全てを諦めた公爵令息の開き直り

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第3章

128話 語るに落ちる

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「で、何だったんだ?」

テオが向かいに腰を下ろしてくれた事で、少し気を取り戻せた僕は、再度聞き返してみると。

「~~~~あの、腹が立ったら思いっ切り、俺の事殴って下さっていいですからね。」
「え。」

そんな事。
と、思ったが。
チラリと下から僕を盗み見る様にして見上げて来たテオは、僕と目が合うと、バツが悪そうに視線を逸らして白状した。

「その、汚れているだの浅ましいだの仰るからぁ……巷にある猥本でも手に入れて、興奮して抜いちゃったのかなぁ…って。」

なぁんて……と、また伺う様に僕の顔を覗き込まれて。
僕の関心は怒りとは別の方向へ向いた。

「なぁ、猥本って面白いのか?」

キョトンとした顔で尋ねる僕に、テオは顔から血の気が引いて、ガッと両手で頭を抱えて叫び出した。

「あ“あ”あ“あ”ーっ!!ご存知無いのに何という事をっ!申し訳ございません、お館様っ!!」

あ“あ”あ“あ”ーっ!と、テオは呻いている。
……うるさいんだが。
大体、何でそこで叔父様が出て来るんだ。

「テオは知っているのか。」
「え?!えぇ……まぁ…。でも、あれは大人向けの本ですから、どうしてもご所望されるなら卒業して成人されてからになさって下さい。でないと俺もフォローしきれません!」
「……でも、最初は僕が持ってたこの本を、猥本だと思ったんだろ?」
「そんな大事そうに抱えてらっしゃるから、隠れて手に入れたのかなってぇ……。あと、本のタイトルを偽装したのかなぁ?って。……そうですよね、シリル様ってば外出殆どなさらないんだから、そもそもそんな本手に入れる手段も無い筈なのに……」

…なんか馬鹿にされている気がする。
確かに外には出ないが。
存在くらいは知っているんだからな。
ただ、その中身まではよく知らないだけで。

ムッとした顔をしている僕に、テオはすみません、すみません。と言って来るが。
違う、そうじゃない。と言いたい。

テオは謝ってくれているのに、僕は釈然としないからムッとしたままだ。
が、そうだ、と思いついた。
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