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続編 開き直った公爵令息のやらかし

10話 お口にて (以下略 ※

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「ふぅ……」
「ふふ。すっきり出来ました?」

なんて、彼は何の悪気も無く言って来るから。

「……っ!さっぱりはしたよ?!でも、すっきりなんてするどころかっ」

変に与えられた快感が、中途半端に燻ったまま、下腹部に残っている。
眠気で少し溶けていったけど、まだ消えずに疼いている。

「もう、お風呂で変に触られてっ」
「私のご奉仕、お気に召しませんでした?」
「っ」

何であんな事するのか分からなくて、怒りたい様な泣きたい様な声で叫んだら。
サフィルはしゅんとしょげた顔を見せるから、僕は言葉に詰まってしまった。

そういう顔に弱いの、知っててやってる?

「そ、そんな事は、ないけど……」
「よかった!なら、ご奉仕続行しますね。」

と、実に嬉しそうな顔で言われて。

え。
いつもみたいに抱き合うのと、何が違うの?

僕は彼が何をしたいのか分からず、彼の顔を不安げに見つめると。
彼は、ニッコリと微笑んだかと思うと、僕の上に被さり、まずは唇に軽くキスをして来て。
そして、首筋、鎖骨、胸へと啄むキスをして。
するすると下へと下りてゆき、下腹部にキスをされた後。

「えっ?!」

僕の緩く勃ち上がりかけた陰茎に軽くキスをした後。
僕のその陰茎を包み込む様に触れ、あろうことか舌を出して舐めてきたのだ。

「ひぃっ!だ、駄目だよっ!!そんなの舐めちゃっ!」

彼にそんな事をさせてしまっている事が恐ろしくなって、僕は必死に叫んでやめさせようとしたが、彼は。
ニッと悪い笑みを浮かべて、更に、れろぉっと僕に見せつける様に舐め回して。
ただでさえ、さっきのお風呂場で焦らされた事で敏感になってしまっていた僕は、尚更敏感なそこを刺激されて、強い快感にゾクゾクと体が震える。

「や、駄目だってばっ!いけないよ、こんなのっ……んあぁっ!」
「ふふ。んむっ」

駄目だと言っているのに、サフィルはやめるどころか。
僕の陰茎を口に入れて、その口内でしゃぶられる。
彼の熱い舌が僕の陰茎に纏わりついて、優しく扱いてくるから。
そのあまりの気持ちの良さに、背中に強い快感が走り抜けた。

けれど、いつも優しくて、僕を思いやってくれる、素敵な彼を。
そんな彼の口内を、犯してしまっている。
その事実が恐ろしい。
恐ろしいのに、それにも勝る気持ち良さに。
どうすればいいのか分からない。

「あぁ、やめて、サフィルッ!こんな、こんなのっ」

彼にこんな事をさせてしまうなんて、いけない筈なのに。
それなのに、独り快感に耽ってしまっているなんて。
口内に僕の陰茎を含んだまま、その舌先で竿をなぞられる。
そうかと思えば、亀頭を丹念に舐め回され、そして、鈴口をぐりっと押し突いて来る。

こんな的確に弱い所を刺激されて、耐えられる訳がない。
どんどんせり上がって来る快感に、マズいマズいと焦燥感に苛まれて。

「あ、サフィル、もういいからっ!マズいんだっ!も、イっちゃうからっ」

込み上げて来る快感を止める事なんて出来ないから、一刻も早く解放して欲しいのに。
彼はやめるどころか、更に喉奥へと吸い上げてくるから。
もう焦って、彼の頭を掴んで離させようとしたけれど。
一際強く吸い上げられて、限界だった僕は。

「あぁぁ————っ!!」

あろう事か、僕は……サフィルの口内で、達してしまった…。
それだけでも、衝撃だったのに。
彼は、吐き出してしまった僕の精液を……。

ごくん。

と、飲み込んでしまった。

信じられない光景に、僕は目を大きく見開いて、ただ茫然と彼を見やった。
彼は、親指で軽く口を拭って、ただ嬉しそうな顔をして。

「ふぅ。善かったですか?」

と、自身の口での奉仕はどうだったかと。
純粋に尋ねてくれたが……僕は。

「ご、ごめ…なさっ」
「……え?シリル?」

大好きな彼の口内を犯してしまい、尚且つその口内に吐精してしまっただけでなく。
彼に吐き出させるどころか、の…飲ませて、しまった、なんて。
その事実が衝撃過ぎて、涙が出て来て。

「僕…サフィルになんて事をっ!ごめんなさいっごめんなさいっ」

うわぁぁ———と声を上げて泣き出してしまった。

「そ、そんな、シリル……泣く程お嫌でしたか?!」
「ちがうぅっ!僕、サフィルの事大好きなのにっ!こんな酷い事…っ…あ、貴方の口の中に吐き出すなんて!我慢出来なくてっごめんなさいぃっ」

試されていたのかな?
それなのに、我慢できずに独り気持ち良さに負けて、達してしまうなんて。

色々衝撃が強すぎた所為で、もう馬鹿みたいに泣いて謝っていたら。
サフィルが優しく抱きしめてくれて、まだ少し濡れた髪を梳く様にして撫でてくれる。

「前戯なんですよ、コレ。フェラ……口淫なんですが、私、下手でしたかね?」
「へ?前戯?アレが?」

あんな、強烈なものが、本番前の行為だなんて。

「貴方に善くなって欲しくてやったんですが、口淫はお嫌だったとは知らず、申し訳ありませんでした。」
「あ……いや、違うんだ!知らなかったから。それに今日のサフィルはなんかいつもと違って……僕、どうしたらいいか分からなくて、怖かったんだよ。」
「………う“っ。すみませんでした……。本当に久しぶりに貴方に触れて、嬉し過ぎて暴走しました……。戻って来て下さって、本当に良かったって安堵して。なんとしても貴方に悦んでもらいたくて……つい。」

しょんぼりと項垂れるサフィルに、僕の方こそ申し訳なくなった。

「そ、そうだったの?……ごめん。僕が知らないばっかりに、せっかくサフィルが悦ばせようとしてくれたのに、分かんなくて。本当にごめんね。……それに、色々我慢させてたんだね、僕。」
「そんな事は…」
「ううん。サフィルの優しさに甘えてたよね。サフィルがくれる快感をただ受け取るだけだった。僕、貴方にもっと善くなって欲しいと思いながら、性交する事だけが正解だと思ってた……。違うんだね、色んな方法や技術があるんだなって。……僕も勉強しようかな。」

巷の猥本でも買って。
なんて、言おうものなら、サフィルが。

「いいえ!シリルはあんな下賤なもの読まなくて大丈夫です!今度はもっとちゃんと説明して丁寧にお伝えしますから、そんな事しないで下さい。」
「なんで?」
「巷に溢れるアレらの類は全てが真実ではございませんから!一部極端に誇張していたり、妄想の類も多分に含まれますから、あまり参考になさるのはオススメ出来ません!何よりシリルの目が穢れるので嫌だ。」
「……そうかなぁ?」
「そうです!それに、知らない事を恥に思われる必要はないんですよ。何も知らなかった無垢な貴方に己の手で教え込むのも、なんとも罪深い気もしますが、その背徳感がまた…たまらないって言うか……。」

なんだか饒舌になって話すサフィルは、楽しそうだけど……。

「……サフィルぅ…戻って来てぇ…。そんな変態じみた事言わないで。」
「うぐっ」
「分かったからさ、続き…しよ?」

一度達した体は、しかしまだ疼きを抑えきれない。
僕に悦んで欲しいと思ってくれたなら、もうそれに乗っかってしまおう。
久しぶりだから、貴方の肌が殊更恋しいんだ。
僕は彼にキスをして、続きを促した。

まぁ、誘ったのは僕だし、望んだ事ではあるけれど。
その日のサフィルは、いつもよりちょっと激しめで。
でも、長旅から帰って来たばかりの僕は、溜まっていた疲れと眠気には勝てず、何度目かの接合の途中で意識を飛ばしてしまったのだった。
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