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続編 開き直った公爵令息のやらかし
43話 どうしよう?!
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「もし僕を心配してくれてるのなら、大丈夫だから。」
甘く蕩ける様なキスをくれて、ニッコリと微笑むシリルは、何度見ても美しい。
湯上りで乾ききっていない艶やかな髪が、透き通る様な白い肌に映えて、得も言われぬ麗しさだ。
こんな美しくも愛らしい彼から求められて、今すぐにも飛びつきたくなる。
しかし、前回彼を無性に求めすぎて、怖がらせてしまった。
彼にはただただ甘く包み込む様な優しさで、抱きしめて差し上げたいのに。
時折、こんな風に誘惑して来る。
本当に勘弁して欲しい。
私は貴方が思っているほど、そんなに出来た人間ではないのだ。
貴方が好きで、好き過ぎて、その色香に溺れ過ぎたら、取り返しがつかないほど無茶苦茶にしてしまいそうで……怖い。
そうだというのに、この目の前の愛する彼はと言えば。
不意に私に背を向けたかと思うと、ベッド脇のナイトテーブルの引き出しから、おもむろに何かを取り出した。
「いつもならバテちゃって駄目だったけど、コレならイける気がする!」
「……え?って、ん?それ…何か見た事………あ“。」
小さい箱に入っていたそれを私に見せてくれたが、彼が手にしたのは淡い色の液体が入った小瓶で。
性交の時に使う香油は大体私の方で準備しているから、シリルの方からそういった?類の物を入手されるのは珍しくて、一瞬呆けてしまったが。
……どこかで見覚えが……と思って記憶を辿ろうとして、やっと気付いたら。
キュポンッ。
「んぐ…っ」
「あ“…あ”ぁぁぁぁ!?ちょ、シリル!!」
————それって!
思い出してビックリしていたら、シリルは私が止める間も無く、小瓶に入った薄紅色のその液体を何のためらいもなく飲み込んだ。
「んー…変な味じゃないけど、妙に甘ったるいなぁ…。」
不味くはないけど、喜んで飲みたいと思うほど美味しくもない。
なんて、微妙な顔になってシリルは呟かれたが。
「ちょっとぉ!何で貴方がそんな物……って言うか、うわぁぁぁ!飲み干しちゃったんですか?!」
彼の手には空になった小瓶が。
なんて事だ!全部飲んでしまったなんて!!
軽くパニックを起こしそうになったのに、彼はと言えば満面の笑みをしている。
「うん!これでもう大丈夫!」
「~~~~全然大丈夫じゃない!シリル、貴方…今ご自分の飲まれた物が何か、ご存じなんですか?!」
今しがた私の目の前で勢い良く飲み込まれた、それは……ソレは。
「何って、媚薬でしょ?媚薬って要は興奮剤とか精力剤の類だから、確かにちょうどいいかも。これで僕だって一晩くらいは問題ない筈。さぁ、サフィル!どうぞ遠慮なく!」
「遠慮なく、じゃないですよ!するにしたって、なんて事をっ」
いくら何度も抱き合った、とは言っても。
猥本もご覧になった事のない様な無垢な御方が、あろう事か……媚薬だなんて。
ど、ど、どうしよう……?!
こんな都合が良過ぎる事態……遂に妄想か白昼夢でも見ているのだろうか?自分は。
いやいや、しかし。
想定外過ぎる事態を前に、実際……どうすればいいのか。
頭が真っ白になって固まっていると。
私の前にずぃと身を乗り出して来られたシリルに両頬を掴まれて、また唇を奪われた。
チロチロとその可愛らしい舌を絡めたキスが気持ち良くて、つい今し方の焦りも忘れて流されてしまう。
「んっ…ふぁっ」
「んぅ………は、シリル…」
ゆっくりと唇を離されて、見つめて来られる彼の目は。
とろんと蕩けたものになっている。
その反応は、単にキスの所為なのか、媚薬の効果か。
どちらにしろ、頬は朱の色を帯び、蕩けた瞳で見つめて来る彼は。
凄まじい色気を放っており、ずくりと欲を煽られる。
なんて美しく、蠱惑的なのだろう。
この様な彼を前に、反応するなという方が無理というものだろう。
「う…あ…はぁ……」
「その、大丈夫ですか…?」
悩ましい声を上げて喘ぐ彼は、色っぽいが苦しげで。
心配になって、恐る恐る手を伸ばすと。
その手を両手でガシッと掴まれて。
ちぅちぅと、実に可愛らしいキスを送られる。
掴む手の勢いは強引だったが、指先や手の甲に触れる唇は柔らかで。
夢中になってキスを下さるから。
もう、それだけで嬉しくて仕方が無い。
「んぁっ……ふっ」
堪らなくなって、キスを送られたその手ごと彼の頬を掴み、噛みつく様なキスをして。
その唇に己の唇を重ね、熱い口内を貪り尽くす。
舌を絡め、彼の舌を吸い上げたら、気持ちがイイのか喜んで彼も絡めてくれる。
ひとしきりその甘い口内を貪り味わい尽くしてから、そっと唇を離すと。
ぶるっと震えたシリルは、いつになく蕩けた顔をしていて。
……マズい。
かつてない程に扇情的な目で見つめて来られる。
それも、貴方を求めてやまない私だけを捉えて、離さないのだ。
こんなの、我慢できるわけがない。
今すぐにでも押し倒して、その唇だけでなく、甘美なその身を思う存分貪り尽くしたい衝動に駆られてしまう。
幾度この身を重ねても、何度も何度も欲して、渇望してしまう。
甘く蕩ける様なキスをくれて、ニッコリと微笑むシリルは、何度見ても美しい。
湯上りで乾ききっていない艶やかな髪が、透き通る様な白い肌に映えて、得も言われぬ麗しさだ。
こんな美しくも愛らしい彼から求められて、今すぐにも飛びつきたくなる。
しかし、前回彼を無性に求めすぎて、怖がらせてしまった。
彼にはただただ甘く包み込む様な優しさで、抱きしめて差し上げたいのに。
時折、こんな風に誘惑して来る。
本当に勘弁して欲しい。
私は貴方が思っているほど、そんなに出来た人間ではないのだ。
貴方が好きで、好き過ぎて、その色香に溺れ過ぎたら、取り返しがつかないほど無茶苦茶にしてしまいそうで……怖い。
そうだというのに、この目の前の愛する彼はと言えば。
不意に私に背を向けたかと思うと、ベッド脇のナイトテーブルの引き出しから、おもむろに何かを取り出した。
「いつもならバテちゃって駄目だったけど、コレならイける気がする!」
「……え?って、ん?それ…何か見た事………あ“。」
小さい箱に入っていたそれを私に見せてくれたが、彼が手にしたのは淡い色の液体が入った小瓶で。
性交の時に使う香油は大体私の方で準備しているから、シリルの方からそういった?類の物を入手されるのは珍しくて、一瞬呆けてしまったが。
……どこかで見覚えが……と思って記憶を辿ろうとして、やっと気付いたら。
キュポンッ。
「んぐ…っ」
「あ“…あ”ぁぁぁぁ!?ちょ、シリル!!」
————それって!
思い出してビックリしていたら、シリルは私が止める間も無く、小瓶に入った薄紅色のその液体を何のためらいもなく飲み込んだ。
「んー…変な味じゃないけど、妙に甘ったるいなぁ…。」
不味くはないけど、喜んで飲みたいと思うほど美味しくもない。
なんて、微妙な顔になってシリルは呟かれたが。
「ちょっとぉ!何で貴方がそんな物……って言うか、うわぁぁぁ!飲み干しちゃったんですか?!」
彼の手には空になった小瓶が。
なんて事だ!全部飲んでしまったなんて!!
軽くパニックを起こしそうになったのに、彼はと言えば満面の笑みをしている。
「うん!これでもう大丈夫!」
「~~~~全然大丈夫じゃない!シリル、貴方…今ご自分の飲まれた物が何か、ご存じなんですか?!」
今しがた私の目の前で勢い良く飲み込まれた、それは……ソレは。
「何って、媚薬でしょ?媚薬って要は興奮剤とか精力剤の類だから、確かにちょうどいいかも。これで僕だって一晩くらいは問題ない筈。さぁ、サフィル!どうぞ遠慮なく!」
「遠慮なく、じゃないですよ!するにしたって、なんて事をっ」
いくら何度も抱き合った、とは言っても。
猥本もご覧になった事のない様な無垢な御方が、あろう事か……媚薬だなんて。
ど、ど、どうしよう……?!
こんな都合が良過ぎる事態……遂に妄想か白昼夢でも見ているのだろうか?自分は。
いやいや、しかし。
想定外過ぎる事態を前に、実際……どうすればいいのか。
頭が真っ白になって固まっていると。
私の前にずぃと身を乗り出して来られたシリルに両頬を掴まれて、また唇を奪われた。
チロチロとその可愛らしい舌を絡めたキスが気持ち良くて、つい今し方の焦りも忘れて流されてしまう。
「んっ…ふぁっ」
「んぅ………は、シリル…」
ゆっくりと唇を離されて、見つめて来られる彼の目は。
とろんと蕩けたものになっている。
その反応は、単にキスの所為なのか、媚薬の効果か。
どちらにしろ、頬は朱の色を帯び、蕩けた瞳で見つめて来る彼は。
凄まじい色気を放っており、ずくりと欲を煽られる。
なんて美しく、蠱惑的なのだろう。
この様な彼を前に、反応するなという方が無理というものだろう。
「う…あ…はぁ……」
「その、大丈夫ですか…?」
悩ましい声を上げて喘ぐ彼は、色っぽいが苦しげで。
心配になって、恐る恐る手を伸ばすと。
その手を両手でガシッと掴まれて。
ちぅちぅと、実に可愛らしいキスを送られる。
掴む手の勢いは強引だったが、指先や手の甲に触れる唇は柔らかで。
夢中になってキスを下さるから。
もう、それだけで嬉しくて仕方が無い。
「んぁっ……ふっ」
堪らなくなって、キスを送られたその手ごと彼の頬を掴み、噛みつく様なキスをして。
その唇に己の唇を重ね、熱い口内を貪り尽くす。
舌を絡め、彼の舌を吸い上げたら、気持ちがイイのか喜んで彼も絡めてくれる。
ひとしきりその甘い口内を貪り味わい尽くしてから、そっと唇を離すと。
ぶるっと震えたシリルは、いつになく蕩けた顔をしていて。
……マズい。
かつてない程に扇情的な目で見つめて来られる。
それも、貴方を求めてやまない私だけを捉えて、離さないのだ。
こんなの、我慢できるわけがない。
今すぐにでも押し倒して、その唇だけでなく、甘美なその身を思う存分貪り尽くしたい衝動に駆られてしまう。
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