129 / 352
第3章
129話 無知
しおりを挟む
「なぁ、テオ。もう謝らなくても許してやるから。代わりに教えてくれよ、“大人の”テオドール?」
そう言って、フッと僕は笑みを浮かべた。
対するテオは、サーッと血の気が引いた顔をしている。
失礼な。
何も変な事を聞く気はない。
お前が口にした発言についてだけだ。
「興奮して……は、まぁ想像がつくんだが。抜くって何だ?」
どうせ、女性のあられもない姿の挿絵とか、嬌声とか、そういうのを本で見て読んで想像して興奮するんだろう?
でも、抜くって何なんだ?
それがよく分からなくて。
僕は尋ねてみたのだが。
聞かれたテオはと言えば。
ぴしっと固まってしまった。
その様子に、僕は目をぱちくりさせる。
だって、さっきお前が言った事じゃないか。
何で固まってるんだ。
そう文句を言おうとして。
口を開きかけると、テオは明らかに動揺した様子で、額にはダラダラと脂汗をかいていた。
「…………え。シリル様って、今までその……抜いた事ないんですか?」
「だから、何を?」
「ナニってそれはぁ……えー…どうしよ…」
テオはまた頭を抱えて、今度は小さく蹲って項垂れていた。
何かとんでもない事を聞いているのか?僕は。
でも、知らないものは知らない。
己の無知さに恥じ入るしかないが。
テオの反応が予想以上に大き過ぎて。
不安な顔になって見つめるしかない僕に、テオは右手で自身の顔を覆い、左手を突き出した。
「すみません、シリル様!お、俺には手に負えませんっ!」
無情にも突き放されて、僕はどう反応すればいいのか、分からない。
怒ればいいのか、悲しめばいいのか……。
ただ、戸惑っていると。
「あぁぁぁ…ごめんなさい、シリル様…。不安にさせるつもりじゃなかったんです……。ただ、俺の拙い語彙と説明で、ちゃんと正しく年相応にご理解頂ける解説を出来るかどうか……俺に自信が無かっただけなんです……。」
「…閨事とかに関する事?」
「んー、まぁそっち方面です。」
「そりゃそうだよな。そういう話だったんだし。……ただ、テオ…少しいいか。」
おろおろするばかりのテオに、僕がコホンと咳払いをして口にする。
そう言って、フッと僕は笑みを浮かべた。
対するテオは、サーッと血の気が引いた顔をしている。
失礼な。
何も変な事を聞く気はない。
お前が口にした発言についてだけだ。
「興奮して……は、まぁ想像がつくんだが。抜くって何だ?」
どうせ、女性のあられもない姿の挿絵とか、嬌声とか、そういうのを本で見て読んで想像して興奮するんだろう?
でも、抜くって何なんだ?
それがよく分からなくて。
僕は尋ねてみたのだが。
聞かれたテオはと言えば。
ぴしっと固まってしまった。
その様子に、僕は目をぱちくりさせる。
だって、さっきお前が言った事じゃないか。
何で固まってるんだ。
そう文句を言おうとして。
口を開きかけると、テオは明らかに動揺した様子で、額にはダラダラと脂汗をかいていた。
「…………え。シリル様って、今までその……抜いた事ないんですか?」
「だから、何を?」
「ナニってそれはぁ……えー…どうしよ…」
テオはまた頭を抱えて、今度は小さく蹲って項垂れていた。
何かとんでもない事を聞いているのか?僕は。
でも、知らないものは知らない。
己の無知さに恥じ入るしかないが。
テオの反応が予想以上に大き過ぎて。
不安な顔になって見つめるしかない僕に、テオは右手で自身の顔を覆い、左手を突き出した。
「すみません、シリル様!お、俺には手に負えませんっ!」
無情にも突き放されて、僕はどう反応すればいいのか、分からない。
怒ればいいのか、悲しめばいいのか……。
ただ、戸惑っていると。
「あぁぁぁ…ごめんなさい、シリル様…。不安にさせるつもりじゃなかったんです……。ただ、俺の拙い語彙と説明で、ちゃんと正しく年相応にご理解頂ける解説を出来るかどうか……俺に自信が無かっただけなんです……。」
「…閨事とかに関する事?」
「んー、まぁそっち方面です。」
「そりゃそうだよな。そういう話だったんだし。……ただ、テオ…少しいいか。」
おろおろするばかりのテオに、僕がコホンと咳払いをして口にする。
77
お気に入りに追加
1,601
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる