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第2章
106話 謝罪
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僕は、はぁ。と溜息をついて。
上着の胸ポケットからハンカチを取り出すと、パサッと広げた。
そして、四隅を合わせ、その少し下を片手で持つ。
すると、手の上側ではハンカチの四隅が花の様に開き、下側は丸く袋状になって。
僕は、その中に意識を集中する。
すると、コロンと一口サイズの氷が2個3個と出来上がった。
良かった、上手くいった。
一気に数個作るのはあまりした事がなかったから、出来て良かった。
僕は、ホッと表情を緩めると。
「失礼します。」
一言そう言って、殴られて少し腫れている卿の頬に、ハンカチに包まれた氷をそっと当てた。
「あ、っつ」
「すみません、沁みますか?」
ビクッと震える卿に、僕は一旦、氷入りハンカチを離したが。
卿が大丈夫ですと言うので、僕は再びそれを頬に当てる。
「本当に…申し訳ありません。」
再度謝罪の言葉を述べる僕に、卿はポカンとした顔をしていたが。
「構いません。……その代わり、コレ、頂いても?」
卿はそう言って、僕から氷入りハンカチをそっと受け取った。
「…巫子様方に、何かとんでもない失態をおかしてしまった様ですね。すみません……私には、見当がつかず……」
「前世の事ですから、分からなくて当たり前です。」
「僕らに、じゃない。シリルにだよっ」
分からないながらも、何かやらかしてしまったのか…と卿は殊勝に謝罪を述べてくれた。
僕が、仕方が無いと宥めたのに。
カイトがまだ不満そうに口を挟んだ。
ちょっと、もういい加減にしてくれ。
僕はムッとしてカイトを軽く睨んだが。
「シリル様に…ですか?そんな……」
サフィルのその綺麗なアメジスト色の瞳が大きく揺らいだ。
「うっ……いや、貴方の所為では無いのですから……お気になさらず…。殿下の横暴さに、貴方が振り回されていただけですよ。でも、今回の約束で、それも大いに改善されるでしょう。」
だから、その、気にしないで下さい。
僕は、そう伝えるだけで精一杯だった。
~~~~もう!
カイトも、テオも!
僕の事を想ってくれるのは有難いけど、状況を見極めてくれないかなぁ?!
暴走されちゃ、結局後で大変な目に遭うのはこっちなんだけど?!
僕はしょんぼりとしている卿を心配して見やりながら、心の中で彼らに抗議していた。
僕が悶々としていると、視界の端でカレンが大きく溜息をついて。
「…はぁ。シリル、貴方は本当にこれで良かったの?」
「カレン……。当たり前だろう。本人の知り得ない事で責め立てて何になるんだよ。それに、救済は君達が無事、成功させてくれたじゃないか。殿下も約束を守ると言って下さったんだ。それで良かったんだよ……。」
「本当に?……ごめんなさい。私も、もっと慎重に考えるべきだったのに、先走ってしまったばっかりに…」
「いや、あの勢いが無かったら、この結果は得られなかったんだ。君が謝る必要は何も無いよ。」
自分の行動を悔いている様子のカレンに、僕はさっき彼女がくれた様な笑みを向ける。
すると、彼女はその黒い瞳を一瞬潤ませたが、グッと表情を引き締めた。
「……分かった。あなたがそう言ってくれるなら……もうこれ以上蒸し返すのはやめるわ。……アルベリーニ卿、先程は失礼致しました。お詫びに、頬の腫れ…治癒させて頂きます。」
えぇ?!
カイトがそう、声を上げたが。
カレンがカイトを強く睨んで首を振った。
姉に制されて、彼はようやく渋々折れたが。
「いえ、巫女様。貴女様のお手を煩わせる必要はございません。それに、私はコレを…頂きましたから。」
サフィルはそう言うと、頬に当てている僕が渡した氷入りハンカチを見せた。
でも、多分もう半分くらい氷も解けてきてしまっているんじゃ…。
僕がやっぱりカレンの救済を受けた方が良いのでは?と、口にする前に。
彼はスッと立ち上がって、僕達に礼をすると、部屋を出て行ってしまった。
上着の胸ポケットからハンカチを取り出すと、パサッと広げた。
そして、四隅を合わせ、その少し下を片手で持つ。
すると、手の上側ではハンカチの四隅が花の様に開き、下側は丸く袋状になって。
僕は、その中に意識を集中する。
すると、コロンと一口サイズの氷が2個3個と出来上がった。
良かった、上手くいった。
一気に数個作るのはあまりした事がなかったから、出来て良かった。
僕は、ホッと表情を緩めると。
「失礼します。」
一言そう言って、殴られて少し腫れている卿の頬に、ハンカチに包まれた氷をそっと当てた。
「あ、っつ」
「すみません、沁みますか?」
ビクッと震える卿に、僕は一旦、氷入りハンカチを離したが。
卿が大丈夫ですと言うので、僕は再びそれを頬に当てる。
「本当に…申し訳ありません。」
再度謝罪の言葉を述べる僕に、卿はポカンとした顔をしていたが。
「構いません。……その代わり、コレ、頂いても?」
卿はそう言って、僕から氷入りハンカチをそっと受け取った。
「…巫子様方に、何かとんでもない失態をおかしてしまった様ですね。すみません……私には、見当がつかず……」
「前世の事ですから、分からなくて当たり前です。」
「僕らに、じゃない。シリルにだよっ」
分からないながらも、何かやらかしてしまったのか…と卿は殊勝に謝罪を述べてくれた。
僕が、仕方が無いと宥めたのに。
カイトがまだ不満そうに口を挟んだ。
ちょっと、もういい加減にしてくれ。
僕はムッとしてカイトを軽く睨んだが。
「シリル様に…ですか?そんな……」
サフィルのその綺麗なアメジスト色の瞳が大きく揺らいだ。
「うっ……いや、貴方の所為では無いのですから……お気になさらず…。殿下の横暴さに、貴方が振り回されていただけですよ。でも、今回の約束で、それも大いに改善されるでしょう。」
だから、その、気にしないで下さい。
僕は、そう伝えるだけで精一杯だった。
~~~~もう!
カイトも、テオも!
僕の事を想ってくれるのは有難いけど、状況を見極めてくれないかなぁ?!
暴走されちゃ、結局後で大変な目に遭うのはこっちなんだけど?!
僕はしょんぼりとしている卿を心配して見やりながら、心の中で彼らに抗議していた。
僕が悶々としていると、視界の端でカレンが大きく溜息をついて。
「…はぁ。シリル、貴方は本当にこれで良かったの?」
「カレン……。当たり前だろう。本人の知り得ない事で責め立てて何になるんだよ。それに、救済は君達が無事、成功させてくれたじゃないか。殿下も約束を守ると言って下さったんだ。それで良かったんだよ……。」
「本当に?……ごめんなさい。私も、もっと慎重に考えるべきだったのに、先走ってしまったばっかりに…」
「いや、あの勢いが無かったら、この結果は得られなかったんだ。君が謝る必要は何も無いよ。」
自分の行動を悔いている様子のカレンに、僕はさっき彼女がくれた様な笑みを向ける。
すると、彼女はその黒い瞳を一瞬潤ませたが、グッと表情を引き締めた。
「……分かった。あなたがそう言ってくれるなら……もうこれ以上蒸し返すのはやめるわ。……アルベリーニ卿、先程は失礼致しました。お詫びに、頬の腫れ…治癒させて頂きます。」
えぇ?!
カイトがそう、声を上げたが。
カレンがカイトを強く睨んで首を振った。
姉に制されて、彼はようやく渋々折れたが。
「いえ、巫女様。貴女様のお手を煩わせる必要はございません。それに、私はコレを…頂きましたから。」
サフィルはそう言うと、頬に当てている僕が渡した氷入りハンカチを見せた。
でも、多分もう半分くらい氷も解けてきてしまっているんじゃ…。
僕がやっぱりカレンの救済を受けた方が良いのでは?と、口にする前に。
彼はスッと立ち上がって、僕達に礼をすると、部屋を出て行ってしまった。
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