110 / 347
第2章
110話 何故
しおりを挟む
しばらくして、玉座のある城の大広間へと呼ばれた。
フローレンシア王の歓迎の言葉を賜った後、早速カレンはカイトと共に、前に躍り出る。
「我々を此処フローレンシア王国にご招待下さり、誠にありがとうございます。」
「フローレンシア王国の皆様のご多幸をお祈り申し上げます。」
二人はそう言うと、また救済の力を発動させる。
するとまた、この場に集まった貴族達や周囲に立つ兵士達の傷と病を瞬く間に癒していった。
そして、王の隣に立つ王太子の方を見やる。
第2王子や王と同じ、黄色味が強めのブロンドの髪に、第2王子の茶目と違い、王太子は王と同じモスグリーンの瞳をしていた。
第2王子によると、王太子は持病があり、長年患っておられるとの事。
その兄王子の治癒が、第2王子の何よりの願いだった。
その為、僕は真っ先に王太子の方を見上げたが。
周囲が皆一様に救済の恩寵に感激してざわついているのに、当の王太子は、特に大きく反応が見受けられない。
皆のざわつく様子に目を見開いていたが、アデリートのべルティーナ第4側妃の様な自身の変化を感じておられる様な様子が見受けられなかった。
「……何故だ。」
僕は愕然として呟くと。
後ろに付いていたテオも、小声で僕に囁いた。
「ベルナルト王太子様には救済の効果があまり見受けられませんね。」
「…あぁ。」
それでも、フローレンシアの王は喜ばれ、救世の巫子達へ感謝の言葉を贈られたが。
カレンとカイトも、王の言葉を恭しく受け取りながらも、王太子の反応を訝しんでいた。
その時、貴族達の集まる集団の中から、鋭い視線を背中に感じて。
皆、とても喜んでいる中の異様な視線に、僕はバッと振り返るが、気配は直ぐに消え去ってしまい。
「…テオ」
「はい。シリル様も感じられましたか。」
「あぁ。僕らの来訪を歓迎してない者がいる。」
僕とテオは小声のまま囁き合う。
周囲は喜びに満ちており、その中に紛れてしまったが。
確かに感じた……敵意の様な視線を。
フローレンシア王の歓迎の言葉を賜った後、早速カレンはカイトと共に、前に躍り出る。
「我々を此処フローレンシア王国にご招待下さり、誠にありがとうございます。」
「フローレンシア王国の皆様のご多幸をお祈り申し上げます。」
二人はそう言うと、また救済の力を発動させる。
するとまた、この場に集まった貴族達や周囲に立つ兵士達の傷と病を瞬く間に癒していった。
そして、王の隣に立つ王太子の方を見やる。
第2王子や王と同じ、黄色味が強めのブロンドの髪に、第2王子の茶目と違い、王太子は王と同じモスグリーンの瞳をしていた。
第2王子によると、王太子は持病があり、長年患っておられるとの事。
その兄王子の治癒が、第2王子の何よりの願いだった。
その為、僕は真っ先に王太子の方を見上げたが。
周囲が皆一様に救済の恩寵に感激してざわついているのに、当の王太子は、特に大きく反応が見受けられない。
皆のざわつく様子に目を見開いていたが、アデリートのべルティーナ第4側妃の様な自身の変化を感じておられる様な様子が見受けられなかった。
「……何故だ。」
僕は愕然として呟くと。
後ろに付いていたテオも、小声で僕に囁いた。
「ベルナルト王太子様には救済の効果があまり見受けられませんね。」
「…あぁ。」
それでも、フローレンシアの王は喜ばれ、救世の巫子達へ感謝の言葉を贈られたが。
カレンとカイトも、王の言葉を恭しく受け取りながらも、王太子の反応を訝しんでいた。
その時、貴族達の集まる集団の中から、鋭い視線を背中に感じて。
皆、とても喜んでいる中の異様な視線に、僕はバッと振り返るが、気配は直ぐに消え去ってしまい。
「…テオ」
「はい。シリル様も感じられましたか。」
「あぁ。僕らの来訪を歓迎してない者がいる。」
僕とテオは小声のまま囁き合う。
周囲は喜びに満ちており、その中に紛れてしまったが。
確かに感じた……敵意の様な視線を。
75
お気に入りに追加
1,603
あなたにおすすめの小説
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
【完結】薄幸文官志望は嘘をつく
七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。
忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。
学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。
しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー…
認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。
全17話
2/28 番外編を更新しました
囚われ王子の幸福な再婚
高菜あやめ
BL
【理知的美形宰相x不遇な異能持ち王子】ヒースダイン国の王子カシュアは、触れた人の痛みを感じられるが、自分の痛みは感じられない不思議な体質のせいで、幼いころから周囲に忌み嫌われてきた。それは側室として嫁いだウェストリン国でも変わらず虐げられる日々。しかしある日クーデターが起こり、結婚相手の国王が排除され、新国王の弟殿下・第二王子バージルと再婚すると状況が一変する……不幸な生い立ちの王子が、再婚によって少しずつ己を取り戻し、幸せになる話です
モブらしいので目立たないよう逃げ続けます
餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。
まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。
モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。
「アルウィン、君が好きだ」
「え、お断りします」
「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」
目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。
ざまぁ要素あるかも………しれませんね
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい
夜鳥すぱり
BL
黒猫のニャリスは、騎士のラクロア(20)の家の飼い猫。とってもとっても、飼い主のラクロアのことが大好きで、いつも一緒に過ごしていました。ある寒い日、メイドが何か怪しげな液体をラクロアが飲むワインへ入れているのを見たニャリスは、ラクロアに飲まないように訴えるが……
◆明けましておめでとうございます。昨年度は色々ありがとうございました。今年もよろしくお願いします。あまりめでたくない暗い話を書いていますがそのうち明るくなる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる