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第3章
121話 カイトの得意科目
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翌日の放課後。
僕は一人、学院の図書室に居た。
昨日、疑問に感じた“救世の巫子”の事に関する文献を片っ端から調べようと思って。
そうして、ズラリと並ぶ本を眺めていると、とある算術の本を見つけ、つい手に取った。
実は、昨日初めて知ったのだが……。
「カイト、なんかお前……算学のテストだけ異様に点数が良いな。」
昨日、部屋で共に茶菓子を口にしていた時に、何の気なしに呟いた僕に、言われたカイトは頬張っていた焼き菓子を口に咥えたまま、こちらを見て来た。
「……シリルに初めて褒められた気がする。」
急いで口の中の菓子を飲み込んだカイトは、目をキラキラさせて喜んでいる。
それに対して、カレンがハッ!と鼻で笑った。
「シリル~、そんなんでカイトを甘やかしちゃ駄目よ!カイトは商業高校行ってんだもん。そりゃ、点イイのは当たり前よー。」
「カレンさん、ショウギョウコウコウって何ですか?」
カレンの言った事に、僕より先に、テオが首を傾げて尋ねた。
「あー、商業高校ってね、商業とか産業の技術習得に重きを置いた教育を受ける高校…学校の事だよ。卒業後に就職に有利な資格とか検定とかも色々取れるし。」
と、カイトが簡単に説明してくれた。
「その分、普通科の高校より大学進学に必要な科目の授業量が少なくなっちゃうけど。卒業後は大学進学より就職に重きを置いてるかなぁ。」
「だから、今日の小テストとかでもあった簿記とか統計とかの計算系は、元の世界でもよくやらされてんのよ。」
カレンが大した事無いように言っているが、少し面白く無さそうだ。
「んー、つまり……エウリルス学院みたいに普通科から専学科に進学するのが、そっちで言う所の大学進学…で、普通科から卒業後に商人などになるには…カイトが通っていた商業高校って学校の方が後の仕事に生かしやすいって事なのか?」
僕が、カイトの説明に対して、この国での常識に当てはめて考えて言ってみると。
「そ!そんな感じ!」
「……だから、カレンがどの科目も大体満遍なくそれなりに点数を取っているのに、カイトはムラがあるのか。」
「それはまた別!だって仕方ないじゃん。歴史とか無理あるよー。カレンはこの世界の話読み込んでるけど、俺殆ど知らないし。」
「それだけじゃないと思うけどぉ~~。」
カイトとカレンの成績の差を突いていると、カイトが慌てて言い訳を述べるが、隣のカレンにじとぉ~っとした目で流し見られていた。
「でも、そうか……算学がそんなに出来るとは知らなかった。なぁカイト、是非僕に教えてくれないか?」
「え?シリル、商人になりたいの?」
「いや、お前なら兎も角…人付き合いの苦手な僕にそんな高望みはない。でも、算学は苦手な者も多いから、将来何か役に立つかも。」
「そっか。領地経営とかでも収支報告書の作成とかしなくちゃいけないだろうし、出来て損は無いね。いいよ!教えたげるよー。」
そう言って、ご機嫌に了承してくれたカイトに、お茶の後、色々な算術方法を教わった。
教えるカイトも何処かたどたどしさはあったものの、僕が今まで知り得なかった沢山の計算方法などを教わって、目から鱗だった。
僕は一人、学院の図書室に居た。
昨日、疑問に感じた“救世の巫子”の事に関する文献を片っ端から調べようと思って。
そうして、ズラリと並ぶ本を眺めていると、とある算術の本を見つけ、つい手に取った。
実は、昨日初めて知ったのだが……。
「カイト、なんかお前……算学のテストだけ異様に点数が良いな。」
昨日、部屋で共に茶菓子を口にしていた時に、何の気なしに呟いた僕に、言われたカイトは頬張っていた焼き菓子を口に咥えたまま、こちらを見て来た。
「……シリルに初めて褒められた気がする。」
急いで口の中の菓子を飲み込んだカイトは、目をキラキラさせて喜んでいる。
それに対して、カレンがハッ!と鼻で笑った。
「シリル~、そんなんでカイトを甘やかしちゃ駄目よ!カイトは商業高校行ってんだもん。そりゃ、点イイのは当たり前よー。」
「カレンさん、ショウギョウコウコウって何ですか?」
カレンの言った事に、僕より先に、テオが首を傾げて尋ねた。
「あー、商業高校ってね、商業とか産業の技術習得に重きを置いた教育を受ける高校…学校の事だよ。卒業後に就職に有利な資格とか検定とかも色々取れるし。」
と、カイトが簡単に説明してくれた。
「その分、普通科の高校より大学進学に必要な科目の授業量が少なくなっちゃうけど。卒業後は大学進学より就職に重きを置いてるかなぁ。」
「だから、今日の小テストとかでもあった簿記とか統計とかの計算系は、元の世界でもよくやらされてんのよ。」
カレンが大した事無いように言っているが、少し面白く無さそうだ。
「んー、つまり……エウリルス学院みたいに普通科から専学科に進学するのが、そっちで言う所の大学進学…で、普通科から卒業後に商人などになるには…カイトが通っていた商業高校って学校の方が後の仕事に生かしやすいって事なのか?」
僕が、カイトの説明に対して、この国での常識に当てはめて考えて言ってみると。
「そ!そんな感じ!」
「……だから、カレンがどの科目も大体満遍なくそれなりに点数を取っているのに、カイトはムラがあるのか。」
「それはまた別!だって仕方ないじゃん。歴史とか無理あるよー。カレンはこの世界の話読み込んでるけど、俺殆ど知らないし。」
「それだけじゃないと思うけどぉ~~。」
カイトとカレンの成績の差を突いていると、カイトが慌てて言い訳を述べるが、隣のカレンにじとぉ~っとした目で流し見られていた。
「でも、そうか……算学がそんなに出来るとは知らなかった。なぁカイト、是非僕に教えてくれないか?」
「え?シリル、商人になりたいの?」
「いや、お前なら兎も角…人付き合いの苦手な僕にそんな高望みはない。でも、算学は苦手な者も多いから、将来何か役に立つかも。」
「そっか。領地経営とかでも収支報告書の作成とかしなくちゃいけないだろうし、出来て損は無いね。いいよ!教えたげるよー。」
そう言って、ご機嫌に了承してくれたカイトに、お茶の後、色々な算術方法を教わった。
教えるカイトも何処かたどたどしさはあったものの、僕が今まで知り得なかった沢山の計算方法などを教わって、目から鱗だった。
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