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第5章
186話 頼むよ
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……時は少し前に遡り。
仮装パーティーのしばらく後の、ユリウス殿下に呼ばれた王宮で、ロレンツォ殿下の側近になる事が決まってから。
ロレンツォ殿下と改めて面会した際。
「時にクレイン公子。」
「あの、これから僕は貴方の部下になるわけですし、シリル、とお呼び頂ければ。」
「そうか。では、シリル……君は勉強は好きか?」
殿下に改まってそう聞かれて。
「別に好きでも嫌いでもないですけど…」
「そうか?サフィルから聞いたぞ?なんか難しい算術の本を読んでいたそうだな。」
……あぁ、そんな事もあったなぁ…。
あの時は本当に。
サフィルを好きだとハッキリ自覚して。
彼を好きなら諦めなければ、と理解して。
でも諦められなくて、体の関係とかだけでもいいから……なんて。
浅ましい自分に絶望して。
この目の前の傍若無人な王子様は。
前世で、どん底だった僕を更に追い詰めた、酷い人物だったけれど。
今世では、こんな僕をすくい上げて下さったに他ならない。
何とも不思議な巡り合わせに。
最初は想像もしなかったのにな。
ポカンとしていると、殿下が僕の顔を覗き込んで来た。
「シリル~?」
「あ、い、いえ。あの、算術の本は、たまたまですよ。前日カイトに、彼が元の世界で学んだ様々な算術方法を習って。それで見比べていただけなんです。カイトの奴、他のテストはイマイチなのに、算術のテストだけは点数良くって。それで、教えてもらっただけなんですよ。」
「確かに!あの巫子殿が不思議だったんだよなぁ~」
……殿下も、カイトの成績を知ってたのか。
どうやって知ったのやら。
「なんか、元の世界では商業に特化した学校に通ってたらしいですよ。それで。」
「へぇ~なるほどな!教師陣も不思議がってたんだよ。それだけやたらずば抜けてたから。」
先生、殿下も生徒なのですよ。
情報漏洩が過ぎるのでは?
僕がエウリルスの学院の教師陣に疑念を抱いていると。
「不思議と言えば君もだよ、シリル。本当はもっと出来る癖に、わざと手を抜いていただろう。」
「僕の成績も知ってるんですか?!」
「当たり前だろう、俺の側近になる人物の出来を確認するのは、当然じゃないか。」
「あぁー、こんなことなら、もうちょっとだけ頑張っとけば良かったかなぁ…。」
ガックリと項垂れる僕に、殿下は首を傾げた。
「何で手ぇ抜いたりしたんだ。」
「……調整してたんですよ。可もなく不可もなく…な範囲を。巫子達も言っていたでしょう?前世の記憶が~って。僕は3回あの学院に通ったんです。勉強の中身もそっくりそのままでしたから。特に1回目のシルヴィア……令嬢時代はユリウス王太子殿下の婚約者だったので、勉学にも殊更励んでいましたから…大体覚えてるんですよ、答え。」
だから、そのまま書いたら成績が良すぎる事になって、目立ってしまう。
シリルとして死に戻ってからは、特に目立たない様にするのに一番気を遣っていたから。
「なるほどねぇ……。そんな苦労もあったって訳だ。」
「正解を書くより、わざと間違う方が難しいんですよね、アレ。」
「でも俺に見抜かれるとは…まだまだだなぁ。」
「そんな事上手くなってもしょうがないでしょ。」
呆れる僕に、殿下は笑顔を消し、真顔で言って来た。
「いいや。相手を欺く術も、俺の側近として動ける様になるには必要だぞ。」
「……殿下は、僕がサフィルと一緒に居たいっていう望みを叶える為に、無理して引き立てて下さったんですよね?」
「それは理由の一つに過ぎないさ。ま、お前が居ないとサフィルの奴、どんどんポンコツになってったからな。アイツのやる気の為ってのもあるが。それでも、あの時ユリウスに言った事も嘘じゃないさ。本当に期待してるんだぜ?」
そう言って、ニヤッと笑う殿下は。
本当に人を動かすのを心得てるなぁ。
ちょっと雑になる事もあるけど。
「だが、だからといって、いきなり側近としての仕事をさせるのは、流石に無理がある。そっちもしんどくなるだけだろうし。」
「まぁ……そうですよね。学院も普通科の内容しか学んでませんし。」
「このまま公爵位を継ぐんなら、卒業後にお前の叔父から屋敷なり領地なりで、領地経営やら社交界での人脈作りやらを学んでいく事になったんだろうが、側近の仕事となると、また違ってくる。そこでだ、シリル。アデリートには王都ヴェネトリア学園という、エウリルスの王立学院と同じ様な学び舎がある。そこに通ってみないか?もちろん、学費諸々といった諸事は俺が持つ。俺の側近になってもらうんだ。それくらいの投資はしないと。」
王都ヴェネトリア学園……。
そこは、エウリルス国王陛下がまだ第3王子でいらっしゃった少年時代に留学され、学ばれていた学園だ。
そこで、今のアデリート王と親交を深められ、今日の両国の友好にも続いている。
「……いいんですか、殿下。」
「むしろ、こちらこそ頼むよ。大変な時はサフィルにも手伝わせるから、不安がらなくていい。テオドールも従者として学園内に入れる様に手配しよう。」
「可能なんですか?」
「こんなもの、奥の手を使えばいくらでも。一般人には無理だろうが、俺は王族だぞ?例え王位継承順位が低くてもな。」
だから、それくらいのわがまま、いくらでも押し通せるさ。
そう、簡単に言ってのけたのだった。
「ただ、成績は操作出来ないから、お前に頑張ってもらうしかない。気負って無理に上位を狙ったりするより、俺の側近として必要な分野を重点的に頑張ってくれるとありがたい。」
「わ、わかりました。」
「それと、二週間後に試験を受けてもらう。臨時の編入試験だ。」
「へ?」
「正規で通っても良いが、2年もなんて、無駄だろう?編入試験に合格できれば1年で卒業できるコースへ入れる。モノは試しだ、受けてみろよ。……ただ、1年の編入コースの方が、すぐに卒業できるから、その後サフィルと一緒に仕事出来るぞ~」
ニヤニヤしながら殿下は言って来る。
「そんなあからさまな誘い文句で釣ろうとしないで下さいよ。」
「だが、1年と2年じゃ違うだろう?」
「そ、それはまぁ。」
「頼むよぉ~シリル~。ジーノはそもそも平民の出で、剣術と最低限の礼儀作法でいっぱいいっぱいって感じだし、サフィルにしたって……アイツ、見た目通りボーっとしてるから、頼りないんだよ~俺より1コ年上の癖に!もう一番年下のシリルが頭脳派では一番頼りでさぁ~。」
いや、貴方も僕からしたら1コ年上なんですが。
第5王子だからか。
リチャードみたいに弟感をフルに醸し出してくるぞ。
……これが、いつぞやカレンが言っていた弟ポジってやつか。
仮装パーティーのしばらく後の、ユリウス殿下に呼ばれた王宮で、ロレンツォ殿下の側近になる事が決まってから。
ロレンツォ殿下と改めて面会した際。
「時にクレイン公子。」
「あの、これから僕は貴方の部下になるわけですし、シリル、とお呼び頂ければ。」
「そうか。では、シリル……君は勉強は好きか?」
殿下に改まってそう聞かれて。
「別に好きでも嫌いでもないですけど…」
「そうか?サフィルから聞いたぞ?なんか難しい算術の本を読んでいたそうだな。」
……あぁ、そんな事もあったなぁ…。
あの時は本当に。
サフィルを好きだとハッキリ自覚して。
彼を好きなら諦めなければ、と理解して。
でも諦められなくて、体の関係とかだけでもいいから……なんて。
浅ましい自分に絶望して。
この目の前の傍若無人な王子様は。
前世で、どん底だった僕を更に追い詰めた、酷い人物だったけれど。
今世では、こんな僕をすくい上げて下さったに他ならない。
何とも不思議な巡り合わせに。
最初は想像もしなかったのにな。
ポカンとしていると、殿下が僕の顔を覗き込んで来た。
「シリル~?」
「あ、い、いえ。あの、算術の本は、たまたまですよ。前日カイトに、彼が元の世界で学んだ様々な算術方法を習って。それで見比べていただけなんです。カイトの奴、他のテストはイマイチなのに、算術のテストだけは点数良くって。それで、教えてもらっただけなんですよ。」
「確かに!あの巫子殿が不思議だったんだよなぁ~」
……殿下も、カイトの成績を知ってたのか。
どうやって知ったのやら。
「なんか、元の世界では商業に特化した学校に通ってたらしいですよ。それで。」
「へぇ~なるほどな!教師陣も不思議がってたんだよ。それだけやたらずば抜けてたから。」
先生、殿下も生徒なのですよ。
情報漏洩が過ぎるのでは?
僕がエウリルスの学院の教師陣に疑念を抱いていると。
「不思議と言えば君もだよ、シリル。本当はもっと出来る癖に、わざと手を抜いていただろう。」
「僕の成績も知ってるんですか?!」
「当たり前だろう、俺の側近になる人物の出来を確認するのは、当然じゃないか。」
「あぁー、こんなことなら、もうちょっとだけ頑張っとけば良かったかなぁ…。」
ガックリと項垂れる僕に、殿下は首を傾げた。
「何で手ぇ抜いたりしたんだ。」
「……調整してたんですよ。可もなく不可もなく…な範囲を。巫子達も言っていたでしょう?前世の記憶が~って。僕は3回あの学院に通ったんです。勉強の中身もそっくりそのままでしたから。特に1回目のシルヴィア……令嬢時代はユリウス王太子殿下の婚約者だったので、勉学にも殊更励んでいましたから…大体覚えてるんですよ、答え。」
だから、そのまま書いたら成績が良すぎる事になって、目立ってしまう。
シリルとして死に戻ってからは、特に目立たない様にするのに一番気を遣っていたから。
「なるほどねぇ……。そんな苦労もあったって訳だ。」
「正解を書くより、わざと間違う方が難しいんですよね、アレ。」
「でも俺に見抜かれるとは…まだまだだなぁ。」
「そんな事上手くなってもしょうがないでしょ。」
呆れる僕に、殿下は笑顔を消し、真顔で言って来た。
「いいや。相手を欺く術も、俺の側近として動ける様になるには必要だぞ。」
「……殿下は、僕がサフィルと一緒に居たいっていう望みを叶える為に、無理して引き立てて下さったんですよね?」
「それは理由の一つに過ぎないさ。ま、お前が居ないとサフィルの奴、どんどんポンコツになってったからな。アイツのやる気の為ってのもあるが。それでも、あの時ユリウスに言った事も嘘じゃないさ。本当に期待してるんだぜ?」
そう言って、ニヤッと笑う殿下は。
本当に人を動かすのを心得てるなぁ。
ちょっと雑になる事もあるけど。
「だが、だからといって、いきなり側近としての仕事をさせるのは、流石に無理がある。そっちもしんどくなるだけだろうし。」
「まぁ……そうですよね。学院も普通科の内容しか学んでませんし。」
「このまま公爵位を継ぐんなら、卒業後にお前の叔父から屋敷なり領地なりで、領地経営やら社交界での人脈作りやらを学んでいく事になったんだろうが、側近の仕事となると、また違ってくる。そこでだ、シリル。アデリートには王都ヴェネトリア学園という、エウリルスの王立学院と同じ様な学び舎がある。そこに通ってみないか?もちろん、学費諸々といった諸事は俺が持つ。俺の側近になってもらうんだ。それくらいの投資はしないと。」
王都ヴェネトリア学園……。
そこは、エウリルス国王陛下がまだ第3王子でいらっしゃった少年時代に留学され、学ばれていた学園だ。
そこで、今のアデリート王と親交を深められ、今日の両国の友好にも続いている。
「……いいんですか、殿下。」
「むしろ、こちらこそ頼むよ。大変な時はサフィルにも手伝わせるから、不安がらなくていい。テオドールも従者として学園内に入れる様に手配しよう。」
「可能なんですか?」
「こんなもの、奥の手を使えばいくらでも。一般人には無理だろうが、俺は王族だぞ?例え王位継承順位が低くてもな。」
だから、それくらいのわがまま、いくらでも押し通せるさ。
そう、簡単に言ってのけたのだった。
「ただ、成績は操作出来ないから、お前に頑張ってもらうしかない。気負って無理に上位を狙ったりするより、俺の側近として必要な分野を重点的に頑張ってくれるとありがたい。」
「わ、わかりました。」
「それと、二週間後に試験を受けてもらう。臨時の編入試験だ。」
「へ?」
「正規で通っても良いが、2年もなんて、無駄だろう?編入試験に合格できれば1年で卒業できるコースへ入れる。モノは試しだ、受けてみろよ。……ただ、1年の編入コースの方が、すぐに卒業できるから、その後サフィルと一緒に仕事出来るぞ~」
ニヤニヤしながら殿下は言って来る。
「そんなあからさまな誘い文句で釣ろうとしないで下さいよ。」
「だが、1年と2年じゃ違うだろう?」
「そ、それはまぁ。」
「頼むよぉ~シリル~。ジーノはそもそも平民の出で、剣術と最低限の礼儀作法でいっぱいいっぱいって感じだし、サフィルにしたって……アイツ、見た目通りボーっとしてるから、頼りないんだよ~俺より1コ年上の癖に!もう一番年下のシリルが頭脳派では一番頼りでさぁ~。」
いや、貴方も僕からしたら1コ年上なんですが。
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