全てを諦めた公爵令息の開き直り

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第3章

120話 もう1つ

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「いや、色々興味深く聞かせてもらったよ。そう言えば…この夏、巫子達の付き添いで行ったアデリートでお会いした第2王子もそんな感じだったな。その時殿下はお好きな絵画について、熱く語って下さったけど、古代史もお好きだって言っておられたから、君と話が合いそうな気がする。」
「へぇ!アデリートの第2王子様って言ったら、政争に巻き込まれて修道院に入られたって聞いていたけど、そうなんだ!そういう事なら、お話してみたいなぁ。」
「エウリルスの美術についてもかなり興味がおありだった様だから、もし殿下がエウリルスへ来訪されるなんて機会があれば、是非紹介するよ。僕なんかよりよっぽど話が弾みそうだ。」
「アハハ…でも、そっか。もし、そんな機会があれば、是非お願いしたいな。よろしく頼むね。」

ジェラルドは実に楽しそうな笑顔で、僕にそう言い、僕は了解した。

「ありがとう。色々勉強になったよ。あと、もう1ついい?」
「何?」
「呪いの事はある程度分かったんだけど。じゃあ、治癒の魔術とかは?それこそ、今居る”救世の巫子”なんて、呪いとは対称的な立ち位置に居る二人だろう?」
「…さぁ。治癒の魔術に関しては俺もよくは……。ただ、昔からの呪い師とかなら中にはいるんじゃないかな?フローレンシアには呪(まじな)い師が何人か居たんだろう?」

僕は呪いの次に治癒の魔術や救世の巫子達の事を尋ねてみて。
治癒に関しては、呪(まじな)い師の事を引き合いに出され、フローレンシアで会ったのでは?と訊かれる。

「村に一人や二人居たけど、彼らは僕が使える程度の魔術くらいだったよ、使っているところも見たけど。それに、治癒の術も、魔術で治すって言うよりかは、薬草とか配合して作る薬を提供している、一種の民間療法の類だった。とても、魔術を使っている様には見えなかった。」
「へぇ、そんな感じなんだ。」
「ねぇ。じゃあ、救世の巫子達に関してはどう思う?」
「え、救世の巫子って、そもそもおとぎ話で語り伝えられたお話だったじゃない。救いを齎す巫子だって。子供の寝物語だろう?それがまさか、目の前に現れるなんて、驚きだよね。」

それはまぁ、確かに。
軽く笑うジェラルドに、僕はつられて笑みを浮かべたが。

それっておかしくないか?
呪いの事だけでも、あれ程の情報があったのに。
救世の巫子に関しては、昔からのおとぎ話、としか聞かない。

どうしてこんなにも情報が無いのだろう?
差があり過ぎる。
そんな事を考えながら、その日、僕は同好会をあとにしたのだった。
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