128 / 362
第3章
128話 語るに落ちる
しおりを挟む
「で、何だったんだ?」
テオが向かいに腰を下ろしてくれた事で、少し気を取り戻せた僕は、再度聞き返してみると。
「~~~~あの、腹が立ったら思いっ切り、俺の事殴って下さっていいですからね。」
「え。」
そんな事。
と、思ったが。
チラリと下から僕を盗み見る様にして見上げて来たテオは、僕と目が合うと、バツが悪そうに視線を逸らして白状した。
「その、汚れているだの浅ましいだの仰るからぁ……巷にある猥本でも手に入れて、興奮して抜いちゃったのかなぁ…って。」
なぁんて……と、また伺う様に僕の顔を覗き込まれて。
僕の関心は怒りとは別の方向へ向いた。
「なぁ、猥本って面白いのか?」
キョトンとした顔で尋ねる僕に、テオは顔から血の気が引いて、ガッと両手で頭を抱えて叫び出した。
「あ“あ”あ“あ”ーっ!!ご存知無いのに何という事をっ!申し訳ございません、お館様っ!!」
あ“あ”あ“あ”ーっ!と、テオは呻いている。
……うるさいんだが。
大体、何でそこで叔父様が出て来るんだ。
「テオは知っているのか。」
「え?!えぇ……まぁ…。でも、あれは大人向けの本ですから、どうしてもご所望されるなら卒業して成人されてからになさって下さい。でないと俺もフォローしきれません!」
「……でも、最初は僕が持ってたこの本を、猥本だと思ったんだろ?」
「そんな大事そうに抱えてらっしゃるから、隠れて手に入れたのかなってぇ……。あと、本のタイトルを偽装したのかなぁ?って。……そうですよね、シリル様ってば外出殆どなさらないんだから、そもそもそんな本手に入れる手段も無い筈なのに……」
…なんか馬鹿にされている気がする。
確かに外には出ないが。
存在くらいは知っているんだからな。
ただ、その中身まではよく知らないだけで。
ムッとした顔をしている僕に、テオはすみません、すみません。と言って来るが。
違う、そうじゃない。と言いたい。
テオは謝ってくれているのに、僕は釈然としないからムッとしたままだ。
が、そうだ、と思いついた。
テオが向かいに腰を下ろしてくれた事で、少し気を取り戻せた僕は、再度聞き返してみると。
「~~~~あの、腹が立ったら思いっ切り、俺の事殴って下さっていいですからね。」
「え。」
そんな事。
と、思ったが。
チラリと下から僕を盗み見る様にして見上げて来たテオは、僕と目が合うと、バツが悪そうに視線を逸らして白状した。
「その、汚れているだの浅ましいだの仰るからぁ……巷にある猥本でも手に入れて、興奮して抜いちゃったのかなぁ…って。」
なぁんて……と、また伺う様に僕の顔を覗き込まれて。
僕の関心は怒りとは別の方向へ向いた。
「なぁ、猥本って面白いのか?」
キョトンとした顔で尋ねる僕に、テオは顔から血の気が引いて、ガッと両手で頭を抱えて叫び出した。
「あ“あ”あ“あ”ーっ!!ご存知無いのに何という事をっ!申し訳ございません、お館様っ!!」
あ“あ”あ“あ”ーっ!と、テオは呻いている。
……うるさいんだが。
大体、何でそこで叔父様が出て来るんだ。
「テオは知っているのか。」
「え?!えぇ……まぁ…。でも、あれは大人向けの本ですから、どうしてもご所望されるなら卒業して成人されてからになさって下さい。でないと俺もフォローしきれません!」
「……でも、最初は僕が持ってたこの本を、猥本だと思ったんだろ?」
「そんな大事そうに抱えてらっしゃるから、隠れて手に入れたのかなってぇ……。あと、本のタイトルを偽装したのかなぁ?って。……そうですよね、シリル様ってば外出殆どなさらないんだから、そもそもそんな本手に入れる手段も無い筈なのに……」
…なんか馬鹿にされている気がする。
確かに外には出ないが。
存在くらいは知っているんだからな。
ただ、その中身まではよく知らないだけで。
ムッとした顔をしている僕に、テオはすみません、すみません。と言って来るが。
違う、そうじゃない。と言いたい。
テオは謝ってくれているのに、僕は釈然としないからムッとしたままだ。
が、そうだ、と思いついた。
78
お気に入りに追加
1,616
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
一日だけの魔法
うりぼう
BL
一日だけの魔法をかけた。
彼が自分を好きになってくれる魔法。
禁忌とされている、たった一日しか持たない魔法。
彼は魔法にかかり、自分に夢中になってくれた。
俺の名を呼び、俺に微笑みかけ、俺だけを好きだと言ってくれる。
嬉しいはずなのに、これを望んでいたはずなのに……
※いきなり始まりいきなり終わる
※エセファンタジー
※エセ魔法
※二重人格もどき
※細かいツッコミはなしで
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
雫
ゆい
BL
涙が落ちる。
涙は彼に届くことはない。
彼を想うことは、これでやめよう。
何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。
僕は、その場から音を立てずに立ち去った。
僕はアシェル=オルスト。
侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。
彼には、他に愛する人がいた。
世界観は、【夜空と暁と】と同じです。
アルサス達がでます。
【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。
随時更新です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
みどりとあおとあお
うりぼう
BL
明るく元気な双子の弟とは真逆の性格の兄、碧。
ある日、とある男に付き合ってくれないかと言われる。
モテる弟の身代わりだと思っていたけれど、いつからか惹かれてしまっていた。
そんな碧の物語です。
短編。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~
乃ぞみ
BL
※ムーンライトの方で500ブクマしたお礼で書いた物をこちらでも追加いたします。(全6話)BL要素少なめですが、よければよろしくお願いします。
【腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者】
エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。
転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。
エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。
死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。
「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」
「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」
全体的に結構シリアスですが、明確な死亡表現や主要キャラの退場は予定しておりません。
闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったります。
本編ド健全です。すみません。
※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。
※ 攻めがまともに出てくるのは五話からです。
※ タイトル変更しております。旧【転生先がバトル漫画の死亡フラグが立っているライバルキャラだった件 ~本筋大幅改変なしでフラグを折りたいけど、何であんたがそこにいる~】
※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
愛する人
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
「ああ、もう限界だ......なんでこんなことに!!」
応接室の隙間から、頭を抱える夫、ルドルフの姿が見えた。リオンの帰りが遅いことを知っていたから気が緩み、屋敷で愚痴を溢してしまったのだろう。
三年前、ルドルフの家からの申し出により、リオンは彼と政略的な婚姻関係を結んだ。けれどルドルフには愛する男性がいたのだ。
『限界』という言葉に悩んだリオンはやがてひとつの決断をする。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる