかさないで下さい。ダメになってしまう。」
ただでさえ忍耐力の無い私を、これ以上甘やかしてはいけませんよ。
お気持ちは、嬉しいけれども。
思わず苦笑する私に、シリルもまた苦笑していた。
「ダメになっちゃうって言うなら僕の方だよ。ほら、反動で全然動けない。だから今日一日ゆっくりダラダラさせて…」
「もちろんですよ。ゆっくりお体を休めて下さい。」
「うん。お言葉に甘えて、そうさせてもらう……。」
フッと笑ったシリルは、そのまま、またスヤスヤと眠ってしまわれた。
けれど、体の倦怠感とは裏腹に、その寝顔は実に満足そうで。
あぁもう、本当に。
貴方はこれ以上私を悦ばせて、どうしてくれるのでしょう。
あれだけ激しく重なり合って、強く強く愛し合ったのに。
幸せに満ちた表情を浮かべる貴方の寝顔を目にしてまた、愛おしい気持ちが湧いてきて、止まらない。
彼の眠りを妨げない様に注意しながら、その額にキスを落とした。
…で、その辺で止めて置けば良かったものを。
深く眠りについて、ちょっとやそっとじゃ目を覚まさないのをいい事に、つい。
その可愛い額だけでなく、ほんのりと朱に色付いている柔らかな頬にも、ちゅう。とキスをして。
「……ぐぅ。」
「フフッ。シリル、可愛い……」
その白く細い首筋は、とても魅惑的。
いつも、むしゃぶりつきたくなる。
初めて前世で喰らい付いた時は、乱暴に噛み付いて、痛めつけてしまった…。
だから、今度は同じその場所に、違う形で跡を付けたくなって。
彼を起こさない様に注意しながら、ちゅうぅぅ。と強めに吸い付いたら。
「…んんっ…」
(あ、マズいっ)
「……すぅすぅ…。」
(……危なかった。)
少し眉根を寄せた彼だったが、私が慌てて口を離すと、すぐにまた穏やかな寝息をたてて眠っていた。
……馬鹿だ、自分は。
あそこまで彼の身を酷使させておいて、その上……まだ。
もう、これくらいにしておこう。
そうでないと、また変な火が付きそう……。
いけない、いけない。
そう思って、自分ももうひと眠りしようと、上掛けを引っ張り上げた時。
「……ん…さひぅ……ふふっ…すきぃ………。」
「……………。」
本当に自分は、馬鹿だと思う。
幸せそうに寝言を呟いて安らかに眠る彼は、滅茶苦茶愛らしいのに。
その彼の夢の中で睦み合っているであろう自分にすら、何故か嫉妬を覚えて。
負けたくない一心で、彼を起こさないギリギリの所を狙いながら、可能な限りその滑らかな肌に吸い付いたら。
気付いた時にはシリルの白磁の肌には無数の鬱血痕が、鮮やかな真紅のバラを散らした様に咲き誇っていた。
その様を見て、ようやく満足した私は、やっと眠りについたのだった。
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