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第2章
103話 赤面
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僕はカイトに両手を掴まれ、引き上げられる様にして立ち上がり、俯いた彼の額にその手が触れた。
「シリル…っ!別に良くなんかないっ!穢されたから君の事気持ち悪いとか、そんなの思う訳がないだろっ!!もっと自分を大事にしてくれよっ!君は僕の大事な友達なんだ!その君が、自分を大事にしてくれないのは嫌だ。悲しいよ…。」
「そ…そうか?」
「そうだよ!何で分かってくれないんだよ!頭良い癖に!」
「そ、その……ごめん…」
カイトが僕を大事に想ってくれているのは、分かるんだが。
何でそんなに怒っているのか、よく分からない。
どうすればいいのか分からなくて、僕が戸惑っていると。
カイトが再度、掴んだままの僕の手を自身の額に当てた。
「ごめんな、シリル。俺、前回…君を守るって言ったのに。守られてたのは……俺の方だったね。」
「そんな事はない。結局、毒で倒れる羽目になったし……。」
「ううん。俺、本当に分かってなかった。もう、シリルだけにつらい目に遭わせはしないから。」
「……うん。」
ようやく心から頷いて、カイトはまだ涙が残る目で笑ってくれた。
「だから、シリルも前にアイツにされた仕打ちを恥ずかしがる事なんてないからな。」
「……うん?」
「だって、アイツらの話になったら、シリル、すぐに顔を赤くして俯くから。それよりもっと怒った方が…」
「いや、ちょっと待ってくれ…」
……バレてた。
今まで上手く誤魔化せてたと思ってたのに!
何も突っ込んでこないから、大丈夫だと思ってたのに。
あぁぁ!
そう思うと居た堪れない。
僕はまた顔を真っ赤にしてしまって。
「いや、その…違うんだ…」
「どうしたの?」
「その……あの時、殿下達が去った後。サフィルに言われたんだ…。『自分を恨んでくれていいから、生きて欲しい』って。そしたら……その、泣いてしまって、子供みたいに。だから……それが、その…は、恥ずかしくて……」
両手をカイトに取られ、身じろぎが取れない僕は、その顔を真っ赤にしてしまって。
どうにも恥ずかしくて、顔を背けてしまう。
でも、顔を逸らしても充分に分かってしまう朱の色に。
僕は三人の視線が耐えがたく、羞恥に耳まで真っ赤にして、その身を震わせてしまった。
「……ちょ、お願い。離して…」
「…あ、ご、ごめん。」
呆気に取られたカイトが、掴んでいた僕の手を離してくれると。
僕は右手でその拙い口を押さえ込むと、左手で額を押さえて、再びソファーに沈む様に座り込んだ。
「……シリル。」
「な、何?」
急に、僕の横に蹲っているカレンが、難しい顔で口を開いた。
「……その顔、私達以外には絶対見せちゃ駄目よ。」
「んえ?!」
「変な虫が付きかねないから。」
「……は?」
何を言っているんだ、カレンは?
僕が怪訝な顔をすると。
「テオさん!くれぐれもお願いしますねっ」
カレンは、僕の警護の事をテオに念押しする。
「はい!もちろんですっ!!」
対するテオは、承知しました!とばかりに勢い良く返事していた。
……意味が分からない。
僕はまた怪訝な顔をして。
その反応に、三人が呆れた様に溜息をついていた。
何でだ?!
何か僕、除け者にされてる?
ムッとした表情をして見せた時。
部屋の扉を叩く音が響いた。
カレンが腰を浮かせたが、テオがサッと立ち上がり、扉に向かった。
来客だろうか。
扉の外を警備する兵から告げられ、部屋の中へ戻って来たテオは、酷く嫌そうな顔をしていた。
「……アルベリーニ卿がお越しの様です。」
「シリル…っ!別に良くなんかないっ!穢されたから君の事気持ち悪いとか、そんなの思う訳がないだろっ!!もっと自分を大事にしてくれよっ!君は僕の大事な友達なんだ!その君が、自分を大事にしてくれないのは嫌だ。悲しいよ…。」
「そ…そうか?」
「そうだよ!何で分かってくれないんだよ!頭良い癖に!」
「そ、その……ごめん…」
カイトが僕を大事に想ってくれているのは、分かるんだが。
何でそんなに怒っているのか、よく分からない。
どうすればいいのか分からなくて、僕が戸惑っていると。
カイトが再度、掴んだままの僕の手を自身の額に当てた。
「ごめんな、シリル。俺、前回…君を守るって言ったのに。守られてたのは……俺の方だったね。」
「そんな事はない。結局、毒で倒れる羽目になったし……。」
「ううん。俺、本当に分かってなかった。もう、シリルだけにつらい目に遭わせはしないから。」
「……うん。」
ようやく心から頷いて、カイトはまだ涙が残る目で笑ってくれた。
「だから、シリルも前にアイツにされた仕打ちを恥ずかしがる事なんてないからな。」
「……うん?」
「だって、アイツらの話になったら、シリル、すぐに顔を赤くして俯くから。それよりもっと怒った方が…」
「いや、ちょっと待ってくれ…」
……バレてた。
今まで上手く誤魔化せてたと思ってたのに!
何も突っ込んでこないから、大丈夫だと思ってたのに。
あぁぁ!
そう思うと居た堪れない。
僕はまた顔を真っ赤にしてしまって。
「いや、その…違うんだ…」
「どうしたの?」
「その……あの時、殿下達が去った後。サフィルに言われたんだ…。『自分を恨んでくれていいから、生きて欲しい』って。そしたら……その、泣いてしまって、子供みたいに。だから……それが、その…は、恥ずかしくて……」
両手をカイトに取られ、身じろぎが取れない僕は、その顔を真っ赤にしてしまって。
どうにも恥ずかしくて、顔を背けてしまう。
でも、顔を逸らしても充分に分かってしまう朱の色に。
僕は三人の視線が耐えがたく、羞恥に耳まで真っ赤にして、その身を震わせてしまった。
「……ちょ、お願い。離して…」
「…あ、ご、ごめん。」
呆気に取られたカイトが、掴んでいた僕の手を離してくれると。
僕は右手でその拙い口を押さえ込むと、左手で額を押さえて、再びソファーに沈む様に座り込んだ。
「……シリル。」
「な、何?」
急に、僕の横に蹲っているカレンが、難しい顔で口を開いた。
「……その顔、私達以外には絶対見せちゃ駄目よ。」
「んえ?!」
「変な虫が付きかねないから。」
「……は?」
何を言っているんだ、カレンは?
僕が怪訝な顔をすると。
「テオさん!くれぐれもお願いしますねっ」
カレンは、僕の警護の事をテオに念押しする。
「はい!もちろんですっ!!」
対するテオは、承知しました!とばかりに勢い良く返事していた。
……意味が分からない。
僕はまた怪訝な顔をして。
その反応に、三人が呆れた様に溜息をついていた。
何でだ?!
何か僕、除け者にされてる?
ムッとした表情をして見せた時。
部屋の扉を叩く音が響いた。
カレンが腰を浮かせたが、テオがサッと立ち上がり、扉に向かった。
来客だろうか。
扉の外を警備する兵から告げられ、部屋の中へ戻って来たテオは、酷く嫌そうな顔をしていた。
「……アルベリーニ卿がお越しの様です。」
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