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続編 開き直った公爵令息のやらかし
20話 あぶなかったぁ
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テオに肩を抱えられて、ふらついた足取りでなんとか店員用の休憩室まで連れて来てもらった僕は。
力が抜けて、ドサッとソファーに腰を下ろした。
「シビル様…っ!大丈夫でしたか?!」
店の他の女の子達の視線に注意しながら、やや声を落として、テオは僕を心配してくれたが……僕は。
「………は…う…ぁ…」
「……シビル様っ」
まだ心臓がばくばくしてる。
テオが膝を折って、僕の両肩を掴んで再度呼び掛けて来るが、僕がまともな返答を出来ずに俯くと。
「っ!」
彼はギリッと奥歯を噛み締めて、バッと立ち上がり、元の部屋へ戻ろうとした。
それに気付いた僕は、すぐさま彼の腕を掴んでその場に留まらせる。
「シビルさ…っ」
「……あ、あ…あぶなかったぁぁぁ!!あともうちょっと遅かったら、大変な事になってた…!よかったぁ~~~間に合って。あ“りがどぉ~でお”ぉ~~~っ!」
半泣き状態で彼の腕に縋り付き、今度は僕が泣き付いたら。
テオが、がばっと僕を抱きしめてくれた。
「~~~~すみませんでしたっ遅くなって!お声が聞こえて直ぐに飛び込もうとしたのですが、奴の来客に捕まってしまって…。本当に本当に申し訳ございませんっ」
「ううん、ちゃんと来てくれるって信じてたよぉ…っ!本当に助かったぁ…。ごめん、上手に対応し切れなくって…」
出番前でここで休憩している他の女の子達が、ざわざわしながら遠巻きに僕らを見ていたが、僕はそんな事には気も回らず、ピーピー泣いてテオに縋り付いていた。
すると、後ろから怪我をした手にガーゼを貼り付けたモニカさんがやって来た。
モニカさんの姿を目にした周囲の女の子達は、ビクッとなって皆慌てて休憩室から出て行った。
おサボりがバレてマズいと思ったのかな。
そうだ。
モニカさん、この店の店主とも近しい間柄の様だもんね。
「シビル…さん、テオさん。大丈夫だった?!……ごめんなさい、私の所為でいきなり大変な目に遭わせてしまって…」
「モニカさん…!手は大丈夫ですか?」
「こんなの、怪我した内に入らないもの。それなのに、申し訳ないわ……」
「そんな、ぼ…私の方こそ、ご迷惑をおかけしてしまって、申し訳ないです…。来客があって退出する様に言われたので抜けて来たんですが、店の方は大丈夫でしょうか……」
僕が扉の向こうの商売中の店内の方を気にして目を向けたが、モニカさんはニコッと笑ってくれた。
「お客から部屋を出る様に言われたんでしょ?なら問題ないわよ。どうせ、用があればまた呼ばれるんだし。」
「え“。またシビル様を呼び戻されたりしませんよね?」
テオはギョッとして眉を顰めたが、モニカさんがキッパリと答えてくれた。
「言われたとしても断るわよ。ごねても知らないわ。向こうがうちのルール破って、いきなり新人を連れ込んだんですもの。断る理由は充分よ。よくパニックにならずに上手くあしらって下さったわ。初めてなのに大変だったでしょう……。」
「そ…それが…アイツ……っ!」
再び僕を心配してくれるモニカさんに、僕が焦ってソファーから腰を浮かせかけた……その時。
唐突に天井が光って。
頭上が急に明るくなったと感じて、思わず視線を上げてみた。
すると、急に靄の様なものが見えて、それで。
……そこから何かが姿を現した。
何か大きな塊が、自身の頭上から降って来て。
テオが僕を庇うよりも前に、それは僕の膝の上へふわりと舞い降りたのだ。
淡いプラチナブロンドの髪がさらりと頬をくすぐり、しっかりと強い意思を秘めながらも愛嬌を感じさせる茶色の瞳が、僕の姿をその瞳に捉えた。
……と、思ったら。
そのプラチナブロンドはみるみるうちに僕と同じ白銀へと変貌し、茶色の瞳は瞬きと共に藍色の瞳へと色を変えた。
その、天使の様な愛くるしい美貌の……少女は。
「会いたかった…!お兄様!」
そう言って、僕の首元へ抱き付いたのだった————…。
力が抜けて、ドサッとソファーに腰を下ろした。
「シビル様…っ!大丈夫でしたか?!」
店の他の女の子達の視線に注意しながら、やや声を落として、テオは僕を心配してくれたが……僕は。
「………は…う…ぁ…」
「……シビル様っ」
まだ心臓がばくばくしてる。
テオが膝を折って、僕の両肩を掴んで再度呼び掛けて来るが、僕がまともな返答を出来ずに俯くと。
「っ!」
彼はギリッと奥歯を噛み締めて、バッと立ち上がり、元の部屋へ戻ろうとした。
それに気付いた僕は、すぐさま彼の腕を掴んでその場に留まらせる。
「シビルさ…っ」
「……あ、あ…あぶなかったぁぁぁ!!あともうちょっと遅かったら、大変な事になってた…!よかったぁ~~~間に合って。あ“りがどぉ~でお”ぉ~~~っ!」
半泣き状態で彼の腕に縋り付き、今度は僕が泣き付いたら。
テオが、がばっと僕を抱きしめてくれた。
「~~~~すみませんでしたっ遅くなって!お声が聞こえて直ぐに飛び込もうとしたのですが、奴の来客に捕まってしまって…。本当に本当に申し訳ございませんっ」
「ううん、ちゃんと来てくれるって信じてたよぉ…っ!本当に助かったぁ…。ごめん、上手に対応し切れなくって…」
出番前でここで休憩している他の女の子達が、ざわざわしながら遠巻きに僕らを見ていたが、僕はそんな事には気も回らず、ピーピー泣いてテオに縋り付いていた。
すると、後ろから怪我をした手にガーゼを貼り付けたモニカさんがやって来た。
モニカさんの姿を目にした周囲の女の子達は、ビクッとなって皆慌てて休憩室から出て行った。
おサボりがバレてマズいと思ったのかな。
そうだ。
モニカさん、この店の店主とも近しい間柄の様だもんね。
「シビル…さん、テオさん。大丈夫だった?!……ごめんなさい、私の所為でいきなり大変な目に遭わせてしまって…」
「モニカさん…!手は大丈夫ですか?」
「こんなの、怪我した内に入らないもの。それなのに、申し訳ないわ……」
「そんな、ぼ…私の方こそ、ご迷惑をおかけしてしまって、申し訳ないです…。来客があって退出する様に言われたので抜けて来たんですが、店の方は大丈夫でしょうか……」
僕が扉の向こうの商売中の店内の方を気にして目を向けたが、モニカさんはニコッと笑ってくれた。
「お客から部屋を出る様に言われたんでしょ?なら問題ないわよ。どうせ、用があればまた呼ばれるんだし。」
「え“。またシビル様を呼び戻されたりしませんよね?」
テオはギョッとして眉を顰めたが、モニカさんがキッパリと答えてくれた。
「言われたとしても断るわよ。ごねても知らないわ。向こうがうちのルール破って、いきなり新人を連れ込んだんですもの。断る理由は充分よ。よくパニックにならずに上手くあしらって下さったわ。初めてなのに大変だったでしょう……。」
「そ…それが…アイツ……っ!」
再び僕を心配してくれるモニカさんに、僕が焦ってソファーから腰を浮かせかけた……その時。
唐突に天井が光って。
頭上が急に明るくなったと感じて、思わず視線を上げてみた。
すると、急に靄の様なものが見えて、それで。
……そこから何かが姿を現した。
何か大きな塊が、自身の頭上から降って来て。
テオが僕を庇うよりも前に、それは僕の膝の上へふわりと舞い降りたのだ。
淡いプラチナブロンドの髪がさらりと頬をくすぐり、しっかりと強い意思を秘めながらも愛嬌を感じさせる茶色の瞳が、僕の姿をその瞳に捉えた。
……と、思ったら。
そのプラチナブロンドはみるみるうちに僕と同じ白銀へと変貌し、茶色の瞳は瞬きと共に藍色の瞳へと色を変えた。
その、天使の様な愛くるしい美貌の……少女は。
「会いたかった…!お兄様!」
そう言って、僕の首元へ抱き付いたのだった————…。
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