全てを諦めた公爵令息の開き直り

key

文字の大きさ
上 下
221 / 364
番外編その2 サフィル・アルベリーニの悔恨

22話 ※

しおりを挟む
「……いや、それは無い。」

シリル様は、その目を伏せ俯かれながらも、はっきりとそう仰った。
それは、明確な拒絶の言葉で。

どんなに彼に乞い願っても。
その無垢な白い肌を無遠慮に貪って、脅してみせても。
どう足掻いても、その気を変えては下さらない。

もう時間も無い。
本当に、此処で私に是と言って下さらないと……貴方の命は無いんだ!
何故それを分かってくれない?!
何で、何でっ!!

殿下に投げられ蹴り倒されても、決して折れなかった御方だ。
………こんなんじゃ、生温いのだろうか。
もっと、直接痛めつけないと、伝わらないのか?
この彼を頷かせる為には。

「……っ————なら、仕方ありません。」

酷く落胆した声で、なんとか絞り出した声でそう言うと。
私はきっと今までで一番暗い色を瞳に宿し。
もう、完全に自棄になった。

「いだ…っ!!」

あんなに交わらせたかった視線も耐えられなくなって、彼の顔を乱暴に床に押し付けると。
彼の扇情的な細腰を掴んで、その双丘を突き出させる。
手に吸い付く様な滑らかさだったが、もう躊躇う事はしなかった。

拒絶された悲しみと怒りとで、頭がぐちゃくちゃになってしまって。
それをぶつける様にして、彼の双丘を掴むと。
潤滑油なんて無いから、双丘のその奥の秘部へ、己の唾液を垂れ流し。
もう無理矢理に指を押し入れて、無茶苦茶に彼の中を暴きにかかる。

「んいっ…あ“っ……あぁぁっ!!」

思い知らせる為に、わざと痛めつけているのに。
彼は苦しさに短く喘ぐも、それでも決して降参はしてくれなくて。
きっと、とても痛いだろうに。
それでもやっぱり彼は応じてくれない。

私は彼をこれでもかと追い詰めながら、己の胸がズキズキと痛むのに目を背けて。
もう、意地になっていた。

侮蔑する様な殿下の視線を感じたが、構わず己の前を寛げると。
こんな状況でも興奮して屹立してしまっている己の陰茎を、私に暴かれて哀れにも赤くなってしまっているその秘部へ、無理矢理に捩じ込んだ。

「んぎっ!」

恐らく、予想以上の痛みに耐えかねたシリル様は、とても苦し気に呻き声を上げられる。
その身も大きく跳ねられて、余程痛かったのだろう。
見ると、後孔の縁が切れてしまって、血が滲んでいる。

……ねぇ、お願い、お願いだから……もういい加減、諦めてよ。
此処までされて、何をそんなに意地を張らねばならないのですか。
私如きに此処までされて、悔しいでしょう、憎いでしょう。
それでいいですから。
いつか同じ目に……いや、それ以上に残酷にでも、何でもいいから。
そんな事を理由にしてでも構わないから。
どうか、折れてくれ。

彼の中を己の其れで、何度も何度も酷く打ち付け抉るが、彼は。

「あ“っ!あ”ぐっ!」

ただただ哀れに喘ぐだけだ。

「アッハハハッ!もっと啼けよ!あの眉目秀麗でいつも澄ましてた生意気な公爵令息とは思えないなぁ~!!ほら、その汚ねぇ面見せてみろっ」

ロレンツォ殿下はこの惨状をいたくお気に召されて、そんな言葉を吐くと。
シリル様の頭を抑えつけていた私の手を払いのけられ、彼の前髪を乱暴に掴み上げると、その顔を覗き込まれて嗤われる。

「うっは!最っ高ー!やっぱいいねぇ~、澄ました奴を堕とすのは。あー面白かったぁー!……ほら、サフィル!いつまで腰振ってんだよっ!そろそろ終われ。この駄犬がっ!」
「っ」

殿下はそう言い捨てて、私の背中を強く蹴りつけられた。
その衝撃で、一際奥に打ち付けてしまって、彼は悲鳴すら上げずに、その背を仰け反らせる。

「もうタイムオーバーだなぁ~。いい加減諦めろ~。俺達は先に行くからな。お前も汚ねぇそれ仕舞って、さっさと戻って来いよー!……んじゃぁねー、大罪人のメス豚ちゃん♡」

抑えつけてしまった為に、床に擦り付けられて汚れてしまったシリル様の額にデコピンをして、ロレンツォ殿下は心底愉快な嗤い声を上げながら、ジーノを伴って、さっさとこの地下牢を後にされた。

————もう終わりだ、何もかも。

残された私は、茫然自失となって。
しばらく動く事が出来なかった。
二人の足音が聞こえなくなって、やっと身じろぎをして。
酷く痛めつけてしまった彼の後孔から、せめてゆっくりと己の陰茎を引き抜いたら。

「んあっ」

それまでの苦し気な声と異なり、彼はまた少し甘い嬌声を上げられる。
けれど、抜き取った後、彼の後孔を見やると、無残に赤くなって、切れてしまった縁はまだ血が滲んだままだ。

犯してしまった。
その言葉の意のままに。
凌辱の跡が、己の罪の深さを雄弁に物語っていた……。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら
BL
赤い糸が見えるキリルは、自分には糸が無いのでやさぐれ気味です

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

処理中です...