全てを諦めた公爵令息の開き直り

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続編 開き直った公爵令息のやらかし

44話 背徳的な※

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「シリルッ」
「サフィル……んぅ…」
「ふ。……んむ?」

熱に浮かされた様な表情でぽ~っとしていたシリルだったが、私が欲望に負けて彼に手を出す前に、今度は彼の方からキスをされる。
嬉しくて受け取ったら。
そのままベッドに押し倒されてしまった。

私の方が押し倒す事はあっても、彼の方からされるなんて事、初めてで思わず目を丸めてしまったら。
彼はそのまま私の口内を貪ったが、そっと離され、フッと笑みを零した。
それは、今まで見た事の無い、挑戦的な笑みで。

「…っ」

また目を丸めて呆気に取られていると、彼はまるで私を優しくも喰らおうとする様な勢いで、首筋から鎖骨、胸、腹へと、滑り降りる様にして啄んでいく。

「…ふ、ん…シリルッ」

少々のくすぐったさも然ることながら、彼の今までにない熱烈なキスの雨に、興奮しない筈がない。
ドキドキと痛いくらいに高鳴る心臓と共に、下の己のソコが、ドクドクと怒張していくのが強烈に実感させられる。
あぁもう、まるで何処まで正気で耐えられるのか、試されている様な心地だ。
今すぐにでもこの怒張し過ぎて痛いくらいの己の欲望を、彼の甘美な蜜壺に無理矢理にでも突っ込んで、その快感に酔い痴れたくなる。

———もう、駄目だ。
興奮し過ぎて、我慢の限界だった。
遂には彼に喰らい付こうと、上体を起こしたら。

「くっ……え?!シリル!!」
「ふふ。んむっ…ちゅ…っ」

彼のキスは更に下へと続いていく。
軽く羽織っていたガウンの腰紐を解かれ、前をはだけさせられて。
何とか隠れていた筈の屹立が、ぶるっと飛び出てしまい。
その晒されてしまった陰茎を前に、うっとりとした顔で微笑んだ彼は。
ちゅぅ、と吸い付くキスをした。

驚いて腰を引きかけた私は、しかし、追って来た彼の唇に捕らえられ……そして。
再び、今度はねっとりとしたキスをされる。

「ぅあ…っ!ちょっ、ダメですシリルッそれ以上は…っ!」

己の陰茎にキスをされて。
私は、初めてシリルと両想いになれて抱いた時の事を思い出して、ぶわっと全身が震えた。

一目惚れした貴方をただ、ずっと一方的に見つめ続けて。
自分が一方的にお慕いするだけでいいと思っていたのに。
その後、あんな酷い前世を知って、深く絶望した。
貴方を好きになるどころか、殺されたって構わないと思ったのも本当なんだ。
今世でまた相まみえただけで、前世の望みは叶ったのだ。

けれど、いざその過去を思い出した途端。
貴方と良い関係を築けていたのに、と……急に惜しくなってしまって。

しかし、思い出してしまったからこそ、あんな惨い事をしてしまった自分は、命を差し出すしかないと思った。
どれほど恨みや憎しみを向けられても、おかしくない筈だったのに。
そんな私をシリルは、憎むどころか愛してくれた。
欲してくれた。
望んでくれたのだ。

もう、それだけで嬉しくて、幸せで、信じられないくらいだったのに。
前世で酷い仕打ちをしてしまったが故に、余計に彼を気遣って、優しく労わりながら抱こうとしたのに……シリルはと言えば。

『僕の事は気にしないで。』

とか。

『面倒だったら、多少乱暴にしてくれたっていいから!』

……とか。

『また、貴方に善くなって貰えなかったら』

……なんて。

きっと、受け入れる方は、こちらが想像する以上に怖い筈だっただろうに。
そんな自分の事よりも、私が悦ぶ方を優先しようと、涙すら滲ませて言って来られたりもして。

それだけでも、貴方を抱ける悦楽に、頭が沸騰しかかっていたのに。
まるで飢えた獣を前に自身を贄として差し出すくらいの、そんな煽り文句にしか聞こえない、恐ろしい程の誘惑だった。
それくらい己の理性を試されているのかと錯覚する様な煽りを受けまくって、それでもなんとか滅茶苦茶にしたりせずに大事にして抱き合えた、初めてだったが。

あの時も、シリルってば……私のソコにキスをして来たから。
それはもう驚いたものだ。
だって、やっぱり怖いから嫌だと、拒絶されてもおかしくないくらいだったのに。
実はあの時、ソコにキスをされた瞬間、不意に思ってしまったんだ。
……フェラされるんじゃないかって。

いきなりそんな事をさせるのはあまりにもあんまりなので、あの時はただただビックリして彼を引き剥がしてしまった訳だけど。
今回は、もうそんな余裕すら……無い。

「…あっ……うぁ…そんな、ダメ…シリル…ぅ」
「ふ。んむっ……ちゅぅ、んちゅっ……さひぅ…ろぉ?ひもひぃぃ?ずちゅっ」
「あっ……ぅあっ…!」

あぁ……あぁ……!
なんて事だ!
眉目秀麗で涼やかな表情も、穏やかな優しい笑顔も、ちょっとあどけない部分も垣間見せる……あのシリルが。
あろう事か、肉欲の塊そのものである己の陰茎に、キスを落とすだけでなく、その赤い可愛らしい舌を伸ばされ、そして。
両手で優しく包まれ、溶けそうな程熱く絡みつく舌を這わされる。

想像以上の気持ち良さに、ただただ翻弄された。
ぴくりと陰茎が震えると、彼は嬉しそうに微笑む。
裏筋を舐め上げられるとビクビクと硬さを増していき、鈴口からとぷりと溢れてきた先走りも、丁寧に舐め取られていく。
そして、舐め終わった後、ソコにまたキスをされ。
彼はその小さい口内に私の屹立を招き入れる様にして含んでいき、容赦なく吸い上げていく。

普段の彼からは想像も出来ないあまりに淫猥な姿に、クラクラする。

「なんて事を…っ!ぅ…っシ、シリルッ!いけません、尊い貴方が私などにこんなっ…あぁっ!!」

ここまで背徳的な光景があるだろうか?
美しい貴方にこんな事をさせてしまっているなんて。
その事実が恐ろし過ぎる。
それなのに、そう思えば思うほど、感じてしまって。
ゾクゾクとせり上がって来る抗いがたい快感の波に、呑まれずにはいられない。
けれど、だからこそ駄目だ、こんな事。

高貴で、誰よりもお美しくて優しい彼に、こんな背徳的な事をさせる訳にはいかない。
いけないのに、気持ちイイ。
ちょっと拙い舌遣いがまた、どうにもそそられてしまう。
ドクドクとせり上がって来る快感を、もう止める事は出来ない。

マズい、マズい!
このまま、流されたら……彼の中に。
そこまで無茶はさせられない。

抗いがたい興奮を無理矢理抑えつけて、どうにか彼の口内から逃れようとしたが。

「んむぅ…っ」
「うあぁぁっ!」

離させようとする前に、上目遣いで私の表情を見てきた彼は、更にその口内の奥へと導いて来て。
喉奥まで使って、口淫に没頭している。

あぁぁぁぁ!
気持ちイイ!気持ちイイッ!
絶対に苦しい筈なのに。
彼の喉奥に陰茎が擦れて、その口内が熱くて、気持ち良過ぎる!

も、これ以上は…っ!

快感に震えながら、なんとか腕を伸ばし、彼の肩を掴んで離させた瞬間。
目の前が弾けて、白濁が飛び散った。

「ダメ……イくっ!うぅっ!」
「んあぁぁっ!うぁ…っ」

実際に目の前が弾けた様に感じたのは、シリルの方だろう。
なんとか、達する瞬間に彼の口内から己の陰茎を引き抜くのは間に合ったが。
犯してしまった彼の口内へ吐精してしまう事は、免れたものの。
離れるのが、ちょっと遅かった。
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